ありむらのほとんどすべてのマンガで主人公となっているカマやんは戦災孤児であり、戦後の混乱期からずっと釜ヶ崎で生きてきた、生粋のカマの人間である。若い頃から日雇い労働を生業としており、初登場の70年代(高度経済成長期)からバブル期前後の90年ごろまでは、梅雨時期などの野宿描写はあったものの、工事現場などで働くエピソードも多く収録されていた。明日をも知れないが、やりたいようにできる気楽な生活。カマやんが時間や会社、家庭に縛られたサラリーマンと対照的な、自由人の象徴として描写されていた時期もある。しかしバブル崩壊以降あいりん地区の求人状況が悪化していくにつれ、高齢で日雇い労働につけないカマやんは、ダンボールや空き缶などの回収しか仕事が無いためドヤ代が払えずホームレスとなっていく。食べるものは炊き出しに頼り、冬の野宿は凍死の危機、そんな境遇になってもカマやんはそれなりに楽しんで生きているのだった。
基本はお人よしで楽天家の野宿者を主人公としたギャグマンガではあるが、あいりん地区に暮らして実際に同様の軌跡をたどっている者は数多くいるため、カマやんの境遇はあいりん地区の労働者のひとつの典型であると言える。