ABC輸送体(ATP結合カセット輸送体)は分子量の小さな物質を通過させる膜タンパク質であり、総称してABCスーパーファミリーとも呼ばれる。現在までにおよそ250種のABC輸送体が同定されている。2つの膜貫通ドメインおよび2つのATP結合ドメインを持ち、ウォーカーAモチーフ及びウォーカーBモチーフというアミノ酸配列が生物種を超えてよく保存されている。哺乳類においてリン脂質や脂溶性薬物の輸送に関与している。細菌においてはアミノ酸や糖、ペプチドの輸送も行っている。
ABC輸送体の中にはさらにサブファミリーが存在する。その中でもMDR/TAPおよびMRP/CFTRサブファミリーが薬物輸送に関与している。
P-糖タンパク質は1,280個のアミノ酸より構成される分子量約 170 kDa の膜タンパク質であり、12回膜貫通型タンパク質である。MDRサブファミリーに属する。脂溶性の高い薬物を細胞外へ排出し、異物の侵入を防ぐバリアーとして機能していることが分かっている。抗がん剤に対して多剤耐性を示すがん細胞より発見されたが、その後小腸上皮や血液脳関門を形成する脳毛細血管内皮細胞など様々な組織に発現していることがわかった。
P型ATPアーゼはイオン輸送を行う。代表的なものとして、筋肉の Na+/K+ ATPアーゼ、Ca+ ATPアーゼ、胃頂端膜の H+/K+ ATPアーゼなどが挙げられる。
F型ATPアーゼ(ATP合成酵素)は呼吸鎖と共役してATP産生を行う重要な分子であり、その構造中にF0およびF1ドメインを含む。H+ の流れとともにモーター部分が回転してATP産生を行う。
V型プロトンポンプはATPのエネルギーを利用してH+の輸送を行う
V型ATPアーゼ(液胞型ATPアーゼ)は膜表面にありATPアーゼ活性を示し、F型ATPアーゼと類似した構造を持つ。V1ドメインと膜内部に存在して物質の透過に機能するV0ドメインを持つ。リソソームやエンドソーム、細胞膜、分泌小胞などに発現しており、V型ATPアーゼ特異位的阻害剤バフィロマイシンA1により機能が阻害される。V型H+ポンプは細胞内pHの調節に関与している。