シクロオキシゲナーゼ1

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シクロオキシゲナーゼ1: cyclooxygenase-1、略称: COX-1)またはプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ1: prostaglandin-endoperoxide synthase 1、略称: PTGS1)は、ヒトではPTGS1遺伝子によってコードされている酵素である[5][6]

記号PTGS1, COX1, COX3, PCOX1, PES-1, PGG/HS, PGHS-1, PGHS1, PHS1, PTGHS, prostaglandin-endoperoxide synthase 1
染色体9番染色体 (ヒト)[1]
概要 PTGS1, 識別子 ...
PTGS1
識別子
記号PTGS1, COX1, COX3, PCOX1, PES-1, PGG/HS, PGHS-1, PGHS1, PHS1, PTGHS, prostaglandin-endoperoxide synthase 1
外部IDOMIM: 176805 MGI: 97797 HomoloGene: 743 GeneCards: PTGS1
EC番号1.14.99.1
遺伝子の位置 (ヒト)
9番染色体 (ヒト)
染色体9番染色体 (ヒト)[1]
9番染色体 (ヒト)
PTGS1遺伝子の位置
PTGS1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点122,370,530 bp[1]
終点122,395,703 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
2番染色体 (マウス)
染色体2番染色体 (マウス)[2]
2番染色体 (マウス)
PTGS1遺伝子の位置
PTGS1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点36,120,438 bp[2]
終点36,142,284 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 酸化還元酵素活性
prostaglandin-endoperoxide synthase activity
dioxygenase activity
ヘム結合
金属イオン結合
peroxidase activity
細胞の構成要素 細胞核
細胞内膜で囲まれた細胞小器官
photoreceptor outer segment
オルガネラ膜
エキソソーム

小胞体
細胞質
ゴルジ体
endoplasmic reticulum membrane
生物学的プロセス prostaglandin biosynthetic process
fatty acid biosynthetic process
酸化ストレスへの反応
regulation of cell population proliferation
prostaglandin metabolic process
regulation of blood pressure
cyclooxygenase pathway
脂質代謝
炎症反応
生体異物の代謝プロセス
脂肪酸代謝
cellular oxidant detoxification
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
NM_000962
NM_001271164
NM_001271165
NM_001271166
NM_001271367

NM_001271368
NM_080591

NM_008969

RefSeq
(タンパク質)
NP_000953
NP_001258093
NP_001258094
NP_001258095
NP_001258296

NP_001258297
NP_542158

NP_032995

場所
(UCSC)
Chr 9: 122.37 – 122.4 MbChr 9: 36.12 – 36.14 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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歴史

シクロオキシゲナーゼ(COX)は、アラキドン酸からプロスタグランジンを生合成する経路の中心的酵素である。COX-1は40年以上前に単離され、1988年にクローニングされた[7][8]

遺伝子とアイソザイム

COXには、構成型のCOX-1と誘導型のCOX-2という2種類のアイソザイムが存在する。それぞれ異なる遺伝子にコードされており、関連するサイトカイン成長因子によって異なる調節を受けているため、発現調節や組織分布は異なっている。COX-1はPTGS1遺伝子によってコードされており、内皮細胞において血管新生を調節していることが知られている[9]。イヌの中枢神経系ではCOX-3英語版と呼ばれるCOX-1のスプライスバリアントが同定されているが、ヒトでは同様の機構で機能的タンパク質が形成されることはない。また、COX-1由来の小さなタンパク質(PCOX-1a、PCOX-1b)も発見されている。これらの正確な役割の記載はまだなされていない[10]

機能

プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(PTGS)またはシクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン生合成において重要な酵素であり、ホスホリパーゼA2による膜リン脂質sn-2位のエステル結合の切断によって生じた遊離アラキドン酸をプロスタグランジンH2英語版(PGH2)へ変換する。この酵素反応は、シクロオキシゲナーゼ(ジオキシゲナーゼ英語版)活性とヒドロペルオキシダーゼ(ペルオキシダーゼ)活性の双方を伴う。シクロオキシゲナーゼ活性によってアラキドン酸(もしくはリノレン酸エイコサペンタエン酸などの多価不飽和脂肪酸)へ2つの酸素分子が組み込まれる。アラキドン酸の代謝では不安定な中間体ペルオキシドであるプロスタグランジンG2英語版(PGG2)が形成され、その後ヒドロペルオキシダーゼ活性によって対応するアルコールであるPGH2へと還元される。

COX-1はアラキドン酸を主にPGG2へ代謝するが、少量は15-ヒドロキシエイコサテトラエン酸英語版(15-HETE)のラセミ混合物(~22% 15(R)-HETE、~78% 15(S)-HETE)や11(R)-HETEも変換される[11]。2種類の15-HETE立体異性体は固有の生物学的活性を有するが、おそらくそれよりも重要なのは、さらに主要な抗炎症因子であるリポキシン英語版へと代謝されることである[12]。加えて、PGG2とPGH2は非酵素的に12-ヒドロキシヘプタデカトリエン酸英語版(12-HHT)の混合物(すなわち12-(S)-ヒドロキシ-5Z,8E,10E-ヘプタデカトリエン酸と12-(S)-ヒドロキシ-5Z,8Z,10E-ヘプタデカトリエン酸)とマロンジアルデヒドへ変換される[13][14][15]。またCYP2S1英語版によって12-HHTへ代謝される場合もある[16][17]。こうしたCOX-1による代替的代謝産物がその生理活性に寄与している可能性もある。

胃の内部を保護し、胃酸の分泌やペプシン含有量の低下に寄与している粘液層の形成をCOX-1は促進する[18][19]。通常、COX-1は胃だけではなく、炎症部位を含む体内のさまざまな部位に存在している。

臨床的意義

COX-1はアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって阻害される。血小板におけるCOX-1の主要産物であるトロンボキサンA2英語版は、血小板の凝集を誘導する[20][21]。低用量アスピリンの心イベント低減の有効性はCOX-1阻害によって説明される。

出典

関連文献

関連項目

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