P+D BOOKS
小学館の刊行する叢書
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特徴
2015年(平成27年)5月25日に創刊[1]。絶版などにより入手困難となっている昭和時代の日本の文学作品を、ペーパーバック(P)と電子書籍(D)の二つの形態で、同時発売するシリーズである[2][3]。
ペーパーバックは文庫本よりも大きい、B6判の版型[4]。ほぼ毎月に渡って刊行され[4]、価格は500-700円程度[2]。販売は全国に存在する特約書店のみに限られており[3][5]、小ロット印刷で、100部から重版がかけられるようになっている[5]。デザインはおおうちおさむが担当し[6]、本文のフォントは漢字よりも平仮名が大きくなるフォントを採用、表紙は色とりどりのボーダーラインを基調としたデザインとなっている[4]。
沿革
本シリーズの企画は、小学館でのちにP+D BOOKS編集長を務める西坂正樹が、2015年(平成27年)当時、デジタル事業局で電子書籍を統括する責任者を務めていたことに端を発する[2]。西坂は開高健や三浦綾子の電子全集を手がけていた際、電子書籍化されていない作品や、絶版となったままの昭和の名作の多さに気付き[2][3]、「昭和の文学作品には今の作品にない重厚さ、力強さがある。これが読めないのは文化的損失だ」と考えるに至った[3]。しかし、小学館は文芸作品をほとんど手掛けておらず、西坂がかつて担当していた雑誌『GORO』で連載していた作品も、他社で単行本化されることが多いという状況だった[2]。
そこで他社との軋轢を避けるため、絶版の作品を電子書籍化することをまず考えたが、著作権継承者の了承を得ようとした際、付き合いのなかった小学館からの電子書籍化に難色を示されたことから、紙の本も同時に刊行することとした。しかし部署としては電子書籍担当であったため、電子と紙とを同価格で同時発売する新たなシリーズとして発案した[6]。
価格を抑えるため、カバーや帯は付けず、本文用紙もコミック用のものを使用するなど、原価計算を繰り返して最終的に、ペーパーバックの形態に落ち着いた[6]。年配の読者に配慮して文庫本にはしなかったほか[6]、「古すぎては読みにくいし、パブリックドメインだと青空文庫と差別化ができない」として、著作権保護期間中で読みやすい、昭和の名作が対象となった[5]。
創刊第一弾は、澁澤龍彦『サド復活』、立原正秋『剣ヶ崎・白い罌粟』、中上健次『鳳仙花』[1]、松本清張『山中鹿之助』、吉行淳之介『焰の中』、三遊亭圓生『浮世に言い忘れたこと』、北杜夫『どくとるマンボウ追想記』など16作品だった[4]。創刊7年目の時点では、約220作品が刊行され、毎月いずれかの作品に重版がかかるなど、好調な状況と報じられている[4]。