ベテラン歌手・橘百合子は、若いころヌードモデルをしていたことがあり、その時、科学者の片桐慎一と愛し合う仲になったが、ついに結ばれることはなかった。老いた2人は再会し、もし2人が結ばれていたらという形でパラレルワールドが語られていく。「エロス」は、片桐が作った歌の題名である。
歌手のモデルは、ヌードモデルをしていた淡谷のり子である。直木賞候補は『マイナス・ゼロ』『ツィス』に続き3回目で、前2作と同様に司馬遼太郎一人が絶賛推奨したが、他の委員の支持を得られず受賞は逃した。この期の直木賞は「該当作品なし」となっている。刊行の翌年、広瀬は急死した。
集英社文庫に収録されて読み継がれている。