EIF4E

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eIF4E(eukaryotic translation initiation factor 4E)は、ヒトではEIF4E遺伝子にコードされるタンパク質である。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号EIF4E, eukaryotic translation initiation factor 4E, AUTS19, CBP, EIF4E1, EIF4EL1, EIF4F, eIF-4E
染色体4番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
EIF4E
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1IPB, 1IPC, 1WKW, 2GPQ, 2V8W, 2V8X, 2V8Y, 2W97, 3AM7, 3TF2, 3U7X, 4AZA, 4BEA, 4DT6, 4DUM, 4TPW, 4TQB, 4TQC, 4UED, 5ABI

識別子
記号EIF4E, eukaryotic translation initiation factor 4E, AUTS19, CBP, EIF4E1, EIF4EL1, EIF4F, eIF-4E
外部IDOMIM: 133440 MGI: 95305 HomoloGene: 123817 GeneCards: EIF4E
遺伝子の位置 (ヒト)
4番染色体 (ヒト)
染色体4番染色体 (ヒト)[1]
4番染色体 (ヒト)
EIF4E遺伝子の位置
EIF4E遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点98,879,276 bp[1]
終点98,929,133 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
3番染色体 (マウス)
染色体3番染色体 (マウス)[2]
3番染色体 (マウス)
EIF4E遺伝子の位置
EIF4E遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点138,231,940 bp[2]
終点138,265,457 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 translation initiation factor activity
eukaryotic initiation factor 4G binding
血漿タンパク結合
酵素結合
RNA cap binding
RNA 7-methylguanosine cap binding
RNA結合
translation regulator activity
細胞の構成要素 細胞質
chromatoid body
RNA誘導サイレンシング複合体
Pボディ
mRNA cap binding complex
perinuclear region of cytoplasm
ストレス顆粒
EIF4F
エキソソーム
細胞質基質
cytoplasmic ribonucleoprotein granule
高分子複合体
postsynapse
glutamatergic synapse
postsynaptic cytosol
生物学的プロセス nuclear-transcribed mRNA poly(A) tail shortening
negative regulation of translation
negative regulation of neuron differentiation
肺発生
G1期
positive regulation of mitotic cell cycle
behavioral fear response
mRNA export from nucleus
stem cell population maintenance
translational initiation
viral process
regulation of translation
RNA export from nucleus
タンパク質生合成
negative regulation of autophagy
デキサメタゾン刺激に対する細胞応答
G1/S transition of mitotic cell cycle
regulation of translation at postsynapse, modulating synaptic transmission
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001130678
NM_001130679
NM_001968
NM_001331017

NM_007917
NM_001313980

RefSeq
(タンパク質)

NP_001124150
NP_001124151
NP_001317946
NP_001959

NP_001300909
NP_031943

場所
(UCSC)
Chr 4: 98.88 – 98.93 MbChr 4: 138.23 – 138.27 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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7-メチルGTPを結合したeIF4E
eIF4Eのαヘリックス(シアン)に結合した4E-BP(赤)

構造と機能

真核生物細胞のほとんどのmRNAは、5'末端が7-メチル-グアノシン5'キャップ構造(m7GpppX、Xは任意のヌクレオチド)によって保護されている。この構造は、翻訳スプライシング、mRNAの安定性、RNAの核外搬出の向上など、いくつかの細胞過程と関係している。eIF4EはmRNAのキャップ構造をリボソームへ差し向ける真核生物の翻訳開始因子である。24 kDaのポリペプチドで、遊離型またはeIF4F複合体の一部として存在する[5]。ほぼすべてのmRNAは、タンパク質へ翻訳されるためにeIF4Eを必要とする。eIF4Eは真核生物の翻訳装置の律速となる構成要素であり、真核生物におけるタンパク質合成においてmRNAとリボソームの結合段階に関与している。

eIF4Fの他のサブユニットは、ATPアーゼ活性とRNAヘリカーゼ活性を持つ47 kDaのeIF4A[6]足場タンパク質である220 kDaのeIF4G英語版である[7][8]

