匣の中の失楽

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匣の中の失楽』(はこのなかのしつらく)は、竹本健治による推理小説

小説雑誌『幻影城』において、1977年4月から1978年2月まで連載されていた作品で、竹本の処女作に当たる。

探偵小説でありながら探偵小説を否定する、いわゆる反推理小説、アンチ・ミステリーという体裁をとっている。

小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、夢野久作の『ドグラ・マグラ』、中井英夫の『虚無への供物』といった、いわゆる三大奇書に強い影響を受けており、これら三つの作品に『匣の中の失楽』を加えて四大奇書と呼ぶという見方もある。

ストーリー

本作は、章ごとに虚実が反転するというメタフィクション的な構成になっている。つまり、奇数章の世界においては、偶数章はナイルズ(片城成)の執筆した実名小説『いかにして密室はつくられたか』の一部であり、偶数章の世界においては、奇数章のほうが『いかにして密室はつくられたか』の一部である。

奇数章

探偵小説を愛好する大学生やティーンエイジャーが集まる例会で、ナイルズが登場人物を実名にした推理小説の執筆を表明する。

そんな中失踪していた会員の一人、曳間了が同じく会員の倉野の部屋で死体で発見される。部屋は外から鍵がかけられた『逆密室』で、小説と所々リンクしながらも会員達は誰が彼を殺したのかと推理合戦を繰り広げる。さらに部屋が突然停電になり、第二の殺人が起こる。その途中では密教の降三世、中国の九星術、心理学のカタストロフィー理論などの蘊蓄が滔々と語られる。

偶数章

探偵小説を愛好する大学生やティーンエイジャーが集まる例会で、ナイルズが登場人物を実名にした推理小説の執筆を表明する。

そんな中会員の一人、真沼寛が床から天井まで黒く塗られた『黒い部屋』で突然蒸発する。部屋は中から鍵がかけられた『密室』で、中には血痕が残されていた。いったいどうやって消えたのかと推理を広げる一行だが真相が不明のまま、やがて第二の殺人が起こる。推理の過程では重力方程式や量子力学、果ては各種の化学物質やその構造式まで講義が繰り広げられる。

主な登場人物

書誌情報

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