銅版画、油彩画の他、水彩画、パステル画、デッサンを手掛け、風景画、海洋画を中心にブルターニュ風俗画、挿画など多彩なジャンルで活動した。ポン・タヴァン派、ナビ派とほぼ同世代だが、より穏健で伝統的な作風を示す。
ドーシェが属した「バンド・ノワール(黒色組)」の名は、グループの中心であったコッテの暗めの作風に由来するが、ドーシェの風景画はより明るい色調を基調としている。メランコリックな象徴主義風の作品も存在する。挿絵では洒脱な語り手としての才能も示している。
東京の国立西洋美術館は、油彩画「樹と流れ」、銅版画「ブルターニュ風景」の2点を所蔵しているが、現在常設展示外。岡山県倉敷市の大原美術館は油彩画「風景」を所蔵、常設展示している。
国立西洋美術館所蔵作品は松方コレクションに由来し、同コレクションにはコッテ29点、シモン7点が含まれる。大原美術館所蔵作品は大原コレクションの一つで、同コレクションはコッテ5点とシモン1点を含む。
戦前の日本の収集家が、印象派や前衛のアンリ・マティスに加え、よりアカデミックで折衷的作風の「バンド・ノワール」にも強い関心を示していたことが窺われる。なお官学派の堅実な作風を理想とし、印象派やマティスへの反発を隠さなかった鹿子木孟郎(1874年-1941年)はメナールと交流があり、ブルターニュで製作を行った。