一部のウイルスは、eIF4GのeIF4E結合部位が除去されるようにeIF4Gを切断する。ウイルスはeIF4Eがなくともタンパク質への翻訳を行うことができる。また、一部の細胞タンパク質も翻訳にeIF4Eを必要とせず、そのようなタンパク質として最もよく知られているものは熱ショックタンパク質である。ウイルスタンパク質もこうした細胞タンパク質のどちらも、RNA中のIRESを介してタンパク質への翻訳が行われる。

調節

eIF4Eは比較的存在量の少ない翻訳開始因子であるため、翻訳制御の標的となっている[9]。eIF4Eの調節は、転写リン酸化、阻害タンパク質という3つの異なる機構によって行われている可能性がある。

遺伝子発現による調節

eIF4Eの転写調節を担う機構は完全には理解されていない。しかしながら、いくつかの報告からはmycのレベルとeIF4EのmRNAのレベルが細胞周期を通して相関していることが示唆されている[10]。この関係は、eIF4Eの遺伝子のプロモーター領域に2つのmyc結合部位(CACGTG E-boxリピート)が特定されたことによって、さらなる裏付けが得られている[11]。この配列モチーフはmycのin vivoでの他の2つの標的と共通しており、eIF4EのE-boxリピートの変異はプロモーター領域を不活性化して発現を低下させる。

リン酸化による調節

細胞増殖を促進するホルモン成長因子分裂促進因子などの刺激は、eIF4Eをリン酸化することで翻訳率も向上させる[12]。eIF4Eのリン酸化と翻訳率は常に相関しているわけではないが、細胞周期を通して、リン酸化レベルはG0M期に低く、G1S期に高い、という一貫したパターンが観察される[13]。このことは、eIF4Eのセリン209番残基のリン酸化がeIF4Eのキャップ化mRNAに対する親和性を向上させることを示唆する結晶構造によっても支持されている。

阻害タンパク質による調節

eIF4F複合体の組み立ては4E-BP(eIF4E-binding protein)と呼ばれるタンパク質によって阻害される。4E-BPは小さな熱安定タンパク質で、キャップ依存的翻訳を阻害する[14]。非リン酸化4E-BPはeIF4Eと強固に相互作用することで翻訳を防ぐ。一方、リン酸化された4E-BPはeIF4Eに弱くしか結合しないため、翻訳過程に干渉することはない[15]。さらに、4E-BPの結合はeIF4EのSer209のリン酸化を阻害する[16]

がんにおける役割

eIF4Eの過剰発現が線維芽細胞腫瘍化を引き起こすことが発見されたことで、がんにおけるeIF4Eの役割は確立された[17]。この発見以降、さまざまな細胞株で同様の結果が得られている[18]。その結果、eIF4Eの活性は乳がん肺がん前立腺がんを含むいくつかのがんへ関与していることが示唆されている。ヒトの転移性腫瘍の転写プロファイリングからは、eIF4Eが常にアップレギュレーションされている場合には代謝に明確なサインがみられることが明らかにされている[19]

FMRPのeIF4Eへの結合による翻訳抑制

FMRP(FMR1)は、eIF4Eへの結合によって特定のmRNAの翻訳を調節する。FMRPはCYFIP1英語版に結合することで作用し、CYFIP1は4E-BP(4E-BP14E-BP2英語版4E-BP3英語版)に構造的に類似したドメインを介してeIF4Eに直接結合する。FMRP/CYFIP1複合体は、翻訳に必要なeIF4E/eIF4G間の相互作用を妨げるように結合する。FMRP/CYFIP1/eIF4E間の相互作用は、RNAの存在によって強化される。特に、BC1 RNAはFMRPとCYFIP1の間の最適な相互作用を可能にする[20]。BC1 RNAは樹状突起に存在する翻訳されないRNAで、FMRPに結合して特定の標的mRNAとの結合を可能にする。BC1はFMRPを適したmRNAへリクルートすることで、シナプスでのFMRPとmRNAの間の相互作用を調節している可能性がある[21]

さらに、FMRPは翻訳を抑制するために特定のmRNAへCTFIP1をリクルートする。FMRP-CYFIP1翻訳阻害因子は神経細胞の刺激によって調節される。シナプスの刺激の増加はCYFIP1のeIF4Eからの解離を引き起こし、翻訳開始を可能にする[20]

相互作用

EIF4Eは次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

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