白い悪魔
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『白い悪魔』 (しろいあくま、The White Devil)は、イギリスの劇作家ジョン・ウェブスター(1580年? - 1634年?)によるイギリス・ルネサンス演劇作品。
1612年初頭にアン女王一座のレパートリーとして執筆された。同劇団によってレッド・ブル・シアターで行なわれた初演は興行的に大失敗であったが、ウェブスター自身は冬の最中に知性や感受性の乏しい観客の前で上演したのが悪かったとこぼしている。たしかに複雑で洗練され諷刺に満ちたこの復讐劇は、単純で楽天的な戯曲ばかりを上演していたこの劇団の演目としてはそぐわないものであった。1630年にコックピット・シアターでヘンリエッタ女王一座によって再演されたときには成功を収め、翌1631年には再版が刊行された。
この作品のストーリーは、執筆より30年ほど前となる1585年12月22日にイタリアのパドヴァで起きたヴィットリア・アッコランボーニ殺害事件にもとづいて構想されている。ウェブスターはこのイタリアの道徳的腐敗を象徴する事件を題材とすることにより、同時代のイギリス、とりわけ宮廷の政治的・倫理的退廃を描き出そうという意図を抱いていた。『白い悪魔』という題名は、同時代によく知られていた「白い悪魔は、黒いやつよりなお悪い」という諺を引用したものである。戯曲全体は、自分自身を潔白で純粋な善人と称する人の自己認識と、現実の人となりとがいかにかけ離れているかということをテーマとしている。