面会交流

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面会交流(めんかいこうりゅう)または親子交流(おやここうりゅう)は、離婚や別居によって子と離れて暮らす父母の一方と子との間で行われる交流をいう。交流には、直接会って過ごすことのほか、電話、手紙、電子メール、オンラインによる交流などが含まれ得る。日本の法制度では、従来「面会交流」という用語が広く用いられてきたが、2026年(令和8年)4月1日に施行された民法等の改正以降、裁判所の手続名などでは「親子交流」という用語が用いられている。

概要

親子交流は、離婚または別居後も、子が父母の一方または双方との親子関係を維持するための方法の一つである。交流の具体的な内容は、子の年齢、発達の程度、生活状況、就学状況、父母の居住地その他の事情を踏まえて定められる。

日本では、離婚に際して父母が協議をする場合、民法第766条に基づき、子の監護をすべき者、父母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項を定めることとされている。これらを定める際には、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。協議が調わない場合または協議をすることができない場合には、家庭裁判所がこれらの事項を定めることができる。民法等の一部を改正する法律の概要について”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

2026年(令和8年)4月1日に施行された「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)では、父母の離婚後等の子の養育に関する制度が大幅に見直された。改正法では、父母の離婚後の親権について、父母の双方を親権者とすること(離婚後共同親権)も選択できる制度が導入された一方、父母の双方を親権者とすることが子の利益を害する場合などには、父母の一方を親権者とすることとされている。また、親の責務、親権・監護、養育費、親子交流などについて規定が見直された。民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

子の利益

親子交流については、父母のいずれかの権利として一律に実施するという考え方ではなく、子の利益を最も優先して具体的な内容を定めることが重要とされている。

2026年施行の改正民法では、父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢および発達の程度に配慮して子を養育しなければならないとされた。法務省は、この「子の人格を尊重する」ことには、子の意見・意向等を適切な形で尊重する趣旨が含まれるとしている。Q&A形式の解説資料(民法編)”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

家庭裁判所における親子交流の調停においても、子の年齢、性格、就学の有無、生活リズム、生活環境などを考慮し、子に精神的な負担を与えないよう配慮するとともに、子の年齢や発達の程度に応じて、その意見・意向等を適切に尊重して取り決めを行うこととされている。親子交流調停”. 裁判所. 2026年8月8日閲覧。

交流の方法

親子交流の方法や頻度について法律上、一律の基準が定められているわけではない。父母の協議等によって、子の利益を最も優先して具体的な内容を定めることになる。

取り決めの対象となる事項としては、例えば次のようなものがある。

  • 交流の頻度および時間
  • 宿泊を伴う交流の有無
  • 子の受渡しの場所および方法
  • 交流場所
  • 長期休暇中の交流
  • 電話、手紙、電子メール、オンライン等による交流
  • 誕生日、学校行事その他の特別な機会における交流
  • 父母以外の第三者の立会いや支援を伴う交流
  • 子の安全確保その他の交流に際して必要となる事項

具体的な内容は、子の年齢や発達の程度、生活状況、父母間の関係、これまでの親子関係などを踏まえて定められる。

家庭裁判所における手続

父母の話合いによって親子交流について合意できない場合や、話合いができない場合には、家庭裁判所の調停または審判の手続を利用することができる。裁判所では、この手続を「親子交流調停」と呼んでいる。

離婚後だけでなく、離婚前に父母が別居している場合にも、親子交流についての調停または審判を利用することができる。親子交流調停”. 裁判所. 2026年8月8日閲覧。

家庭裁判所では、父母双方の事情だけでなく、子の年齢、性格、生活状況、学校生活等を踏まえ、子の利益を考慮して交流の方法や内容について調整する。必要に応じて、交流の際に父母が注意すべき事項について裁判所から助言が行われることもある。親子交流調停”. 裁判所. 2026年8月8日閲覧。

離婚後共同親権との関係

2026年4月1日から施行された改正民法では、離婚後の親権について、父母の双方を親権者とすることが可能となった。ただし、共同親権とすることと親子交流の具体的な内容は別の問題であり、共同親権となった場合に、子が父母双方の家を行き来して養育されることが当然に決まるわけではない。

