近代農学の成立期である明治時代には、官主導による近代農学に対する民間での農事改良の担い手として「老農」とよばれる農民たちが活躍していた。
彼らは、輸入学問であった近代農学とは独立して、近世以前の在来農学の蓄積に基づき、単なる個人の経験の寄せ集めという段階を越えた実証主義的な態度からの技術改良を志向した。一部には、イネの品種間の実証的な比較収量試験を行ったり、メンデルの法則の導入以前から交配によるカイコの品種改良を試みるものもいたという。
彼ら老農たちは居住地域の枠を超えて活発に農談会とよばれる会合を開くなどの活動を行い、在来農法の改善に努めた。その結果を総称したものが明治農法である。