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P-フェニレンジアミン

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p-フェニレンジアミン (p-phenylenediamine、PPD) は化学式C6H4(NH2)2で表されるアニリン誘導体である。外見は白色固体だが、空気に触れると酸化して暗色に変化する[1]。主にエンジニアリングプラスチックの原料として用いられるほか、染髪にも利用される。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[7]

概要 物質名, 識別情報 ...
p-フェニレンジアミン
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 749029
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
DrugBank
ECHA InfoCard 100.003.096 ウィキデータを編集
EC番号
  • 203-404-7
KEGG
RTECS number
  • SS8050000
UNII
国連/北米番号 1673
性質
C6H8N2
モル質量 108.144 g·mol−1
外観 白色結晶性固体、空気中に曝露すると暗色化[1]
融点 145 - 147 °C [1]
沸点 267 °C [1]
10% at 40°C, 87% at 107 C, 100% at 140 C [2]
蒸気圧 <1 mmHg (20°C)[3]
酸解離定数 pKa
  • 2.97 (二重プロトン型; 20 °C, H2O)
  • 6.31 (共役酸; 20 °C, H2O)[4]
磁化率 −70.28·10−6 cm3/mol
危険性
GHS表示:
急性毒性(高毒性)急性毒性(低毒性)水生環境への有害性
Danger
H301, H311, H317, H319, H331, H410
P261, P264, P270, P271, P272, P273, P280, P301+P310, P302+P352, P304+P340, P305+P351+P338, P311, P312, P321, P322, P330, P333+P313, P337+P313, P361, P363, P391, P403+P233, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
引火点 156 °C; 312 °F; 429 K[3]
400 °C (752 °F; 673 K)
致死量または濃度 (LD, LC)
80 mg/kg (ラット, 経口)
98 mg/kg (ラット, 経口)
145 mg/kg (モルモット, 経口)[6]
LDLo (最小致死量)
250 mg/kg (ウサギ, 経口)
100 mg/kg (ネコ, 経口)[6]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 0.1 mg/m3 [skin][3]
REL
TWA 0.1 mg/m3 [skin][3]
IDLH
25 mg/m3[3]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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生産

合成には3つのルートがある。最もよく用いられるのは4-ニトロクロロベンゼンアンモニア処理して4-ニトロアニリンに変換し、これを水素化するものである。

ClC6H4NO2 + 2NH3H2NC6H4NO2 + NH4Cl
H2NC6H4NO2 + 3H2H2NC6H4NH2 + 2H2O

デュポンでは、アニリンをジフェニルトリアジンに変換した後、酸触媒によって4-アミノアゾベンゼンを得て、これを水素化するルートが用いられる[8]

利用

ポリマー

PPDは2つのアミノ基を持つため、高分子の一部となることが可能である。アラミド繊維・プラスチックの前駆体として用いられ、塩化テレフタロイルとの反応でケブラーホスゲンとの反応でポリウレタンの前駆体となるジイソシアネートを生成する[8]

ケブラーの分子構造。1つのモノマー単位が太線で、水素結合が点線で描かれている。

染料

毛髪染料として一般的だったが、近年は2,5-ジアミノ(ヒドロキシエチルベンゼン)や2,5-ジアミノトルエンなどの誘導体が用いられるようになっている。染料として用いられる他の化合物にはテトラアミノピリミジン・インドアニリン・インドフェノール類などがあり、ジアミノピラゾールは赤から紫の染色に用いられる[9]。これらの物質は正確には染料の前駆体で、そのままではほぼ無色であるが酸化されることで発色する。

アレルギーの原因物質として有名であり接触性皮膚炎を起こすことがある[10]

酸化防止剤

容易に酸化されるため、PPD誘導体はゴム製品のオゾン化防止剤として用いられている。PPDにナフチル基やイソプロピル基などを導入することで、抗酸化性や皮膚刺激性を変化させることができる[11]

その他

あるPPD誘導体がCD-4の名で、C-41現像に用いられるカラー現像液として販売されている。これはフィルム中の銀粒子と反応して発色し、イメージを生成する。

ヘンナの代替物として一時的な入れ墨に用いられる場合があるが、重度の接触性皮膚炎が報告されている。

安全性

水生生物に対する半数致死量は0.028 mg/L程度である[8]。アメリカ合衆国環境保護庁はマウスとラットに対し、餌にPPDを混入することによる慢性的な曝露実験を行った。この実験では体重減少は観察されたが、他の毒性の兆候は見られなかったことが報告されている[12]。ある調査ではPubMedを用いて、1992年1月から2005年2月までに英語で出版された、毛髪染料と悪性腫瘍との相関を評価した31の研究について調べている。その結果、"最低でも1つのよく設計された曝露評価研究"において、個人的な毛髪染料の使用と非ホジキンリンパ腫・多発性骨髄腫・急性白血病・膀胱癌の間に相関が観察されていたが[13]、他の研究ではそのような結果は得られていなかった。各研究の間で暴露評価の方法が統一されていなかったため、正式なメタアナリシスは不可能だった。

2005年から2006年に行われたアレルギー性接触性皮膚炎が疑われる患者に対するパッチテストにおいて、PPDは5.0%の患者に陽性を示した。これは用いられた65の化学物質のうち10番目に高いものである[14]

CDCはPPDを接触アレルゲンに分類している。曝露ルートとしては吸入・経皮吸収・経口摂取・粘膜接触などがあり、症状としては咽頭喉頭の炎症・気管支喘息・感作性皮膚炎などが報告されている[15][16]。感作の影響は生涯に渡る場合がある。能動感作を引き起こす製品として、黒染された生地、インク類、毛髪染料、染色された毛皮・皮革、写真製品などがあるが、これらに限られるものではない。PPDは米国接触皮膚炎学会によって2006年のAllergen of the Yearに選ばれている。

PPDによる中毒は稀であるが、自殺目的で大量摂取した事例では、重度の口腔咽頭浮腫や横紋筋融解症が観察された[17]

脚注

外部リンク

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