アメリカ合衆国環境保護庁
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アメリカ合衆国環境保護庁(アメリカがっしゅうこくかんきょうほごちょう、英: United States Environmental Protection Agency, EPA)は、市民の健康保護と自然環境の保護を目的とする、アメリカ合衆国連邦政府の独立機関である。大気汚染、水質汚染、土壌汚染などが管理の対象に含まれる。
リチャード・ニクソン大統領により設立され、1970年に活動を開始した。長官はアメリカ合衆国大統領により任命される。正規の職員数は約1万8000人であり、本部は首都ワシントンD.C.にある。
日本の環境省に相当する。
設立経緯
EPAの設立は、1970年7月9日にリチャード・ニクソン大統領が議会へ送付した「1970年再編計画第3号」による行政組織再編であり、同計画は長官と副長官を大統領が上院の助言と同意により任命する独立機関としてEPAを置き、内務省の連邦水質管理局を通じて行われていた水質汚濁対策、保健教育福祉省の全国大気汚染防止局・固形廃棄物管理局・水衛生局・放射線衛生局の一部、食品医薬品局の農薬許容値に関する機能、農務省の殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法関係の機能、原子力委員会の一般環境放射線基準の一部などを長官に移すものとし、これらの機能に主として関係する規則制定権限も移管対象に含め、移管対象の職員、財産、記録、未使用予算も行政管理予算局長の決定に従ってEPAへ移され、連邦水質管理局と連邦放射線審議会は廃止対象とされた[1]。
設立構想の背景には、1960年代の農薬、大気汚染、水質汚濁、海洋での油流出などへの関心の高まりと、汚染対策が複数省庁に分散していたことへの行政上の対応があり、1970年初頭の環境教書、行政組織諮問機関の勧告、同年夏の上下両院での審査を経て、連邦政府の環境責任を一つの機関へ集約する案が承認され、この構想では、媒体別に分かれていた汚染物質研究、環境状態の監視、環境基準の設定・執行、州の汚染対策への財政・技術支援を一体化することが想定され、EPAは政策助言機関ではなく、汚染防止基準を設定し執行する運用機関として位置づけられた[2]。
現在のEPAの基本的な機能は、重大な健康リスクから人と環境を守ること、研究の支援・実施、環境規制の策定・執行に及び、本部所在地はワシントンD.C.のペンシルベニア通り1200番地で、庁内には長官室、大気・放射線、化学物質安全・汚染防止、執行・法令遵守、財務・管理、法務、監察、国際・部族関係、土地・緊急事態管理、研究開発、水などの本部組織が置かれ、地域事務所や研究センターとあわせて、標準設定、監視、執行、研究、行政支援を担う連邦環境行政の実務機関として構成されている[3][4]。
主な取り組み
自動車の燃費調査
アメリカ合衆国で自動車を生産・販売する事業者は、EPAに自動車を持ち込み、当局職員による燃費テストを受けることが求められる。また、市場に出回っている自動車を抜き打ちで検査し、基準に適合しているか確認する。適合していない自動車について、調査・罰則を行う。
2012年、バラク・オバマ政権下のアメリカ合衆国環境保護庁は、2022年から2025年型車までの環境基準について技術的な評価を行い、2025年の規制値を1ガロン当たり54.5マイル(1リットル当たり23.2キロメートル)の燃費にするなどの規制を設定した。なお、この基準は地球温暖化を否定するドナルド・トランプ政権の発足に伴い、2018年8月には大幅に緩和方針が発表されている[5]。
エナジー・スター
1992年から、「エナジー・スター (Energy Star)」と呼ぶ電子機器の省電力を促進するプログラムを実施している。このプログラムの基準を満たしていることを示すステッカーが、現在多くのコンピュータやテレビなどの家電製品に貼付されている。コンピューターの起動時には、同様のロゴが表示されるものもある。
発癌性評価
EPAは様々な物質の発癌性を評価し、公表している。 設立後に人体被害の影響を考慮してDDTの製造禁止を発表している[6]。
環境会計プロジェクト
1992年に環境会計プロジェクトを発足させ、国民経済計算、財務会計、管理会計のうち、管理会計(環境管理会計)に関する多くの手法が開発されてきている。1995年には民間企業、IT企業、会計士事務所などの参加により「An Introduction to Environmental Accounting as A Business Management Tool: Key Concepts And Terms 経営管理手法としての環境会計入門」を公表し、基礎的な概念を確立した。現在、環境会計プロジェクトの傘下に環境管理会計研究情報センター (EMARIC) を設立し、環境管理会計の開発が続けられている。
温室効果ガスの危険性認定
2009年、EPAは大気浄化法に基づいて6つの温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、六フッ化硫黄)を公衆衛生と公共の福祉を脅かす汚染物質であると判定した[7]。この主張を裏付ける科学的根拠はその後も確固たるものになっている[8][9]が、第2次トランプ政権により撤回された[10]。