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ウリゾーンの補題

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位相空間論におけるウリゾーンの補題(ウリゾーンのほだい、英: Urysohn's lemma)とは、ある位相空間正規空間であることと、互いに素な任意の2つの閉集合連続関数によって分離できることが同値であるという定理である[1]

この補題は、正規空間上で特定の性質を持つ連続関数を構成する際の基本的な道具として頻繁に用いられる。すべての計量空間や、コンパクトなハウスドルフ空間は正規空間の性質を満たすため、本命題の適用範囲は極めて広い。また、このウリゾーンの補題をより一般化したものとしてティーツェの拡張定理があり、その証明にも通常この補題が利用される。

この定理の名称は、ロシアの数学者パヴェル・ウリゾーンにちなんで名付けられた。

解説

近傍によって分離された2つの集合

位相空間 の2つの部分集合 に対し、互いに交わらない 近傍 の近傍 が選べるとき、これらは「近傍によって分離可能である」と表現される。この定義より、分離できる2つの集合は当然ながら互いに素でなければならない。

さらに、 から単位区間 への連続関数 が存在し、任意の 、かつ任意の を満たすとき、集合 は「連続関数によって分離可能である」という。このような条件を満たす関数 は、 に対するウリゾーン関数と呼ばれる。

ある2つの部分集合が関数で分離できるならば、それぞれの閉包もまた同じ関数で分離することが可能である。さらに、関数によって分離できる集合のペアは、常に近傍によっても分離できる。

一般に、交わらない任意の2つの閉集合が近傍で分離できるような空間を正規空間と呼ぶ。ウリゾーンの補題が主張するのは、「交わらない任意の2つの閉集合が連続関数によって分離できること」が、その位相空間が正規であるための必要十分条件であるという点である。

なお、関数 は集合 の外側で必ずしも 以外の値を取る必要はない。仮に、 の元でのみ となり、 の元でのみ となるような「狭義の分離」が交わらない任意の閉集合間で常に成り立つ場合、その空間 完全正規空間と呼ばれる。

ウリゾーンの補題の登場を契機として、「チコノフ空間(完全規則空間)」や「完全ハウスドルフ空間」といった重要な位相的性質の概念が整備されることとなった。例えば、この補題の直接的な系として、正規なT1空間は必ずチコノフ空間になることが導かれる。

厳密な主張

位相空間 が正規であるための必要十分条件は、互いに交わらない任意の空でない閉部分集合 に対して、 かつ を満たす連続写像 が存在することである。

証明の骨子

証明の段階で構成されていく集合のイメージ

この定理の証明は、正規空間が持つ「 の開集合 とその閉部分集合 に対し、 を満たす開集合 と閉集合 が選べる」という同値な性質を繰り返し適用することで進められる。

まず、互いに素な閉集合 を用意する。証明の主要な方針は、この正規性の性質を の補集合 に対して適用し、得られた新たな集合に対してさらに同じ操作を無限に繰り返していくことである。

ここで、各ステップで構成する集合のインデックスとして二進有理数を利用する。開区間 に含まれるすべての二進有理数 に対して、以下の3つの条件を満たす開集合 および閉集合 を順次構築していく。

  • すべての について、 かつ
  • すべての について、
  • であるとき、

これは感覚的には、集合 から外側に向けて、層をなすように集合 が広がっていく構造を作っていることに相当する。

この具体的な作成手順には数学的帰納法を用いる。初期設定として、境界となる2つの集合を 、および と定めておく。

いま、ある について、 に対する集合 がすでに完成していると仮定する( のときは満たすべき対象がないため、この前提は自明に成り立つ)。空間 の正規性により、各 について、次の関係を満たす開集合と閉集合を新たに間に挟み込むことができる。

これにより、すべての二進有理数に対して上記の3条件を満たす集合の族が得られる。

これらの集合族が確保されたら、各点 における関数の値を定める。もし がどの にも含まれないのであれば とし、それ以外の場合は、 を満たすようなインデックス 下限を用いて次のように定義する。 二進有理数が実数直線上で稠密な集合であるという性質を利用すると、このようにして定めた関数 が連続であり、なおかつ および という要求を確かに満たしていることが証明できる。なお、この連続性の厳密な検証ステップにおいて、事前に用意した閉集合 の包含関係が重要な役割を果たす。

自動証明検証システムであるMizarプロジェクトにおいては、ウリゾーンの補題の厳密な形式化が完了しており、その証明プロセスが URYSOHN3 として完全に検証されている。

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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