カール・アレクサンダー・クラーク

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カール・アレクサンダー・クレルク(Carl Alexander Clerck、1709年 - 1765年7月22日)は、スウェーデン博物学者昆虫学者

近代分類学の父カール・フォン・リンネと同時代の人物であり、リンネの体系をクモ形類や昆虫類に応用した。1757年の著書『スウェーデンのクモ』は、動物命名法の歴史において極めて例外的な重要性を持つ。

1709年、スウェーデンの貴族の家系に生まれる。1726年にウプサラ大学に入学したが、当時は博物学ではなく公務員を目指しており、後に税務当局などの官職に就いた。

1730年代後半、ウプサラでリンネの講義を聴講したことで博物学に開眼。以後、公務の傍らでストックホルム近郊の昆虫やクモの収集・研究に没頭した。1764年にはスウェーデン王立科学アカデミーの会員に選出されたが、翌1765年、膵臓の疾患によりストックホルムで没した。

科学的業績と命名法上の特例

『スウェーデンのクモ』 (Aranei Svecici)

1757年に出版された本書は、スウェーデン産のクモ60種以上を精緻な彩色図版とともに記載した世界初のクモ学専門書である。

  • 命名法における特権: 通常、近代的な動物命名法はリンネの『自然の体系』第10版(1758年)を出発点とする。しかし、クレルクの本書は1757年刊行であるにもかかわらず、国際動物命名規約 (ICZN) によって「1758年1月1日に出版されたもの」とみなすという例外規定が設けられている(規約第3条)。
  • 優先権の保持: これにより、本書に記載された学名はリンネ(1758年)の命名よりも優先される。これは動物学全体を見渡しても、リンネ以外の著作に与えられた唯一の特権である。

『昆虫の図譜』 (Icones Insectorum rariorum)

1759年から1764年にかけて出版された全3巻(3巻目は未完)の図譜。

  • 内容: 主にリンネのコレクションに基づいた世界の珍しい蝶や蛾を扱っている。リンネが短い文章のみで記載した種を、クレルクが正確な手彩色の図版として視覚化した。
  • 学術的価値: リンネはこの著作を非常に高く評価し、自らの分類体系を補完する「最高の図譜」と呼んだ。現代でも、リンネが記載した種を特定するための重要な基準(レクトタイプ)として参照される。

評価

クレルクは、アマチュアの愛好家から出発しながらも、その観察眼と描写能力によって、当時最高の昆虫学者の一人となった。彼が命名した「ハエトリグモSalticus scenicus)」や「ニワオニグモAraneus diadematus)」などの学名は、現在も世界中で公式に使用され続けている。

主要な著作

  • Aranei Svecici / Svenska Spindlar (1757年)
  • Nomenclator extemporaneus rerum naturalium (1759年)
  • Icones Insectorum rariorum (1759年–1764年)

参考文献

脚注

関連項目

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