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障害を持つアメリカ人法

障害を理由とする差別を禁止するアメリカの法 From Wikipedia, the free encyclopedia

障害を持つアメリカ人法(しょうがいをもつアメリカじんほう、英語: Americans with Disabilities Act of 1990)は、1990年に制定された連邦法。ADAとも呼ばれる。また、アメリカ障害者法とも翻訳される。障害者の差別禁止、及び障害者が他者と同じくアメリカでの生活を営むことができる機会を保証する公民権法[1]

英語名 Americans with Disabilities Act of 1990
通略称 ADA法、アメリカ障害者法、米国障害者法
法典 合衆国法典第42編第12101条 42 U.S.C. § 12101
制定日 1990年7月26日
概要 障害を持つアメリカ人法, 英語名 ...
障害を持つアメリカ人法
米国政府国章
アメリカ合衆国の連邦法律
英語名 Americans with Disabilities Act of 1990
通略称 ADA法、アメリカ障害者法、米国障害者法
法典 合衆国法典第42編第12101条 42 U.S.C. § 12101
制定日 1990年7月26日
効力 現行法
種類 社会保障法、差別禁止法
主な内容 障害者に対する人権の尊重
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概要

この法律は障害による差別を禁止する適用範囲の広い公民権法の一つである。

1964年の公民権法は、人種race)、肌の色color)、信仰religion)、性別sex)または出身国(national origin)による差別を違法と規定するものであるが、障害者に対する差別に関する規定はなかった。ADAは、公民権法と同じ水準の差別禁止と権利保障を障害者にもたらすものとして提示された[2]。ADAには、考え方の枠組みが公民権法の内容そのままの部分も存在しており、ADAは公民権法の対象者を障害者にまで拡大したものであると解釈することもできる[2]。ADAの成立により、障害者は1964年の公民権法により保護されていた者と同様に、差別からの保護を与えられたものと評価される。

ADA法は全5編からなる。うち、第5編は一般的諸規定を定めたものである。第1編から第4編までの内容は以下の通り。

  • Title I - Employment雇用
一定の公的機関や15人以上の従業員を有する民間企業など、雇用時において身体や精神の障害を理由とする差別的取扱いを行うことを禁ずるもの。定義の第9項には「合理的配慮」について、設備を利用可能なものにすること(A)、求職にあたっての介護機具の調整、訓練のための器具や政策の適切な調整と変更、資格を有した読み上げ人や通訳の配備(B)が規定されている。この項目は障害者権利条約第2条が定義する「合理的配慮」にも影響を与えた。

なお、2008年に改正法がアメリカ合衆国議会を通過し、2009年から施行されている。改正法においては、従来に比較し、障害者の範囲を拡大している。

リハビリテーション法との比較

ADAの成立以前、障害者にとっての公民権法としての役割も不十分ながら果たしてきたのが1973年リハビリテーション法であった[2]。ADAは、「障害」の定義などにおいてリハビリテーション法504条に依拠して構築されているが、両者は規制対象とする主体を異にする[1]。具体的には、リハビリテーション法504条が連邦政府から資金援助を受ける事業者にのみ適用されたのに対し、ADAはその枠組みを拡張し、民間企業を含むより広範な主体に対して差別禁止を及ぼす法律として制定された。

リハビリテーション法での規定

1973年リハビリテーション法では、第5編において、障害者に対する差別禁止を定めた条項が存在する。

  • 連邦政府における差別禁止(501条)
  • 連邦政府から補助を受けている事業における差別禁止(504条)
  • 連邦政府機関との間に年間2,500ドル以上の契約高をもつ企業における、障害者の採用・昇進にあたってのアファーマティブアクションの義務付け(503条)

ただし、これらの要件に該当しない場における障害者差別の禁止、例えば連邦政府から補助金を受けていない州政府の単独事業や、連邦政府との年間契約額が2,500ドルに達しない企業における差別禁止については、当時の法制度上、必ずしも保障されていなかった[2]。これらの制約は、ADAにおいては基本的に取り払われた[3]

ADAによる雇用差別の禁止と、公共的施設サービスへのアクセス保障は、連邦政府から補助を受けている事業者に対して障害に因る差別を禁止した1973年リハビリテーション法の第5編、とくに504条およびその施行規則をすべての企業や団体に適用範囲を拡大したものと位置づけられる[4]。このため近年の歴史研究では、ADAの基本的構造はすでに1973年リハビリテーション法第5編、および同法504条の施行規則制定(1977年)の段階で形成されていたと評価する見解が広く共有されている[5]

ADAにおける障害の定義

ADAにおける「障害」の定義は、1973年リハビリテーション法が1974年改正によって導入した障害者定義を、基本的に踏襲したものである[6]

1973年リハビリテーション法の1974年改正(Pub L. 93-516、88 Stat. 1619、1974年12月7日)第111条(a)[注釈 1]によれば、障害者とは、以下の者を指す。

障害者の定義(リハビリテーション法)[注釈 2][注釈 3]

  • 個人の主たる生活活動のひとつ以上を著しく制限する身体的・精神的障害をもつ者
  • このような障害の経歴をもつ者
  • このような障害をもつとされる者

第三の定義に該当する例としては、顔面に火傷を負い外見上の傷が残った結果、身体的機能には支障がないものの、周囲の者の拒絶的な対応によって障害者とみなされる場合が挙げられている[6]。この定義は、障害を個人の機能障害ではなく、社会的反応や環境との関係において捉える点に特徴がある。この包括的な「障害」の定義は、ADAにおいても採用された[9]

上述のように1973年リハビリテーション法504条においては、連邦政府から補助を受けている事業における障害者差別禁止が明言されていた。しかし504条制定時に連邦議会において細部の議論が行われなかったため、504条によって「合理的配慮」が保障されるか否か[10]、504条の対象となる「障害」の具体的内容[9]等についての訴訟があった。これに対し、ADAの立法過程では、1980年代までに蓄積された訴訟および判例を踏まえつつ、連邦議会において法案の細部にわたる検討が行われ、その立法趣旨が立法資料において示されている[9]。とくに「障害」の定義については、できる限り多様な対象者を包摂することを目的として、広範な定義を採用する方針が上院報告書に明記されている[9]。また、ADAに関する施行細則の制定を任された雇用平等委員会 (EEOC)英語版は、てんかん糖尿病、背中と腰の痛み、手根管症候群(手指の痛み)などの慢性疾患も障害として例示した[9]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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