孤児として育った主人公の貢は、年上の女性のお雪を慕っていた。また同時に孤児であることから近所のガキ大将からは侮蔑されていた。ある時、貢は「照葉狂言」一座の女座頭に愛され金沢を離れる。
大阪、京都を巡り8年後、貢は能役者となり金沢へ戻るが……。
貢は両親を亡くし、伯父の家に引き取られている。真向かいの広岡の娘お雪もじゃけんな継母に育てられるはかない身の上。お雪は貢をまたとないものと思えば、貢ぐもまたお雪を姉のように慕う。たまたま近所の広場に照葉狂言の一座がかかり、貢は毎晩見物に行く。一座の若師匠小親は色白で髪黒い少年の客を一夜、桟敷に招き、饗応するが、帰途悪太郎どもに襲われるのをかばって家まで届けると、それは貢。あたかも伯父一家は賭博の現場を踏み込まれ、孤児となった貢はその夜から小親に養われる身となる。諸国を回り8年後、一座はふたたび貢の故郷を訪れる。貢はお雪の気の毒な境遇と、小親の愛情になずむわが身をひきくらべかえりみて、救うことのできないお雪の不運に報いようと、小親をも永久に捨て、夜半ひそかにひとり山路を越えて行く。
物語に登場する少年と年上の女性の間に、鏡花らしい母性思慕の主題がうかがえる作品である。