無次元ハッブル定数
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定義
導入の目的と利点
宇宙論モデルにおいてこのパラメータが重用される背景には、主に以下の二点がある。
- 観測データの不確実性への対応:20世紀後半において、ハッブル定数の観測値には 50 から 100 km/s/Mpc という大きな幅が存在した。h を用いることで、観測値が更新されるたびに数式全体を書き直す手間を省き、結果を h^-1 や h^-2 の関数として提示することが可能となった。
- 計算の簡略化:密度パラメータ Ωm などの物理量は、H0 を含む複雑な係数を伴うことが多い。H0 = 100h と置換することで、式の係数を整理し、宇宙論的シミュレーションや理論解析を効率化できる。
現代宇宙論における役割
現代の精密宇宙論(プランク衛星やバリオン音響振動の観測など)において、H0 は高い精度で制限されている。しかし、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)から導出される H0 の値(約 67 km/s/Mpc)と、近傍宇宙の超新星観測から得られる値(約 73 km/s/Mpc)の間に乖離が見られる「ハッブル・テンション」と呼ばれる問題が生じている。
この状況下で、無次元ハッブル定数 h は単なる「計算上の便宜」ではなく、宇宙の膨張率に関する理論モデルと観測データが合致しているかを確認するための、極めて重要な比較指標となっている。
関連項目
参考文献
- Peacock, J. A. (1999). Cosmological Physics. Cambridge University Press. ISBN 978-0521422703
- Planck Collaboration (2020). “Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters”. Astronomy & Astrophysics 641: A6. doi:10.1051/0004-6361/201833910.
- Freedman, W. L.; Madore, B. F. (2010). “The Hubble Constant”. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 48: 673-710. doi:10.1146/annurev-astro-082708-101829.