きっといつかは幸福寺

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きっといつかは幸福寺』(きっといつかはこうふくじ)は、ありま猛による日本漫画。『チャンピオンジャック』(秋田書店)において連載された。単行本は全2巻(以降も数話連載されたが未単行本化[1])。現在は絶版となっているため新刊での購入はできないが、Amazon Kindle等の電子書籍として販売されている。

コミック第1巻の作者コメントによると、作者であるありまは少年期に親元を離れて鹿児島県養護施設で育ったという。その経緯から、作者は家族の絆というものを知らず、「こういう温かい家族があったらいいなぁ」という思いから当作を作ったという。そのため、困っている人を助ける話が多い。

物語は英道の弟で春野家の次男である俊平の視点で描かれている。

本作は、「必ずしも出来た坊主ではなく、あくまで普通の人間である。故に、普通の人の立場に立って物事を考えることが出来る人たち」というスタイルで、人間ドラマを忠実に描こうとしている。

主な登場人物

春野英道
春野家の長男で、本作の主人公。28歳。仏教大学を出たが、父親である俊学が酒飲みで女好きだったため、そんな坊主になりたくないと思い、後継ぎを拒否。祖母に勘当され、6年間にわたって音信不通だった。その間、会社勤めをしたが自分の肌に合わず退職し、それから色々な仕事に就くが、いずれも長続きしなかった。家族との再会直前は工事現場の住み込みをしていたが、不況で仕事にあぶれて2週間、その苛立ちから飲み歩いて酒に酔い、とある店の看板を破壊し、器物破損罪警視庁鷺の宮警察署警察官逮捕される。たまたま英道を逮捕した刑事が俊学の旧友であったため、本人も反省していることから釈放される。居酒屋「大将」で飲みながら6年間の出来事を話す。俊学と俊平から話を聴き、祖父が4年前に亡くなった旨を知る。俊平に家に戻ってくるように勧められた際には、祖母を怖れて躊躇するが、俊学の協力によって家に戻ることができ、寺の後継ぎになる。坊主であるが、剃髪せず、髪を伸ばして、縛っている。お布施で競馬パチンコをやるなど、いわゆる「生臭坊主」であるが、一方でお布施を受け取らずに気持ちだけ受け取ることも多く、檀家や他の寺の坊主らからの評価は高い。長栄寺の娘である由美とは幼馴染であるが、由美の方が5歳年上である。由美相手に結婚を意識したこともあるが、5歳年上ということなどから、躊躇心もあった。自ら告白しようと思ったこともあるが、由美が以前にお見合いした相手と飲み屋で再会し、その相手と結婚することになったため、失恋という形となる。
春野俊学
春野家の家長で幸福寺の当代住職。女癖が悪く、それが長男である英道の後継ぎ拒否・勘当されて家を出るという要因となった。英道が家を出た後も相変わらず女好きであり、不倫もよくするが、困っている人のために住職として尽くす心は本物で、英道と同じく檀家や他の寺の住職からの評価は良い。実質的に興福寺を切り盛りしている実母だけには頭が上がらないが、英道の復縁の際には初めて歯向かい、父親・住職としての威厳を見せつけた。英道とは違い、競馬などのギャンブルは一切しない。また、小心者の気があり、坊主としての服装などにこだわるところがある。成金寺の住職である光玉とは兄弟弟子の関係であり、光玉は兄弟子に当たる。かつては特に可愛がってもらっていたが、アンパンの一件で袂を分かち、現在まで犬猿の仲である。鷺の宮警察署に荒木という幼馴染の刑事が居り、そのおかげで英道を釈放させることができた。年齢は不詳だが、荒木が現役の警察官であることから、同い年であるとすれば60歳前だと思われる。
春野俊平
