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バソプレッシン

ホルモンの一つ From Wikipedia, the free encyclopedia

バソプレッシン(英: Vasopressin)は、ヒトを含む多くの動物で見られるペプチドホルモンである。ヒトでは視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。片仮名表記ではバゾプレシン(独: Vasopressin)などと書かれることもあり、抗利尿ホルモン(英: Antidiuretic hormone:ADH)、血圧上昇ホルモンとも呼ばれる。多くの動物ではアルギニンバソプレッシン(英: Arginine vasopressin:VP)だが、豚ではリシンバソプレッシン、鳥類ではアルギニンバゾトシンである。アルギニンバソプレシンは高用量で強力な血管収縮作用を持ち、心肺蘇生や敗血症などにおいて血管収縮薬として用いられる他、低用量で尿崩症の治療にも用いられる。合成アルギニンバソプレシン製剤(商品名 ピトレシン)が市販されている。

別名 Antidiuretic hormone (ADH); arginine vasopressin (AVP); argipressin
ATCコード
組織 Supraoptic nucleus; paraventricular nucleus of hypothalamus
概要 臨床データ, 発音 ...
バソプレッシン
臨床データ
発音 [ˌveɪzoʊˈprɛsɪn]
別名 Antidiuretic hormone (ADH); arginine vasopressin (AVP); argipressin
ATCコード
生理学データ
組織 Supraoptic nucleus; paraventricular nucleus of hypothalamus
標的組織 System-wide
受容体 V1A, V1B, V2, OXTR
アゴニスト Felypressin, desmopressin
受容体拮抗薬 Diuretics
代謝 主に肝臓と腎臓
薬物動態データ
タンパク結合 1%
代謝 主に肝臓と腎臓
消失半減期 10–20 分
排泄 尿
識別子
CAS登録番号
PubChem
CID
IUPHAR/BPS
DrugBank
ChemSpider
UNII
KEGG
ChEBI
ChEMBL
CompTox
Dashboard

(EPA)
化学的および物理的データ
化学式 C46H65N15O12S2
分子量 1084.24 g·mol−1
3D model
(JSmol)
密度 1.6±0.1 g/cm3
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記号AVP, ADH, ARVP, AVP-NPII, AVRP, VP, AVP gene, AVP (gene), Prepro-AVP-NP II, arginine vasopressin gene, vasopressin gene, prepro-arginine-vasopressin-neurophysin II gene, vasopressin-neurophysin II-copeptin, vasopressin-neurophysin 2-copeptin, prepro-AVP2
染色体20番染色体 (ヒト)[1]
終点3,084,724 bp[1]
概要 AVP, 識別子 ...
AVP
識別子
記号AVP, ADH, ARVP, AVP-NPII, AVRP, VP, AVP gene, AVP (gene), Prepro-AVP-NP II, arginine vasopressin gene, vasopressin gene, prepro-arginine-vasopressin-neurophysin II gene, vasopressin-neurophysin II-copeptin, vasopressin-neurophysin 2-copeptin, prepro-AVP2
外部IDOMIM: 192340 MGI: 97453 HomoloGene: 417 GeneCards: AVP
遺伝子の位置 (ヒト)
20番染色体 (ヒト)
染色体20番染色体 (ヒト)[1]
20番染色体 (ヒト)
AVP遺伝子の位置
AVP遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点3,082,556 bp[1]
終点3,084,724 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
2番染色体 (マウス)
染色体2番染色体 (マウス)[2]
2番染色体 (マウス)
AVP遺伝子の位置
AVP遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点130,418,093 bp[2]
終点130,418,974 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能• protein kinase activity
• ホルモン活性
• cysteine-type endopeptidase inhibitor activity involved in apoptotic process
• neurohypophyseal hormone activity
• 受容体結合
• V1A vasopressin receptor binding
• V1B vasopressin receptor binding
• neuropeptide hormone activity
細胞の構成要素• 細胞外領域
• 細胞質基質
• clathrin-coated vesicle membrane
• 細胞外空間
• secretory granule
• 樹状突起
生物学的プロセス• negative regulation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
• 血管収縮
• negative regulation of release of cytochrome c from mitochondria
• ERK1 and ERK2 cascade
• water transport
• 細胞間シグナル伝達
• negative regulation of apoptotic process
• protein kinase C signaling
• generation of precursor metabolites and energy
• positive regulation of peptidyl-serine phosphorylation
• positive regulation of gene expression
• renal water homeostasis
• シグナル伝達
• アポトーシス
• membrane organization
• regulation of signaling receptor activity
• Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
• maternal aggressive behavior
• positive regulation of systemic arterial blood pressure
• positive regulation of cytosolic calcium ion concentration
• negative regulation of female receptivity
• グルーミング
• locomotory behavior
• positive regulation of cell population proliferation
• positive regulation of glutamate secretion
• 有機環状化合物への反応
• positive regulation of cell growth
• positive regulation of prostaglandin biosynthetic process
• positive regulation of cellular pH reduction
• response to testosterone
• response to nicotine
• 社会的行動
• regulation of renal sodium excretion
• hyperosmotic salinity response
• 母性行動
• 勃起
• response to ethanol
• positive regulation of vasoconstriction
• multicellular organismal water homeostasis
• negative regulation of transmission of nerve impulse
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_000490

