ザナック (シューティングゲーム)
コンパイルが開発した1986年のビデオゲーム
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『ザナック』(ZANAC)は、コンパイルが開発し、1986年7月25日にポニーから発売されたMSX用縦スクロールシューティングゲーム。
| ジャンル | 縦スクロールシューティング |
|---|---|
| 対応機種 | MSX |
| 開発元 | コンパイル |
| 発売元 | ポニー |
| ディレクター | 仁井谷正充 |
| デザイナー |
寺本耕二 仁井谷正充 広野隆行 |
| プログラマー |
仁井谷正充 広野隆行 |
| 音楽 | 宮本昌知 |
| 美術 |
寺本耕二 YORIKI |
| 人数 | 1人 |
| 発売日 |
発売日一覧
|
ゲーム内容は自機の最新鋭戦闘機「AFX-6502=ZANAC」を操作し、有機知性体が作り出した「システム」の暴走による脅威から人類を救出する事を目的としている。 緩急のついたスクロールや高速スクロールや特徴で、森林や海辺、荒野、メカニカルな基地、星の見える宇宙空間、スペースコロニー、生物内部など、多彩なステージで構成される。 さらにA.L.C.(Auto Level Control/自動難易度調整)というシステムを採用しており、プレイする都度に、またプレイヤーの技量次第で展開と難易度が変化するようになっている[1]。MSX版やファミコン版のタイトルに見られる「A.I.」には、このA.L.C.を人工知能によって制御しているという意味が含まれている。
1986年に大幅にアレンジされた形で日本国内ではファミリーコンピュータ ディスクシステム用として、北米ではNES用ソフトとしてフジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナルより発売された。その後、1987年にはディスクシステム版をMSX2へと逆移植した『ザナックEX』が発売された。
2001年にはPalm OSに移植された他、MSX版は2006年にWindows用ソフトとしてi-revoにて、2012年にプロジェクトEGGにて配信された。また、MSX2版は2011年にWindows用ソフトとしてプロジェクトEGGにて配信された。
ディスクシステム版はPlayStation用ソフト『ザナック×ザナック』(2001年)に収録された他、携帯電話アプリゲームとして2003年にはJavaアプリ、2004年にはEZアプリ、2005年にはiアプリにそれぞれ移植された。また、2007年にはWii用ソフトとしてバーチャルコンソールにて配信された他、2015年にはWindows用ソフトとしてプロジェクトEGGにて配信された。
設定
ストーリー
はるか昔にとある有機知性体が作り出した「システム」は、生みの親である有機知性体がいなくなった今日も活動を続けていた。この「システム」には生命体の発展を助けるため、「イコン(聖像)を正しく開いたものには知識を。誤って開いたものには滅亡を。」という命令が組み込まれていた。
ある時、人類はイコンの一つを誤った方法で開いてしまい、「システム」からの攻撃を受ける。ところが少し経った後、人類が別のイコンを今度は正しく開き、イコンは「システム」の中枢に攻撃中止を要請したが、「システム」はこの要請を無視し、単なる殺戮装置と化した。「システム」を生み出した有機知性体が、このような事態を想定していなかったのかは定かでは無い。
正しく開かれたイコンは幸いにも正常に作動し手持ちの知識を人類に与えたが、所詮「システム」の末端にすぎないイコンでは「システム」全体に対する知識を得ることはできない。「システム」側の圧倒的物量・攻撃力の前に、人類の繰り出す迎撃部隊は次々に撃破されていった。
いよいよ人類が滅亡の危機に瀕した時、イコンの与えた情報から一つの可能性が提起された。『「システム」は基本的に戦略マシンであり、多対多の戦闘を想定している。ならば単独で「システム」に向かって行けば相手の思考の隙を突くことになり、効果的に対応できないのではないか?』
危険な賭けだったが、勝利へのわずかな可能性に賭けてこの計画は実行された。人類はイコンによってもたらされたテクノロジーをもとに、新型戦闘攻撃機「AFX-5810=ZANAC」を制作。ZANACは単独で「システム」の中枢に侵入しこれを破壊することに成功。危機は去った…と思われた。
しかし敗北を喫した「システム」は、破壊される直前に他の「システム」にこの事態を連絡したのである。すでに幾つかのコロニアムは攻撃を受け、連絡を絶っている。AFX-5810を改良した最新鋭の戦闘機「AFX-6502=ZANAC」が、より強大な「システム」の脅威から人類を救うため、再び単独で飛び立っていった。
