イギリス普通切手のエリザベス2世(1952年) 3ペンス
カナダ普通切手のエリザベス2世(1954年) 5セント
英領ホンジュラス(現ベリーズ)普通切手(1938年) 15セント
中華民国普通切手の孫文(1946年) 5圓に2000圓と加刷
普通切手は、使用の便を考慮して創始以来形状や大きさにはあまり変化は見られないが、初期の証票的な意匠から絵画的な意匠へと変遷していく傾向がある。
君主国においては、国家元首である国王の肖像がどの額面の普通切手にも登場している。この例としてイギリスのエリザベス2世や、スペインのフアン・カルロス1世の普通切手などである。その他、世界最初のペニーブラックを初め、その国最初の切手のデザインは当時の君主の肖像であった例は数多い。なお、イギリスは世界最初の切手発行国であるため、慣習的に切手に国名表記を入れない代わりに、全ての切手に国王の肖像ないしシルエット(記念切手の場合)が入れられている(カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなど、イギリス連邦構成国の切手についても同様の措置が採られている。ただし国名表記はある点が異なる)。
また、かつて大英帝国として世界各地に植民地を持っていたイギリスは、1930年代から1950年代にかけて、植民地用として記念切手並のサイズの普通切手シリーズを出していた。これはアールヌーボー調の外枠デザインのなかに国王の肖像を収め、その枠内にその植民地の風景や文物を描いていた。そのため植民地領有を主張する手段ともっていた。
共和国においても、現職ないし歴代の大統領などの政治家の肖像が切手になっている。顕著な例として、アメリカ合衆国が挙げられる。1866年には、死去間もないエイブラハム・リンカーン大統領が切手に登場した。但し、存命者の図案化は避けられている。大統領の場合、連邦法(合衆国法典第31編5112条)で存命の大統領および死後2年以内の大統領を図案に採用することは、貨幣も含め禁止されている。このため、かつて1938年から1954年まで、アメリカで使用されていた、歴代の合衆国大統領の肖像を図案とした普通切手では、歴代大統領のうち、発行当時(1938年)に存命中だった人物(現職を含む)は、図案には採用されなかった。一方で、例えばサッダーム・フセイン時代のイラクなど、現職の国家元首の肖像が普通切手になっている国も少なくない。
普通切手の意匠は、国によりさまざまである。国家元首を描く国などでは、全て同じ意匠の切手になることがあるが、この場合、額面だけでなく、刷色を変えることで区別を行っている。
その国を象徴する産業、風景、動植物、文化財などが普通切手の意匠になる場合も多く、一定のテーマを決めて発行することが多い。例えば、ドイツは花(以前は著名な女性や工業製品など)、中国では鳥類、香港では風景などである。なお、郵便切手の販売を国家歳入の重要な財源にしている国では、5年程度で全ての額面の普通切手の意匠を一斉に改定する場合もある。