みいちゃんと山田さん

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みいちゃんと山田さん
ジャンル ヒューマンドラマ[1]
漫画
作者 亜月ねね
出版社 講談社
掲載サイト マガジンポケット
レーベル KCデラックス
発表期間 2024年9月8日[1] -
巻数 既刊6巻(2026年4月23日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

みいちゃんと山田さん』(みいちゃんとやまださん)は、亜月ねねによる日本漫画作品。『マガジンポケット』(講談社)にて、2024年9月8日より連載されている[1]。2026年「このマンガがすごい!」オトコ編4位を受賞。発行部数は210万部を突破している[2]

2025年12月には、声優の潘めぐみがみいちゃんと山田さんの2役を演じるボイスコミックが公開された[3]

2012年の新宿歌舞伎町を舞台に[4]キャバクラで新人としてデビューしたみいちゃんと、同僚の山田(やまだ)を中心人物として[5]、みいちゃんが殺害されるまでの12か月を描く[6]

作者の亜月は本作が商業デビューとなるが、以前はXでWeb漫画を投稿するユニット「ダイアナ」の作画担当として2022年1月から2024年2月まで漫画を担当していた[7]。活動していたX(旧Twitter)上で公開していた作品が、10億インプレッションを超えるほどの注目を集め、講談社の編集者の目に留まったことで、商業連載が決まった[6]。また、ダイアナ名義で出版した「夜のことばたち」の第7章「それぞれの夜職」の中の一編『幸福のために最低限必要なもの』が本作のプロトタイプであり、独立した後にXに投稿していたものが本作のパイロット版となる。連載が始まった後にパイロット版は削除されている。

あらすじ

2012年、東京新宿。キャバクラ嬢として働く山田マミは、新人・みいちゃん(中村実衣子)と出会う。 頭が弱く、何をやっても失敗ばかりのみいちゃんだったが、山田はそんな彼女に過去の自分を重ね、みいちゃんと関わっていく。 この物語は、そんなみいちゃんが殺されるまでの12ヶ月を綴ったものである。

