ピアノソナタ (バルトーク)
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1926年の夏、バルトークは家族を避暑地に送り出すと、自らはブダペストに残り作曲に取り組んだ。主たる要因は翌年の演奏会に向けてピアノ協奏曲第1番を書くことだったようだが、20種類を超えるアイディアの断章が遺されており、その中からこのソナタや組曲『戸外にて』、『9つのピアノ小品』などが発想されて書き上げられたことが判明している。こういった経緯からこれらの作品はお互いに影響している点(例えばピアノ協奏曲とこのソナタは主調が同じ)が認められるが、特に『戸外にて』の第3曲【ミュゼット】について、バルトークの研究家である音楽学者ラズロー・ショムファイはソナタ終楽章の草稿を研究した結果「ソナタ終楽章の完成直前にカットされた部分から改めて作られた」と結論付けている。
自らもフランツ・リストの系譜に繋がる優れたピアニストであったバルトークが、自らのレパートリーの1つとして作曲した作品であると同時に、どちらかと言えば小品の方が多い彼のピアノ作品の中で、大規模な構造を持っている数少ない作品の1つである。
当時の新古典主義の影響があったことを作曲者自身が認めている通り、形式的にはクラシカルなソナタ形式を踏まえ、オーソドックスな3楽章で構成されている。ただし様々な音階(長音階や短音階に加え、全音音階や五音音階など)の使用、半音階的な和声による調性感の不明確な響きに加え、バルトークが目指していたバロック音楽的な構造の明確さ、そしてこの時期の彼の作品で特に目立つピアノの打楽器的な使用、重厚な和音塊が特徴となっている。
演奏には彼自身が弾くことを前提として作曲したピアノ協奏曲第1番、第2番と同様にかなりのテクニックが要求される。
本作は、第二の妻のパーストリ・ディッタに献呈されているが、出版された楽譜にはその記載は無い。