『安政見聞録』は、1855年11月11日(安政2年10月2日)の夜10時頃に発生した地震の様子を記録した書物で、安政3年6月に刊行された。著者は服部保徳、挿絵は一梅斎芳晴によって描かれ、地震時の教訓を多く盛り込んだ内容になっている。この書物は、先に出版された同様の書籍『安政見聞誌』を意識した内容になっており、装丁や構成だけを見てもそれを窺い知ることができる。内容を見ると、『安政見聞誌』が衆俗の様々な情報や取材内容をありのまま載せているのに対し、『見聞録』は教訓になる話を選び、筆者の考察を加えて書いている。また、『見聞録』の下巻には『見聞誌』にはない科学的な考察も見ることができる。