円筒鏡型アナライザー(CMA)を用いたAES装置の概要。電子ビームを試料に照射し、放出されたオージェ電子は電子銃のまわりで偏向し、アパーチャーを通ってCMAの後方に飛ぶ。これらの電子は電子倍増管に導入されて検出される。スウィープサプライにより電圧を変えることで微分モードのオージェ電子スペクトルを得ることができる。深さ方向分析のために、イオン銃が組み込まれる場合もある。
一般的なAESの励起源としては、数~20 keV程度に加速された電子線が用いられる。入射した電子線は固体の数μmの深さまで侵入する。電解放出型の電子銃により、直径が10 nm程度まで絞られた電子線が一般的に用いられる。さらに細く絞った電子線を用いて試料面内をスキャンすると、固体表面における空間的な分布を得ることができ、走査型オージェ電子分光(scanning Auger microscopy, SAM)と呼ばれる。
XPSの付属装置としてオージェ電子検出器が搭載されている場合は、励起源はXPSと同様に軟X線となる。
AESでは試料表面の汚染を防ぐため、10-10 Torr以下の超高真空が必要となる。試料導入部における大気排気にはターボ分子ポンプが用いられる。分析室を超高真空に維持するためにはイオンポンプやチタンサブリメーションポンプが用いられる。
光電子の運動エネルギー分光器としては、高感度の円筒鏡型アナライザー(CMA, cylindrical mirror analyzer)と、高エネルギー分解能の同心半球型アナライザー(CHA, concentric hemisherical analyzer)の2種類がある。
AESでは感度が求められるためCMAが用いられることが多い。
AESでは試料表面の汚染物や酸化膜などを除去するため、また深さ方向の分析をするためにアルゴンなどのイオン銃が搭載されている。数100~数1000 kVの電圧により加速されたイオンを試料に照射する。