原装は巻子本で、本来『古今和歌集』の巻一~巻二十と「序」を備えていたものと思われるが、現存する巻は巻十、十一、十二、十三、十四、十六、十七、十八のみである。
料紙は、古渡りの唐紙で、白、縹(はなだ:薄い藍色)、朽葉色などの具引きを施した上に、雲母(きら)で唐草、雲鶴、夾竹桃(きょうちくとう)などの文様を刷り出したものである。(「具引き」とは、胡粉(貝殻を焼いたものの粉末)または、これに顔料を加えたものを刷毛で紙面に塗る「引き染め」のこと)
現存する本阿弥切『古今和歌集』は、零巻(完本でなく、一部が欠けた巻物)と断簡(切断された紙片)のみで、原装のまま残るものはない。巻十二の零巻(国宝)が京都国立博物館、巻十六の大部分と巻十七の一部を合わせた零巻(旧御物)が三の丸尚蔵館に所蔵される。このほか、巻十と巻十一の各一部を合わせた零巻がかつて存在し、古美術収集家として著名な実業家益田孝の所蔵であったが、この巻は後に分割されている。