遅延送出システム
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生放送であっても、不適切な言葉や内容などを人間がチェックし、適切に対応するための必要最小限の時間さえ確保できれば、放送事故には至らない。
このことから、1950年代には既にこの目的を達成する装置が考案され、ラジオ放送用として作られている。これは当時最新鋭のテープレコーダを改造した、録音ヘッドを二つ、再生ヘッドを一つ持ち、二つの録音ヘッドが物理的に離された特殊な構造のもので、第一の録音ヘッドと第二の録音ヘッドとの距離は、人、すなわち検聴者が内容を判断し、効果音などを入れる操作をするために必要な時間分となっていた。
すなわちまず、第一の録音ヘッドにより磁気テープに音声を記録するが、このとき例えば不適切な内容の音声が記録されたならば、その記録された部分が第二の録音ヘッドにさしかかったとき、検聴者が手動で効果音などを上書きし、その後にある再生ヘッドから「修正されたプログラム」を得るというものであった。これを「テープ・ディレイ・システム」(Tape delay system)などという。
テープ・ディレイ・システムは、アメリカのWKAPの主任技術者であった、C.Frank Cordaroの発明とされているが、もともと実用的なテープレコーダは、ドイツのBASF社によるアセテート樹脂製磁気テープの実用化と、1938年、日本の永井健三、五十嵐悌二の交流バイアス方式の発明によりドイツで完成され、第二次世界大戦中、ナチの政治宣伝・対敵宣撫放送用のメディアとして活用されており、当時の言論弾圧体制と相まって、既にドイツで作られていた(すなわち1940年代には作られていた)可能性を否定できず、起源ははっきりしない。