NM_011025

RefSeq
(タンパク質)

NP_000481

NP_035155

場所
(UCSC)
Chr 20: 3.08 – 3.08 MbChr 20: 130.42 – 130.42 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
閉じる

ヒトにおいて

抗利尿ホルモンの名の通り、腎臓での水の再吸収を増加させることによって、利尿を妨げる働きをする。またVaso(管)+ press(圧迫)+ in から作られた語であることからもわかるように、血管を収縮させて血圧を上げる効果がある[5]。

意義

利尿を妨げることは体液の喪失を防ぐことになり、脱水やショックなどのように循環血漿量が減少した時(血漿浸透圧が上昇した時)に体液を保持する意義がある。

構造

9アミノ酸からなるペプチドである。Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Arg-Gly-CONH2のCysとCysがS-S結合でつながった構造。

合成・分泌

脳の視床下部にある神経細胞体で合成されたシグナルペプチド(SP)、バソプレッシン(VP)、ニューロフィジン(NPH)、糖タンパク質(GP)からなるプレプロプレッソフィジンと呼ばれるプレプロホルモンは、最初にシグナルペプチドを取り除かれプロホルモンとなり、軸索輸送により脳下垂体後葉にあるシナプスへ送られる間に開裂しバソプレッシンとなり、血管内へ分泌される。

受容・伝達

バソプレッシンのシグナルは腎臓の細胞膜にあるV2受容体を介して伝えられる。そして、3量体Gタンパク質であるGsタンパク質に情報は伝達され、それがアデニル酸シクラーゼを活性化させる。それによりATPがcAMPに変わり、そのcAMPはAキナーゼを活性化する。そのAキナーゼは小胞にあるアクアポリン2を管腔側に移行させて、管腔内の水を細胞内に再吸収する。それにより抗利尿作用が促進される。

作用機序

腎臓の尿細管細胞の1つである集合管内にあるアクアポリン2(AQP2)が管腔側細胞膜の間質液に移動し、集合管内の水の透過性が上昇し水分再吸収を促進する。

バソプレッシンに関連した疾患

治療薬としてのバソプレッシン

ホルモン補充療法

バソプレッシンは、脳下垂体後葉の荒廃による分泌不全(中枢性尿崩症)に対して、注射剤として用いられている。 また、誘導体であるデスモプレッシンは、注射・点鼻の形で用いられている。

救急医療における適応

敗血症性ショックに対する血管収縮薬として、ノルアドレナリン投与で効果が不十分な場合に第二選択として投与が考慮される(『日本版敗血症ガイドライン2020』)。

以前、心停止に対する血管収縮薬の1つとして投与されていたこともあったが、現在のガイドライン(『JRC蘇生ガイドライン2015』:2020でも変更なし)では推奨されていない(『バソプレシンをアドレナリンの代用として使用すべきでないことを提案する(弱い推奨、低いエビデンス)』)。

ヒト以外の生物において

腎臓とは異なるタイプの受容体が脳にも分布しており、バソプレッシンが動物の行動に影響を与えることがラットなどを用いた実験で報告されている。さらに幼少期のマウスにストレスを与えると、バソプレッシンの分泌が促進され、これによりエピジェネティックな調節によりバソプレッシンの分泌レベルが生涯にわたって高くなる。そのことにより記憶力の低下、適応性などに対する困難を生じるという結果が報告された。

出典

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