ボーダーフリー

大学乱立後に合否ライン測定不能な大学が多発したことを背景に、2000年に河合塾が定義した事実上全入状態の低レベル大学に対する区分 From Wikipedia, the free encyclopedia

ボーダーフリー和製英語:border free)とは受験用語の一つであり、合格見込みが50%となる偏差値(いわゆるボーダーライン)を算出できない状態を指す。Fランクとも。そのような大学はボーダーフリー大学やFランク大学と呼ばれる。

ボーダーフリーおよびFランクは、もともと河合塾の用語であり、2000年以降に使用されるようになった[1]

なおFランク大学という言葉は俗に、入学難易度が低い大学を指すものとして、より広義かつ曖昧に用いられることがある[2]

ボーダーフリー

予備校の河合塾は、各大学一般入試において、合格者と不合格者の割合が50%ずつになる模試の偏差値帯(ボーダー偏差値)を算出・設定し、16区分に分類した難易予想ランキング表[注 1]を作成しているが、そのなかでボーダー偏差値を算出できない状態を「ボーダーフリー(略称BF)」と呼ぶ[3][4]

河合塾の計算方法では、どの偏差値帯でも合格率が50%を大きく上回る場合には大学偏差値(ボーダー偏差値)を算出できないため、この区分を設ける必要がある[5]。ボーダーフリーはデータから算出できないという意味であり、必ずしも数字で表せる最低ランクより下という意味ではない[6]

用語の誕生

河合塾は毎年、大学の学科や入試方式ごとに、合格率が50%となる模試の偏差値(ボーダー偏差値)を公表している。河合塾は2000年に、その入試難易予想ランキング表[注 2]にFランクを追加した。というのも前年の入試で、すべての偏差値帯で合格率が50%を大きく上回る学科が多発し、そうした学科ではボーダー偏差値を算出できない事態になったためである[5]。背景には、少子化や大学数の増加により、入試競争倍率が1倍台にとどまる大学が増え、定員割れも見られるようになったことがある[7]

FランクのFはフリーの略である[8][9][10]。Fランクという呼称はフリーパスのような印象が強く大学側の反発もあったため、河合塾は2001年までにFランクをボーダーフリー(BF)に改称した[11][1][注 3]

河合塾の用語とは異なるが、Fランク大学という表現は、「誰でも入学できる大学」や「偏差値が低い大学」といった漠然とした意味で使われることがある[2]

用語が普及した背景

ボーダーフリーやFランクの概念が普及した背景には、少子化による18歳人口の減少と、大学の定員割れがある。

1990年の大学進学率は24.6%であったが、2007年時点で大学進学率は47.2%と約2倍となった[12]。しかし逆に大学の定員割れは増加している。 定員割れの学部をもつ私大の割合は、1994年時点で5%未満だったのが、2003年度には28.2%と急増している[1]。その後、私大の定員割れは2014年に45.8%[2]、2023年に53.3%に増えている[13]

更には、日本では2009年以降から大学全入時代(大学進学希望者を入学定員総数が上回る時代)に突入したが、このままの少子化(出生数減)が続くと受験生自体が減っていくため、大学進学率が2023年度と同値のままだとしても2042年度にはMARCH日東駒専レベルへ、日東駒専は大東亜帝国レベル・Fランク大学枠に、そして大東亜帝国は「受験生が消滅」となる試算が出ている[14]

河合塾以外の企業による一覧表

2021年、株式会社Synergy Careerは、同社運営のWebメディア「就活の教科書」において、独自のFランク大学一覧を公表し[15][16]学歴差別を助長するなどとして、インターネット上で批判を受けた[16][17]

海外の類似表現

海外にも類語が存在し、アメリカ合衆国イギリスでは無価値と見なされている講義や学位を「ミッキーマウス学位(英語:Mickey Mouse degrees)」と呼ぶことがある。ミッキーマウス英語俗語的な形容詞として、重要でない、取るに足りない、〔科目・講座などが〕単位の取りやすい、〔学校の宿題や課題〕簡単な、などの意味がある[18]

カナダでは、鳥コース(bird courses)が「ほとんど勉強や知的能力を必要としない」講義を指す[19]

韓国では、Fランと似たような表現に「地方にある雑多な大学」(韓国語지방소재의 잡다한 대학(地方所在의 雜多한 大學) 、略称として지잡대(地雜大)と呼ばれる[20]

中国では、もともと偽物の学歴を売る詐欺こと「ニセ大学」を表す言葉「野鶏大学」があって、語源は英語のディプロマミルから来ている。転じて「本物の大学だが、卒業しても意味がない大学」も「野鶏大学」を呼ぶ傾向が近年には増えている[21]。また、「楽単」や「何もしなくても単位を取れる授業」のことを「水課」と言い、「楽で卒業できる修士(硕士)、博士」は「水硕」「水博」と言うなど、「質が低い、ハードルがない」ことを「水」を付ける造語で言うことが多い[22]

脚注

関連項目

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