袖搦
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概要
袖搦は、先端にかえしのついた釣り針のような突起を持つ先端部分と刺のついた鞘からなり、鞘に木製の柄に取り付けて使用する。容疑者の衣服に先端部分を引っ掛けて絡め取る事で相手の行動を封じる。鞘の刺は相手に掴まれて奪われない様にするための工夫である。棍棒や槍としても使用可能である。
刺又、突棒などとともに捕り物の三つ道具とよばれ、抵抗する人を取り押さえる際に使用された武具である。どれも2.1m(7尺)の長さがあり、相手が振るう打刀、長脇差の有効範囲外から攻撃が可能である。
箱根関所跡をはじめ、各地の博物館にはこれらの武具または復元模型が展示されている。
袖搦を用いる三道具術は、現在では一部の古武術・捕手術の流派に伝承されるにとどまる。一方で、長柄の器具によって対象との距離を確保するという性質は、現代の防犯器具やクマ対策器具にも通じるものがある。
クマ対策器具として
現代では、袖搦に類似した長柄の器具が、クマ類との接触を避けるためのクマ対策器具として考案・使用される例がある。これらは対象を捕縛することを主目的とするものではなく、使用者とクマとの間に距離を確保し、接近や突進を一時的に妨げることを目的とする。形状によっては槍状武器に類似するものもあるが、使用目的は殺傷ではなく、対象との間合いの確保や接近の抑止にあり、機能面では刺股に類似する。一例として、山菜採りやきのこ採りの際にクマと対峙する状況を想定したポール型器具では、全長を1.7m(5.6ft)とし、使用者がクマの前肢や頭部から一定の距離を保てるよう設計されたものがある。柄はアルミニウムや強化プラスチックなどで軽量化され、先端部には鉤状部品、突起、網状または枠状の構造、顔面や前肢への接触を避けるためのガードなどを備えるものがある。
クマ対策においては、対象が人間よりも腕力・体重・敏捷性に優れるため、袖搦状の器具だけでクマを制圧することは困難である。そのため、これらの器具はクマを捕らえるためではなく、接近を遅らせる、使用者の身体に直接触れさせない、退避や救助要請までの時間を稼ぐ、といった補助的な用途で用いられる。また、クマ撃退スプレー、熊鈴、ホイッスル、ヘルメットやフェイスガード、防臭袋などの装備と併用されることが多い。
一方で、至近距離での突発的な遭遇、子連れの個体、餌に執着した個体、人慣れした個体、あるいは大型個体に対しては、長柄器具による抑止効果は限定的である。使用者が器具を奪われたり、押し倒されたりする危険もあるため、単独での防御手段として過信すべきではない。クマ対策器具として用いる場合でも、クマの出没情報の確認、複数人での行動、食料やゴミの管理、見通しの悪い場所での声出しなど、遭遇を避けるための行動対策が重要とされる。