他機種版
| No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ザナック | コンパイル | ポニー | |||||
| 2 | ザナックEX | MSX2 | コンパイル | ポニー | ロムカセット | R58Y5093 | ||
| 3 | ザナック | Palm OS | コンパイル | コンパイル | 内蔵ゲーム | - | 2002年7月30日にダウンロード販売開始 | |
| 4 | ザナック×ザナック | PlayStation | コンパイル | コンパイル | CD-ROM | SLPS-03354 | ディスクシステム版の移植 | |
| 5 | ザナック | J-フォン (Javaアプリ) |
ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード (ゲームマーケット) |
- | ディスクシステム版の移植 | |
| 6 | ZANAC | BREW対応機種 (EZアプリ) |
ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード (テトリス&100円ゲーム) |
- | ディスクシステム版の移植 | |
| 7 | ZANAC | FOMA900iシリーズ (iアプリ) |
ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード (Get!!プチアプリ) |
- | ディスクシステム版の移植 | |
| 8 | ザナック | Windows | コンパイル | アイレボ | ダウンロード (i-revo) |
- | MSX版の移植 | |
| 9 | ザナック | Wii | コンパイル | ダウンロード (バーチャルコンソール) |
- | ディスクシステム版の移植 | ||
| 10 | ザナック×ザナック | PlayStation 3 PlayStation Portable (PlayStation Network) |
コンパイル | ガンホー | ダウンロード (ゲームアーカイブス) |
- | ディスクシステム版の移植 | |
| 11 | ザナックEX | Windows | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
- | MSX2版の移植 | |
| 12 | ザナック | Windows | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
- | MSX版の移植 | |
| 13 | ZANAC MSX | iPhone/iPad (iOS) |
ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード | - | MSX版の移植 | |
| 14 | ザナック | Windows | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
- | ディスクシステム版の移植 | |
| 15 | ザナック | PicoPico(iOS専用アプリ) | D4エンタープライズ | D4エンタープライズ | ダウンロード | - | MSX版の移植 | |
| 16 | G-MODEアーカイブス29 ZANAC |
Nintendo Switch | ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード (ニンテンドーeショップ) |
- | アプリ版の移植 | |
| 17 | ザナック | Windows | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
- | NES版の移植 | |
| 18 | EGGコンソール ザナック MSX |
Nintendo Switch | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (ニンテンドーeショップ) |
- | MSX版の移植 | |
| 19 | EGGコンソール ザナックEX MSX2 |
Nintendo Switch | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (ニンテンドーeショップ) |
- | MSX2版の移植 | |
| 20 | EGGコンソール ザナックEX MSX2 |