春野家の次男で、本作のナレーション役。上述のように、主人公は兄の英道であるが、物語は全て俊平の視点で展開されている。17歳の誕生日に得度することになっていたが、本人は寺を継ぐ気がないので髪を剃られたくない一心で逃げ回っていた。小さい頃から近隣に住む北村フサに妹の美紀ともども可愛がってもらっていて、自身も慕っていたが、フサが急性心不全と思われる病気で倒れる。死ぬ間際、フサが俊平に経を挙げてもらいたかった旨を吐露し、間もなく死去。フサの気持ちを酌み、得度を決意して髪を剃る。立派に経を挙げてフサを旅立たせるが、本人には相変わらず寺を継ぐ気がない。鷺の宮警察署からの連絡を受け、父の俊学と共に英道の身元引受人として英道と再会。英道の6年間の生活を聴き、家に戻るように勧める。兄の英道とは年が離れているが、父親である俊学が女癖が悪いなど、だらしない面があるため、年が離れている分だけ英道を父親のように慕っている。
春野美紀
春野家の長女で、英道・俊平の妹。3人兄妹の末っ子である。俊学曰く「オッパイがでかくなりやがった」らしい。年齢は明らかにされていないが、下の兄である俊平が17歳になったばかりであり、自身もセーラー服を来ているため、13〜16歳の中高生であることがわかる。干支の上では少なくとも英道とは一周り以上違う。俊平と同様、英道とは年が離れているため、英道のことを父親のように慕っている。なお、俊学に入浴を覗かれることがしばしばある。物語にはそれほど関与しておらず、当人がメインとなる話も無い。
春野牧子
春野家の家長である俊学の嫁で、英道・俊平・美紀の母親。専業主婦であり、寺の行事にはあまり関与しないが、寺庭婦人会には入会している。ただし、とある寺の奥さんとソリが合わず、大喧嘩するため、寺庭婦人会の旅行には参加しない。俊学の不倫が元で夫婦喧嘩をすることがよくあるが、離婚を考えるほどではないらしい。また、英道が高校生の時にやった夫婦喧嘩は凄まじかったようだ。子供たちを大事に思っており、英道が6年間の時を経て家に戻ってきた時は、涙を流して喜んだ。他の家族と同じく義母から厳しい指摘を受けることがあるが、いわゆる「嫁・姑の確執」ではないため、関係はそこそこ良好である。
春野(母)
春野家の家長である俊学の実母であり、牧子の義母、英道・俊平・美紀の祖母。実質的に幸福寺を切り盛りする春野家最大の権力者。寺の後継ぎを拒否した英道を勘当し、春野家から追い出した張本人。英道の復縁の際も最初は難色を示し、再度家を出て行くように突っ撥ねるも、子供である俊学に歯向かわれ、半ば認める形で英道の復縁を容認。以降は英道に苦言を呈しながらも期待を掛けるようになる。春野家の最大権力者であるが、既に故人である先代住職以外では、存命している春野家の住人の中で唯一、名前が明らかにされていない。下の名前は不詳だが、北村フサが「幸ちゃん」と呼んでいることから、名前に「幸」が付くことだけは判明している。
春野(先代住職)
先代の幸福寺住職で、婆さんの旦那、俊学の実父、牧子の義父、英道・俊平・美紀の祖父。物語本編では既に故人。俊学によると、4年前に亡くなったらしい。6年前に家を出た英道は、俊学・俊平と再会するまで亡くなったことを知らなかった。遺影写真でのみ登場。俊学によると、孫である英道を特に可愛がっていたようである。俊学を始めとする春野家の住人各位に、英道の部屋をそのままにしておくように遺言を残す。さすがの婆さんも旦那にだけは頭が上がらず、この遺言だけは守っている。下の名前は不詳。
光玉
成金寺の7代目住職。成金寺は近隣の寺の中では最大の規模と財力を持つ。そのため、金に物を言わせる言動が多く、他の寺からはあまり評判が良くなく、最低限の付き合いしかしてもらっていない。幸福寺が貧乏寺であるため、幸福寺やその檀家衆を愚弄している。幸福寺の住職である俊学とは、知覚院書院の本山で修業を共にした兄弟弟子の仲であり、俊学は弟弟子に当たる。嘗ては俊学を特に可愛がっていたが、餡麺麭の一件で袂を分かち、現在まで犬猿の仲である。それ故に俊学を騙すことが多く、半ば詐欺的なことばかりしている。俊学ほどではないが、英道にも嫌われている。「光玉」の名が本名かどうかは不明。同時に、氏名も不詳。

その他の登場人物

書誌情報

脚注

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