山梨県甲府盆地の南、市川大門町。その町並みをヘルメット姿の少年のような風変わりなおじさんがひょこたんと歩く。彼は町の人々の手伝いをして、「ひいくん」と愛称され温かく受け入れられている。いつも、当たり前のように町があり、人がいた。しかし、いつしか町はシャッターが目立つようになった。お気に入りの電気屋「水口屋テレビ」の店主・青柳正輝さんは病気で倒れ、店を閉めた。写真好きの正輝さんが撮影した膨大な数の写真には、この町の活気ある姿が確かな形で写っていた。華やかだった町の風景、盛り上がる祭り…。今、町はゆるやかに静まってゆくが、我らが人気者のひいくんはこの町を今日も朗らかに歩き続ける[3]。