PC | コンパイル | D4エンタープライズ | ダウンロード (Steam) |
- | MSX2版の移植 |
- ファミリーコンピュータ ディスクシステム版
- MSX版を大幅にアレンジ。
- 翌1987年には海外向け(Nintendo Entertainment System)にロムカセット版がリリース。一部の曲の音程が違う。
- 2007年10月9日よりWiiのバーチャルコンソールで配信開始(要500Wiiポイント)。
- 画面を埋め尽くすような敵の多さ、その上制限時間以内にボスを倒さなければ前のステージに戻されるという制約から、ファミコン作品中の高難易度ゲームとして知られる[2]。
- MSX2版『ザナックEX』
- ストーリー的にはMSX版第1作の後日譚という位置付け。内容としてはファミコン版に準拠しているが、MSX2はグラフィックをBGではなくビットマップで描画することから処理落ちが激しく、一部面での高速スクロールが無くなっている他、キャラクタの大半が書き換えられている等の相違がある。スコア表示部がちらついたり、ラスタ分割の境界線にノイズが表示されるなどの難もある。
- Palm OS版
- 敵が少ない等、オリジナルとは若干違う。
- PlayStation版『ザナック×ザナック』
- 新作「ZANAC NEO」とファミコン版「ザナック」移植版とのカップリング。またファミコン版を元に改良を施したスペシャルバージョンも収録されていた。雑誌での評価は今一つだったが、同シリーズのファンに支持された。現在中古ゲームショップではレアソフトとして高値で取引されている。2010年7月28日よりPlayStation 3、PlayStation Portable用にゲームアーカイブスで配信開始。
- S!アプリ(当時はVアプリ)版
- 全6面。サブウェポンは全て4段階までパワーアップ、無限使用可能に統一(2番は時間経過で耐久力回復、6番は時間経過で再発射可能)。メイン・サブウェポン共に自動連射。等により、難易度は下がっている。
音楽
サウンドトラック
- ファミコン 20TH アニバーサリー オリジナル・サウンド・トラックス VOL.3
- 2004年4月21日、サイトロン・デジタルコンテンツより発売されたCD内の一作品として収録されている。
制作
元々コンパイルはセガと組んでゲームを作っていたが、コンパイル社内からは自社タイトルを望む声が上がっていた[1]。
その後、新たに組んだポニーキャニオンからシューティングゲームを作ってほしいと頼まれ、コンパイルは本作の開発に乗り出した[1]。
また、コンパイルとポニーキャニオンの間に、人工知能を専門とするAII(エーアイアイ)が加わり、同社から説明を受けて、人工知能を作品のコンセプトに据えた[1]。
ディレクターを務めたコンパイル創業者の仁井谷正充は開発におけるAIIとのやりとりについて「『AIとは、こういうものですよ。ゲームにAI的な要素を入れましょう。[中略]』と、プログラマーといろいろディスカッションをしながら作っていたと思います。」と鴫原盛之との対談の中で振り返っている[1]。
本作の目玉となる「ALC」(AUTO LEVEL CONTROLER)はAIIが求めていた「AI的な要素」の一つとして導入された[1]。 このシステムを制作したのはプログラマの広野隆行であり、仁井谷は鴫原との対談の中で、「当時はゲームデザイナーと呼ばれるような人はまだ存在しない時代でしたから、自分でプログラムをしながらパラメーターも全部調整していたと思います。」と振り返っており、「細かい内容は覚えていないのですが、例えば5発撃つと倒せる敵が10発撃たないと倒せないようになるとか[中略]そういうことをAI的にやっていたのではないかと思います。」とも話している[1]。 また、MSX版ではALCの数値を内部パラメータとして扱うのではなく、あえてプレイヤーに明示するという当時としては異例の演出がとられた[1]。 仁井谷はその意図について、RPGでレベルを表示するのと同等だと答えつつも、プログラマーの広野が自分の考えを積極的にプレイヤーに明示する傾向があったとも話している[1]。
『ゼビウス』(1983年)においてもAIの概念は指摘されており、仁井谷も同作からの影響を受けたことは認めているが、AI的な面で影響を受けたことは否定している[1]。 仁井谷はその理由として、パラメータを調整して敵の動きに多様性を持たせることは本作以前から行っており、それをAIといえばそうかもしれないが、ある意味それは普通のことであると答えている[1]。
「0面」は広野隆行が担当した[29]。
