塚越亨生
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1990年、第2回日本ファンタジーノベル大賞において、投稿作『七色の足跡』が最終候補となる。同作は受賞こそ逃したものの、選考委員であった荒俣宏から「文章の完成度が群を抜いている」と激賞された。
1992年、同作を改稿した『七色の足跡』でデビュー。当時、多くのファンタジー作品がライトノベル的な方向へ向かう中で、澁澤龍彦や中井英夫の流れを汲むような「大人のための幻想文学」の書き手として、SFやミステリーの読者層からも高い支持を得た。
作風と評価
塚越の作品は、特定の土地が持つ「負の歴史」や「民俗的な記憶」を、科学的あるいは幻想的な装置によって顕在化させる点に特徴がある。
- 地誌的幻想: デビュー作での足尾銅山や、故郷である群馬周辺の風景を想起させる描写が多く、土地の記憶と個人の意識が混濁する世界観を得意とする。
- 博覧強記な文体: 鉱物学、地質学、歴史学などの知識が物語の随所に散りばめられており、その知的で硬質な文体は「伝奇小説の正統な後継者」とも評された。
作品リスト
単行本
- 足尾銅山鉱毒事件を背景に、大地に刻まれた異形の足跡と、時空を越えた因縁を描く。
- 『眠れる河』(1994年9月、新潮社)
- 記憶の深層と川の流れを重ね合わせ、喪失と再生を描いた長編。
短編・雑誌掲載作品
単行本未収録のものを含め、多くの珠玉の中短編を発表している。
- 「龍の見た夢」(『小説新潮』)
- 「月の鱗」(『幻想文学』)
- 「石の声」
- 「仮面の王」
- 「遠い雷鳴」(『SFマガジン』)
- 「風の記憶」
- 「琥珀の夢」