1865年、ボストン。南北戦争の惨禍から立ち直ろうとするアメリカで、イタリアの詩人ダンテの大作『神曲』を初めて翻訳しようという計画が立ち上がった。詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェローを始めとする文人たちは、翻訳のためのクラブ「ダンテ・クラブ」を設立する。
しかし一方でボストンのエスタブリッシュメントたちがメンバーであるハーバード大学理事会は、保守的なプロテスタントの牙城であり、海外からやってくる大量の移民とともに、ダンテの「不道徳で教皇主義的な迷信」が、アメリカを腐敗させるものだと、翻訳に真っ向から反対していた。
こうした中、連続殺人が起こる。被害者は、ハーバード大学理事会に関わりのある者たち、しかも殺害方法はダンテ『神曲』地獄篇で、罪人たちが責め苦しめられるやり方と思わせるものだった。この殺し方に込められた意味を、今のアメリカで理解できる者は、未訳の『神曲』の内容を知る「ダンテ・クラブ」のメンバーしかいない。このことを警察に告げれば、自分たちが容疑者になり、ダンテについて悪評が流れ翻訳計画を頓挫させかねない。こうして「ダンテ・クラブ」は殺人事件の解決に乗り出す。