一
隧道つきて顕はるる
横須賀港の深みどり
潮に浮かぶ城郭は
名も香しき敷島艦
二
大和の国の鎮めとぞ
思へばそぞろ尊くて
広間の中に入り立てば
ただ宮殿の心地せり
三
ああ羨まし斯くばかり
みごと堅固の鉄の艦
我が家となして大洋を
自在に旅するますらをよ
四
さは云ふものの掻き暗き
雨の降る日は如何あらむ
疾風吹き立ち波の山
天に蔓る夜は如何に
五
ふりさけ見れば山もなく
鳥も帆影も灘の上
糧尽き水も乏しくて
永くとわたる事あらむ
六
かかる侘しき艦の内
憂ひ思はぬ乗組の
人の操は鉄石か
人の力は錦繍か
七
まして戦争起りなば
勇気日頃に百倍し
放つや大砲速射砲
向ふ敵艦皆微塵
八
修羅の巷の荒波を
僅かの間に占領し
凱歌揚る旗の影
名誉の光ぞ輝かむ
九
嗚呼美事なる甲鉄艦
ああ堅固なる敷島艦
見れば心も爽やかに
乗れば気分も引き立ちぬ
十
艦の堅固は乗組の
人の操と何れぞや
艦の美事は乗組の
人の心と何れぞや
十一
艦の名に負ふ敷島の
倭心の大丈夫よ
君等に深く謝するなり
御国を守る其の勲