T・E・D・クライン
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経歴
1947年7月15日、ニューヨーク市に生まれた[2]。父リチャードは時計会社の経営幹部、母ノーマは美術教師であった[2]。
ブラウン大学を1969年に卒業し、同大学ではファイ・ベータ・カッパの会員となった[2]。その後、コロンビア大学で学び、1972年にM.F.A.を取得した[2]。
1969年から1970年までメイン州のデクスター地域高校で英語を教えた後、1972年から1975年までパラマウント・ピクチャーズのニューヨーク支社でアシスタント・ストーリー・エディターを務めた[2]。
1972年12月、短編「The Events at Poroth Farm」を発表して作家として注目を集めた。同作はファンジンに掲載された後、『The Year's Best Horror Stories No. 3』に再録された[1]。
1978年にはワールド・ファンタジー賞の審査員を務めた[3]。
1981年から1985年まで、ロッド・サーリングの名を冠した『The Twilight Zone Magazine』の編集長を務めた。同誌では創刊から第37号まで編集を担当し、1984年から1985年には関連誌『Night Cry』の最初の3号も編集した[1]。
1991年から1993年まで『CrimeBeat』誌の編集長を務め、その後はジョン・ジェイ・カレッジで英語を教えた[2]。
作家活動
クラインは1972年の「The Events at Poroth Farm」に続いて、「Children of the Kingdom」、「Black Man with a Horn」などの短編・ノヴェラを発表した[4]。
1984年、初の長編小説『The Ceremonies』を刊行した。同作は「The Events at Poroth Farm」を大幅に発展させた作品で、アーサー・マッケンの「白魔」などの影響が指摘されている[1]。1986年には同作で英国幻想文学大賞の長編部門であるAugust Derleth Awardを受賞した[4]。
1985年には短編集『Dark Gods』を刊行した。同書には4編のノヴェラが収録され、「Nadelman's God」はワールド・ファンタジー賞最優秀ノヴェラ賞を受賞した[3]。
「Black Man with a Horn」は、1980年にラムジー・キャンベル編の『New Tales of the Cthulhu Mythos』に収録された[2]。
2006年には短編集『Reassuring Tales』を刊行した[1]。2021年には増補版『Reassuring Tales: Expanded Version』が刊行された[1]。
ラムジー・キャンベルとの関係
クラインはイギリスのホラー作家ラムジー・キャンベルの初期作品を高く評価した批評家の一人である。キャンベルの『Demons by Daylight』に対して長文の評論を書き、その作品を高く評価した[5]。
キャンベルは後年、この評論について、クラインが自身の作品で意図していたことを正確に理解して文章化してくれたと回想しており、その評論を受け取ったことが、作家として専業で活動することを決意するきっかけの一つになったと述べている[5]。
クラインはキャンベルの『Slow』にも序文を寄せた[2]。
人物
クラインは非常に寡作な作家として知られている。2006年に刊行された『Reassuring Tales』は、前作の短編集『Dark Gods』から約20年ぶりの単行本となった[2]。
クラインは、自身の寡作の理由の一つとして執筆の行き詰まりを挙げている。1985年のインタビュー集『Faces of Fear』では、『The Ceremonies』の執筆に5年以上取り組んだことを明かし、自身について「執筆を避けるためなら何でもする。何でも!」と語っている[6]。
クラインは、ホラー作家には「過剰に活発な想像力」と「ある種の偏執的傾向」を持つ者が多いと語り、自身も例外ではないと述べている。また、自作では読者を直接恐怖させることよりも、「漠然とした不安感」や、ときには「神経質な笑い」を引き起こすことを目指していると語った[2]。
また、アーサー・マッケン、M・R・ジェイムズ、ウォルター・デ・ラ・メア、H・P・ラヴクラフトらから影響を受けたと語っている[2]。
筆名「T・E・D・クライン」については、本人によるユーモラスな逸話がある。クラインは1986年のジョン・C・ティベッツによるインタビューで、「T.E.D.」という表記について、大部分は「気取り」のようなものだが、少し謎のままにしておきたいと答えている。出生証明書に記載されたクラインの本名は「Theodore Donald Klein」であり、ミドルネームの「E」については「好きなものを入れていい」という趣旨の冗談めいた回答をしているだけで、未だに理由は明らかにされていない[7]。[注 1]
また、同インタビュー(ジョン・C・ティベッツによるインタビュー)では、クラインの自宅にH・P・ラヴクラフトの登場人物ウィルバー・ウェイトリーの人形、タランチュラ、模型の飛行船、火縄銃、南北戦争時代の刀などが置かれていることも紹介されている[7]。
クラインは本を読むことを好み、本屋を通り過ぎることができないほど本を買うのが好きだと語っている。また、自分の物語を書く前には「まず少し読まなければ書けない」と述べている[7]。
映画
クラインは映画脚本にも携わり、ダリオ・アルジェント監督の『トラウマ/鮮血の愛』(1993年)の脚本を執筆した[2]。
受賞歴
作品
長編小説
- The Ceremonies(1984年)
- Nighttown(未刊)
短編集
- Dark Gods(1985年)
- Reassuring Tales(2006年)
- Reassuring Tales: Expanded Version(2021年)
短編・中編作品
- The Events at Poroth Farm(1972年)
- Renaissance Man(1974年)
- S.F.(1975年)
- Magic Carpet(1976年)
- Petey(1979年)
- Children of the Kingdom(1980年)
- Black Man with a Horn(1980年)
- The Ceremonies: An Excerpt(1981年)
- Nadelman's God(1985年)
- Well-Connected(1987年)
- Camera Shy(1988年)
- They Don't Write 'em Like This Anymore(1989年)
- Ladder(1990年)
- One Size Eats All(1993年)
- Curtains for Nat Crumley(1996年)
- Growing Things(1999年)
- Imagining Things(2007年)
ノンフィクション
編集
- Great Stories from Rod Serling's The Twilight Zone Magazine(1982年)
日本語訳作品
長編
- 『復活の儀式』(上)The Ceremonies(大瀧啓裕訳、東京創元社〈創元推理文庫〉、2004年)
- 『復活の儀式』(下)The Ceremonies(大瀧啓裕訳、東京創元社〈創元推理文庫〉、2004年)
短編
- 「ルネッサンス人」Renaissance Man(深見弾訳、『ミニミニSF傑作展』、講談社)
- 「王国の子ら」Children of the Kingdom(広瀬順弘訳、『闇の展覧会』、ハヤカワ文庫)
- 「角笛をもつ影」Black Man with a Horn(福岡洋一訳、『真ク・リトル・リトル神話大系6』、国書刊行会、1983年)
- 「増殖」Growing Things(夏来健次訳、『999』、創元推理文庫)
参考文献
- Douglas E. Winter, Faces of Fear, Berkley Books, 1985.
- John C. Tibbetts, "Certain Things Associated with Night: T.E.D. Klein", 1986[7]。
- Thomas Phillips, T.E.D. Klein and the Rupture of Civilisation: A Study in Critical Horror, McFarland, 2018.