清書
手書きの原稿を読みやすい書式に手書きやワープロなどで書き写したもの
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概要
現代日本における清書
職業としての清書
人類が文字を獲得して以降、綺麗な文字・美しい文章というものが、暗として存在する。そのため、そのような文章にするための清書を行う専門の業態も発達してきた。かつて古代エジプトの書記のように、ヒエログリフを記述する専門家もいたが、現代でも美しい手書き文字には一定の需要がある。
古代の中国では科挙に合格していない文人が清書のアルバイトをしていた。
作曲家が推敲を重ねた楽譜は、多数の取り消しやメモなど演奏の邪魔となる部分が多いため、楽譜の清書にも一定の需要があり、ジャン=ジャック・ルソーのように他人の清書を引き受ける作曲家もいた。
筆耕
横断幕や賞状など、手書き文字が必要とされる需要がまだ存在し、日本の組織内では、毛筆での書が上達した者は重宝される。これを外注で行う場合は「筆耕」の職業として成立している。
書道家による清書は芸術の範疇に含まれるため、単価がそれなりに高くなる傾向にある。その一方で、家庭内での職を求める者を食い物にするような内職商法も存在する。
清書に関する内職商法
内職商法としての清書は、委託業者側が内職希望者(受託者)に継続して仕事を紹介するために必要であると称して、様々な名目の手数料を収受したり、機材や部材などを売りつける悪徳商法の一種である。
受託者は契約の際、数万円程度の業務手数料・保証料などの名目で委託業者側への費用負担を求められる。契約後、原稿を渡され、それを指定された用紙に指定された形式で、手作業で書き写す。報酬は、出来上がった原稿をもとに出来高払いとされる。以上は典型例であるが、負担金額が極めて高額に上る例もある。
ただし、手書き原稿の清書という需要そのものが寡少にすぎず、この内職自体がもはや成立しがたくなっている。原著作者が手持ちのパソコン(ワープロ)で原稿を作成し、メールで編集者に宛てて送信することにより、そもそも清書の必要がない場合が増加した。原著作者が手書きに固執している場合でも、その原著作者が高名な文筆家であれば専属編集者が清書(パソコン入力)を受け持つため、原稿の秘密を守る観点からも、外部に秘密を持ち出すことになる業者経由での内職委託の出番がない。また、原著作者がさほど有名でない場合、手書き文字が悪筆であったり原稿用紙の使い方が常識に反しているなどの問題があると、書かれた文章内容にかかわらず編集者によってボツ扱いにされるケースもある。清書によるコスト増大を避けるためであり、清書内職が成立しえないゆえんである。
国民生活センターなどに寄せられた被害相談としては、契約上の報酬が支払われないという例が典型的である。内職商法としての委託業者側は、業務手数料・保証料名目で納入された金銭を収益源としており、報酬がそれら事前負担金を上回ることはない。また、多くの内職商法に共通している事例として、まったく仕事を斡旋しないケースが報告されている。
なお、「清書内職」という内職商法は特定商取引法にいう業務提供誘引販売取引であり、法定書面の受領日から20日間のクーリングオフが認められる。被害防止のためには早期にクーリングオフを行うのが肝要といえる。
参考文献
- ジョルジュ・ジャン 著、高橋啓 訳『文字の歴史』創元社〈「知の再発見」双書〉、1990年。ISBN 4422210513。