なお、MSXのマイクロプロセッサがZ80である関係で機械語でプログラミングしていたことや、元々メモリの節約が一般的だったことから、AIの導入によってROMの容量が圧迫されるような事態はなかったと仁井谷は振り返っている[1]。
長いマップと二重スクロールは仁井谷のアイデアである[1]。 前者について仁井谷は、ゲーム雑誌の攻略記事にマップをすべて載せられて悔しい思いをしたことがきっかけだと話しており、雑誌側が写真を小さくして全体を載せたため目論見が崩れたとも話している[1]。
初期バージョンは「Le Colonium」のタイトルで藤島聡により開発されていたが、途中で藤島が別プロジェクトに移ることになり広野隆行に引き継がれた[30]。
なお、寺本耕二がデザインを、音楽は宮本昌知がそれぞれ担当した[1]。
スタッフ
- MSX版
- ゲーム・デザイン:JANUS(寺本耕二)、MOO(仁井谷正充)、JEMINI(広野隆行)
- プログラム:MOO(仁井谷正充)、JEMINI(広野隆行)[1]
- 音楽:宮本昌知[1]
- サウンド:JEMINI(広野隆行)
- サウンド・プログラム:JEMINI(広野隆行)
- グラフィック:JANUS(寺本耕二)、YORIKI
- サンクス:PAL KITATANI、LUNARIAN(新谷憲司)、WAO(石丸忠)
- ディレクター:MOO(仁井谷正充)[1]
- ファミリーコンピュータ版
- ゲーム・デザイン:JEMINI(広野隆行)、JANUS(寺本耕二)、MOO(仁井谷正充)
- プログラム:JEMINI(広野隆行)
- 音楽:宮本昌知
- グラフィック:JANUS(寺本耕二)
- テストプレイ:MNC Nui、石丸忠、YORIKI
- プロデュース:AII
反響
仁井谷によると、本作はゲーム業界においても反響を呼び、アーケードゲーム会社が本作のAIに注目し、プログラミングの研究が進んだとされている[1]。
評価
- MSX1版
- ファミリーコンピュータ版
- ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、9・7・7・8の合計31点(満40点)でシルバー殿堂入りを獲得した[39]。レビュアーは「パワーアップ型シューティングの究極。妙に力んでないのが、いいね」とゲーム性に関して肯定的に評価している[39]。
- ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り16.67点(満25点)となっている[35]。また、同雑誌1991年5月24日号特別付録の「ファミコンディスクカード オールカタログ」では「数少ないディスクのシューティングの中では一番難易度が高い」と難易度の高さを指摘しているが、「途中にはいろいろなエリアがあり、スクロールが高速なトコもあってとても片面ソフトとは思えないくらいだ。まさに最高峰と呼んでも過言ではない」とボリューム感やスピード感を絶賛している[35]。
| 項目 | キャラクタ | 音楽 | 操作性 | 熱中度 | お買得度 | オリジナリティ | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 得点 | 3.08 | 3.37 | 3.29 | 3.51 | - | 3.42 | 16.67 |
- ゲーム誌『ユーゲー』では、自動難易度調整システムによる多彩な攻撃方法が「後のシューティングに影響を与えた」と影響の大きさを指摘、「プレイを縛らず邪魔しないくらいに配合されたさまざまな隠し要素や、状況別の特殊兵器の使いこなしなどコクもある。深みもある。いくらでもプレイできる」、「これが500円で、なおかつ片面だったという奇跡」とゲーム性の高さやコストパフォーマンス面に関して絶賛している[36]。
- ぴあBOOK『ほんとうに面白いゲームソフト2 BEST100』では「縦スクロールタイプのパワーアップ型だが、プログラムの技術力、ゲームデザインの統一性、バランスのよさ、バリエーションの豊富さ、スピード感は、アーケードも含めたすべてのシューティングゲームの中でもトップクラスの高さである」「難易度決定方式として"A.I"と呼んでいた可変のシステムを導入し、巧ければ巧いほど(つまり、やられることなくどんどん進んでいくことができるということ)敵の攻撃がし烈になっていく。かの名作『ゼビウス』で取り入れられていたシステムだが、その後追随するシューティングゲームがほとんどなかったように、このシステムは難易度のバランスを調整することが大変難しい。それを見事にやってのけたのだ。しかも『ゼビウス』とは異なり、パワーアップは多数用意されている中でのことだから驚嘆してしまう」と極めて高い評価を受けている[40]。