飛ぶ男

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飛ぶ男』(とぶおとこ)は、安部公房の長編小説。1991年から『新潮』に連載されたが、著者の逝去により未完となった。没後の1993年に、著者のワープロに残されていた遺稿を整理する形で出版された。

概要

安部公房が晩年に取り組んでいた作品であり、ワープロOASYS)を駆使して執筆された。連載中から注目を集めていたが、1993年1月の安部の急逝により、物語の結末が描かれる前に未完で終わることとなった。

あらすじ

ある日突然「宙に浮く能力」を得てしまった男の物語。主人公は、空気銃で撃たれたことをきっかけに、重力から解き放たれる身体感覚を抱くようになる。病院のベッドの上や街の中で、浮遊する身体を制御しようと苦闘する男の姿を通し、社会のシステムや人間のアイデンティティの不確かさが描かれる。

登場人物

  • 「私」:物語の語り手。ある日突然、浮遊能力を自覚する。
  • 看護婦:入院先の病院で「私」に接する人物。
  • 少年:空気銃で「私」を撃った謎の少年。

特徴・文体

安部の初期から中期に見られる「失踪」や「変身」といったテーマが、本作では「重力からの離脱(浮遊)」という形で再構成されている。また、ワープロ執筆特有の、断片的な記述や推敲の跡が見られることも本作の大きな特徴である。

書誌情報

  • 『飛ぶ男』(新潮社、1993年)ISBN: 978-4-10-300811-8
  • 『安部公房全集 29』(新潮社、2000年)収録

脚注

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