TIMP1
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TIMP1(tissue inhibitor of metalloproteinase 1)はTIMPファミリーに属するタンパク質であり、2つのドメインからなる約28 kDaの糖タンパク質である[5]。TIMP1はいくつかの組織で発現している。
TIMP1は、細胞外マトリックスの分解に関与しているマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に対する内因性阻害因子である。既知の大部分のMMPを阻害する役割に加えて、広範囲の細胞種に対して増殖を促進する能力を有し、また抗アポトーシス機能を有する可能性もある。
機能
TIMP1は、MMPやADAM、ADAMTSといったメタロプロテアーゼに対し、N末端ドメインが活性部位に結合することで阻害を行う[6]。また、TIMP1のC末端ドメインは不活性な前駆体タンパク質であるpro-MMP-2やpro-MMP-9に結合することが示唆されている[7]。TIMP1はMMPを調節することで、細胞外マトリックスの構成、創傷治癒[8]、妊娠[9][10][11]に重要に役割を果たしている。
TIMP1の活性調節の異常は、炎症、がん、線維症に関与していることが示唆されている[12][13][14]。妊娠時には、TIMP1は着床過程、特に細胞性栄養膜細胞の子宮内膜への進入を調節する役割を果たしており[15]、またMMPを阻害することで分娩時まで胎膜の完全性の維持に深く関与している[16]。ノックアウトマウスを用いた研究では、TIMP-1が脳内における神経細胞死や軸索の発芽に関与していることが示唆されている[17]。
細胞表面受容体への結合
発現の調節
TIMP1遺伝子の転写は、多くのサイトカインやホルモンに応答して誘導される。この遺伝子はX染色体上に位置しているが、ヒト女性では不活性化されたX染色体の一部でこの遺伝子の発現がみられ、この遺伝子の不活性化には多様性があることが示唆されている。この遺伝子はシナプシンI遺伝子のイントロン6の内部に位置し、シナプシンIとは逆方向に転写される[20]。
副腎皮質細胞では、副腎皮質刺激ホルモンによってTIMP1の発現は誘導され、TIMP1の発現上昇はコラゲナーゼ活性の低下と関連している[21]。
TIMP1の発現上昇は、喉頭がん[22]やメラノーマ[23]など、さまざまながんにおいて予後不良と関連していることが知られている。前立腺がんや結腸がんにおいては、TIMP1の発現上昇はがん関連線維芽細胞の蓄積を促進し、腫瘍促進性微小環境の形成に寄与している[24]。