法務省は、父母双方を親権者とした場合でも、具体的な監護の在り方については、子の利益を最も優先して協議等によって定めることとしている。また、親子交流の頻度や養育費についても、共同親権であることだけによって一律に決まるものではないとしている。Q&A形式の解説資料(民法編)”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

また、改正民法では、父母が子の監護を分担する「監護の分掌」についても規定されている。これは、親子交流のような一時的な交流にとどまらず、子の監護を父母が分担するものであり、監護を担当する期間や監護に関する事項の一部を父母の一方に委ねることなどが含まれる。Q&A形式の解説資料(民法編)”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

DV・虐待等がある場合

親子交流の実施に当たっては、子の安全および心身の状態に十分配慮する必要がある。

2026年施行の改正民法では、父母双方を親権者とすることが子の利益を害する場合や、父母の一方または双方について、子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合などについて考慮する規定が設けられている。DVや児童虐待などが存在する場合には、父母が共同して親権を行使することが困難となる場合があり、法務省も、DVや虐待から避難する必要がある場合には、父母間の人格尊重・協力義務について特別の配慮が必要であるとしている。Q&A形式の解説資料(民法編)”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

親子交流についても、子に精神的な負担を与えないことや、安全を確保することが重要であり、家庭裁判所では個別の事情に応じて交流の可否、方法、条件等が判断される。

子どもの権利との関係

児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)第9条第3項は、父母の一方または双方から分離されている児童について、児童の最善の利益に反する場合を除き、父母の双方と定期的に人的な関係および直接の接触を維持する権利を尊重することを締約国に求めている。日本は1994年(平成6年)に同条約を批准した。「児童の権利に関する条約」全文”. 外務省. 2026年8月8日閲覧。

ただし、同条約は「児童の最善の利益に反する場合を除く」としており、親子交流を無条件に保障することを意味するものではない。個々の事案では、子の安全、心身の状態、年齢および発達、父母との関係その他の事情を考慮する必要がある。

国際的な制度

国際的には、離婚・別居後の親子関係について、「面会」だけでなく、親子間の継続的な関係や接触を重視する考え方が広く用いられている。英語圏では、法制度によりcontactparenting timeparental responsibilityなど異なる用語が使用されている。

なお、国連の子どもの権利委員会が「養育権」や「面会権」から「共に暮らすこと」や「交流を保つこと」へ用語を変更するよう一律に提唱したとする旧来の記述については、出典および文脈を確認する必要があるため、本稿では特定の国際的用語の変化を一般化して記述しない。

沿革

日本では、2011年(平成23年)に成立した「民法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第61号)により、民法第766条に、離婚の際に父母が協議して定める「子の監護について必要な事項」の例として「父又は母と子との面会及びその他の交流」および「子の監護に要する費用の分担」が明記された。また、これらを定める際には「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とされた。これらの改正は2012年(平成24年)4月1日に施行された。親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書の公表について”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

その後、父母の離婚後の子の養育をめぐる制度について見直しが進められ、2024年(令和6年)5月に「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)が成立した。同法は、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与などについて民法等を改正するもので、2026年4月1日に施行された。民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

2026年の改正では、父母の子に対する人格尊重義務や父母相互の人格尊重・協力義務が明確化され、親子交流についても、子の意見・意向等を適切に尊重することが重要とされた。法務省は2026年5月、父母の離婚・別居等を経験する子の意見等を適切に把握し、養育に反映させるための方策に関する調査研究報告書を公表している。父母の離婚、別居等を経験する子の養育について子の意見等を適切に反映させる方策に関する調査研究報告書の公表について”. 法務省. 2026年8月8日閲覧。

日本国外に居住する親子

国境を越えた親子交流については、ハーグ条約が関係する場合がある。日本は2014年(平成26年)4月1日に同条約の締約国となっており、外務省は、外国にいる子または日本にいる子との交流を希望する者に対する援助申請を受け付けている。また、外務省は、ADR機関の紹介や親子交流支援団体の紹介などを行っている。ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)”. 外務省. 2026年8月8日閲覧。

脚注

関連項目

外部リンク

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