ハトシェプスト (漫画)
From Wikipedia, the free encyclopedia
第1部
夫を殺して王位につくまでの、ハトシェプストの青年期を描く。
古代エジプト、霊能者の姉妹が居た。不器量な姉のメヌウと、知的障害のある美しい妹セシェン。対外的には「姉が術を使い、妹は精神統一を手伝う」ことになっていたが、実際に能力を持つのは妹のセシェンであった。母親の美貌も父親の力も受け継がなかったメヌウは、奔放なセシェンを心配する一方で妬ましく思っていた。
あるとき2人は、能力を使って止血と治療を施す場面をハトシェプストに見られ、それがきっかけで王宮に連れてこられる。予言を要求されたメヌウは、自分が能力を持たないことを知られまいと焦るが、紫の瞳をした王の姿が無意識のうちに見え、「紫の瞳の王子がファラオになる」と語る。しかしその紫の瞳の持ち主こそ王女ハトシェプストであり、女性ファラオなどありえないと考えられていた王宮内で、結局メヌウは大恥をかいてしまう。クレタ人系の金髪が珍しがられ、ハトシェプストに寵愛されるセシェンを見て、ハトシェプストが女性と知りながらもメヌウは嫉妬する。
そんなある日、ハトシェプストの父である現ファラオが病に倒れ、姉妹は手術に立ち会わされる。しかし、手術の失敗でファラオが崩御、姉妹は処刑されることになる。メヌウは土壇場で真実を明かし、実際に能力を持つセシェンに全責任を押し付けて先に処刑させる。実は処刑は形式的なもので、2人を王宮から逃がすための計らいだったのだが、セシェンは本当に死んでしまった。「イメージで血を止める者は、イメージで死ぬ」という、姉妹の父の言葉どおりに……
数年後、気の触れた泣き女が放浪していた。泣き女は金髪の妹を自らの手でミイラにしたという。そして彼女は「紫の瞳の女が、夫に毒を盛るのが見える。付け髭をつけて王位につくのが見える」とつぶやいて立ち去るのだった。
第2部
少女時代のハトシェプストを、書記官見習いの視点も交えて描く。
ハトシェプストは狩りや剣術が得意で男勝りな王女。父トトメス1世は、長男ワジモーズの死んだ年に生まれた彼女を非常に可愛がっているが、母である第1王妃は「妹のメリエトはこんなにもたおやかなのに」と嘆くばかり。ある時、クレタから巫女がやってくる。彼女は戦争の捕虜として連れてこられたのだが、その美しさと能力から王宮に献上されたのだ。巫女は王と次男アメンモーズとで二股をかけていた。ハトシェプストはこの巫女がどうも好きになれず、自身が女らしく成長しているのを指摘されると逃げ出すのだった。
数日後、父と兄が狩りに出かけるのを見てハトシェプストはついていく。狩りで手柄を立てれば、従弟ケペルエンラーより自分が優れていると分かってもらえると思ったからだ。しかし父と兄はクレタの巫女のことで話し合っており、相手にされず彼女は心を痛める。追い討ちをかけるように、彼女の第二次性徴は加速する。
父を兄と従弟に奪われ、母を妹に奪われ、自分の身体の女性化をどうすることもできないハトシェプストはただ孤独だった。彼女は巫女に誘われるまま、身体を委ねた。その頃、第2王妃は自分の息子ケペルを王位につけようと目論んでいた。そのためには、今王位継承権第1位のアメンモーズが邪魔。巫女に唆された第2王妃は、ついにアメンモーズを毒殺する。父王は嘆き悲しみ、ハトシェプストが女に生まれたことを悔やみつつ、しぶしぶケペルを嫡男の地位にすえる。そしてメリエトをケペルの妻にする準備が進められた。
ハトシェプストが目を覚ますと、すべては変わっていた。巫女はアメンモーズ毒殺のかどで処刑され、次期王はケペルエンラーになっていた。彼女は妹と従弟を殺し、嫡子である自分がいつか王位につくことを誓うのだった。