さらばわが愛、北朝鮮
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『さらばわが愛、北朝鮮』(原題: "굿바이 마이 러브 NK: 붉은 청춘"、Gutbai mai leobeu NK、英題: Goodbye My Love, North Korea)は、北朝鮮からソ連に亡命した8人の若者の人生に取材したドキュメンタリー映画[1][2]。2017年公開、キム・ソヨン(金素榮)監督作品[1][2]。日本では2020年5月に劇場公開の予定だったがCOVID-19感染症の拡大を受けて公開が遅れた[2]。上映時間89分[1]。
監督のキム・ソヨンは本作に先立ち、高麗人(ソ連時代に沿海州などから中央アジアに移送された朝鮮民族。カレーニェツ)に関係するドキュメンタリー映画の監督を2本、手掛けていた[3]。前2作と本作は併せて Exile Trilogy と呼ばれている[3]。3作はいずれも、中央アジアに離散した「高麗人」または、北朝鮮から亡命した芸術家のその後の人生を題材にしているという共通点があるためである[3](追放と亡命、いずれのケースもあるが以下では便宜的に「追放三部作」と呼ぶ)。「追放三部作」は「コリョ・シネマ」(Koryo cinema)とも呼ばれている[3]。これは中央アジアなど旧ソ連地域における高麗人による映画作品「コリョ・シネマ」の歴史的背景やその発展を探ることをテーマとしているためである[3]。なお、『ハンギョレ』紙では2015年に、本作においてインタビュイーが語ったナラティヴと同様の内容が報道されている[4]。
内容
朝鮮戦争中の1952年に、北朝鮮から8人の若者が全ソ国立映画大学に留学した[1]。そのうちの一人、本作の制作開始時に最後の生き残りであったキム・ジョンフンが主な語りを担当し、歴史的背景を補足していく[3]。8人の留学中に、留学先ソ連ではスターリン批判が始まる一方で、祖国北朝鮮では1950年代中ごろから朝鮮労働党の金日成に権力が集中していく[1][4]。1956年8月に「宗派事件(宗派闘争)」と呼ばれる政変があり、複数の政党が最高人民会議に参加する人民民主主義の体制から、金日成の個人崇拝を核とした指導体制へと転換した[1][4]。ソ連派や延安派が粛清されていく中、前者の体制のころに北朝鮮を出国した8人は不安を覚え、そのうちの一人ホ・ウンベが集会において公然と金日成個人崇拝を批判した[4]。これをきっかけに8人はソ連への亡命を選択する[4]。
映画は8人のその後の人生を、キム・ジョンフンあるいは配偶者などの語りによって再構成していく[1][3]。8人は、眞の人間になるという意味で、同じ「眞」(ジン)という名前に改名し、結束を強めた[1][4]。当初はソ連の差配によりソ連の広大な領土に分散して居住することを余儀なくされたが、その後何人かは、高麗人の多いカザフスタンに集まった[1][4]。
8人のうちキム・ジョンフン(キム・ジン)は撮影監督、チェ・グギン(チェ・ジン)とヤン・ウォンシク(ヤン・ジン)は映画監督、ハン・デヨン(ハン・ジン)とホ・ウンベ(ホ・ジン)は作家・脚本家になった[1][5]。ソ連、あるいはカザフスタン社会の中ではマイノリティである高麗人の社会の中で自然発生的に誕生した文化(民俗芸能や演劇、映画など)において、彼らは活躍していく[5]。