登場人物

声の項はボイスコミックの声優。

主要人物

山田マミ(やまだ マミ)
声 - 潘めぐみ[3]
本作の実質的な狂言回しで準主人公。大学に通いながら、歌舞伎町のキャバクラ「Ephemere」で働く女性。金髪碧眼、ロングヘアのスレンダーな美人。初登場時は大学3年の21歳。派手な外見と違い、温厚で正義感が強く、心優しく面倒見が良い。学籍はあるが、物語開始時点ではほとんど通学しておらず、留年・中退しても良いとまで言い切っており、キャバクラ嬢としての仕事も生活費のためにしているだけで、あまりやる気がない。第1話ではノルマ未達による罰金が見える程度の売上のようである。
文学好きらしく控室では客に営業メールも送らず、よく小説を読んでいる。「マミ」は源氏名であり、「山田」もみいちゃんに本名を聞かれてとっさに付けた偽名であるが、作中では「山田さん」と呼ばれることが多く、本名は不明。過干渉で教育に厳しい実母により傷つきながら育っており、そのストレスから摂食障害が現れている。どこか自分の過去と重ねるような形でみいちゃんを気にかけて関わっていく。特技はイラストを描くこと[4]で、みいちゃんに用意されたプラコップに彼女の似顔絵を描いており、彼女との関わりや自身の指名客であるタカシのアドバイスもあり、「漫画家になりたい」という幼少期からの夢を自覚していくが、2012年10月の時点では頭の中で考えているだけで行動に移していない。
みいちゃんの彼氏だったマオのDVに干渉した一件以降みいちゃんと共同生活を始め、それと同時期に「Ephemere」の実態を知ったことでキャバクラから足を洗い、レンタルビデオ店で働き始める。しかし、みいちゃんの異常性と直に向き合うことになったことで次第に嫌っていたはずの実母と同じ行動をみいちゃん相手に取るようになるなど余裕を失っていき、見た目もココロ曰く「小太りになりイモ臭くなった」とだらしなくなる。ある日、みいちゃんに自室をめちゃめちゃにされたうえ自分のベッドを立ちんぼの男客との性行為に使われていたのを目撃し、口論の末に激昂したみいちゃんが20万円程の液晶タブレットを破壊したことで遂に手を出してしまい、図らずもかつてマオが主張した「みいちゃん相手には暴力しかない」を自ら体現し、結果としてみいちゃんのような人間と関わることの現実に打ちのめされ関係が破綻。これらを期に同居を解消して実家に帰ることを決断し、みいちゃんに宮城に帰ることを促して送り出したことが、後に起こるみいちゃん死亡事件の遠因となる。
みいちゃんの没後は唯一毎年墓参りをしていたものの、2025年時点でもその絡みで心に闇を抱えている様子が窺える。
中村実衣子(なかむら みいこ)
声 - 潘めぐみ[3]
本作の主人公。宮城県出身、1990年12月22日生まれ[8]の21歳で「Ephemere」に初入店することとなった新人のキャバクラ嬢。身長148cm。一人称・愛称は「みいちゃん」。小柄で目がぱっちりした可愛らしい容姿をしており、実年齢よりかなり幼く見える。髪は幼少期より茶髪のショートカットで瞳はピンク。8月に店を辞めてすぐに新大久保で禁止行為なしの風俗嬢として働いている。
良くも悪くも愚直で言動に裏表がなく、中卒で簡単な漢字が読めなかったり、来店客の前でも本名や住所を公言し、自分や同僚の個人情報の扱いにも度を越して無頓着だったりすることから、周囲からは「可哀想」だというレッテルを貼られている[4][6]。桃花によると漢字の読み書きができないため、高校への出願ができていない。
人懐っこい反面プライドも高く、自分の知的障害の可能性も受け入れようとせず、他人の力を借りた支援の手も拒絶する。幼少から家族から無関心・気まぐれに扱われ、長年の不登校で教育や適切な躾を受けてこなかったこともあり、マナーのほか倫理観が非常に危うく、窃盗や売春は「お金が無かったらしても良い」とすら考える傾向が残ってしまい、学生時代よりトラブルを性的接触で乗り切ろうとする習慣が身についてしまっており、かつてはムウちゃんと共に立ちんぼをやっていたこともある[9]
叱責や否定を極端に嫌い、褒められることやプライドが満たされることに固執しているため、取り分の金銭をピンハネされてしまう難点を除けば新大久保の風俗店は、本人の性格と特性にこの上なく適合した労働環境であるものの、身体的には不健康状態に陥っている。
知性が欠如した一方で感受性が高く、他者の感情は敏感に感じ取っており、幼少期から地域社会で疎外されていたこと、実家での自分の立ち位置や祖母が自分に抱く義務感と情の無さ、実父がもう実家に帰って来ないこと、母が自分に無関心であることも理解して感じ取っている。そのため愛情に飢えており、小学3年時の担任だった須崎や初恋の佐藤、山田など優しくしてくれたり親切にしてくれたりする人間にはすぐに懐き好意を抱くが、そういった相手に対する敬意や礼節は持っておらず無自覚に見下し態度が大きくなり恩を仇で返すために関係が破綻してしまうことになる。
共同生活の破綻により、山田から「ムウちゃんのいる地元に帰るのがいい」と促されて帰郷を承諾し宮城に帰る。だが帰省してから間もなく失踪した後、最終的に何者かによって殺害され、2013年の明け頃に地元の山中にて遺体で発見されている。
亜月の昔の知り合いがモデルになっているとされている[6]が、ストーリー自体は実話ではないと断りを入れている。

Ephemereの従業員

桃花(ももか) / 市桃(いちもも)
声 - 瀬戸桃子[3]
「Ephemere」のキャバクラ嬢の一人。愛称は「モモさん」。2012年時点の年齢は25歳、前職は祇園舞妓で市桃は当時の芸名。水色髪のショートヘアでツリ目が特徴の妖艶な美女。店の嬢の中では長身かつスレンダーな体型をしている。普段は舞妓時代に叩き込まれた笑顔で糸目になっており、たまに目を開く。嬢のリーダー格で新人教育も担っており、店長とも仲が良く裏の顔も知りつつ清濁併せ呑む度量はある。口が悪く思ったことをはっきり言う性格。喫煙者。多少のサドっ気があり自覚的にいじめを行う悪癖がある。
中卒で舞妓修行に入っており、Ephemere在籍時に高卒認定に合格している。
ココロ / 泉美(いずみ)
声 - 瀬戸桃子[3]
「Ephemere」のキャバクラ嬢の一人。いつもまとめ髪にしており、黒髪と程良く大きなバストも特徴。大手企業への就職を狙える有名大学の3年生で[4]、清楚で理知的な女性。みいちゃんに勉強を教えようとしたが、上手くいかず断念した[4]。さらに自分の顔が映った写真をみいちゃんに「Ephemere」のSNSに載せられ、親や大学にキャバクラ嬢をしていることが発覚することの重大さをまったく理解してないみいちゃんに「優しくして損した」と愛想を尽かす。
その後は「Ephemere」を休職して就職活動に専念しているが、街中で偶然山田と再会。山田からみいちゃんと共同生活していると聞き、その影響でイモ臭く小太りになった山田の姿を見て内心蔑む。結局は山田もみいちゃんと似た者同士で関わってはいけない人間と判断し、その場で別れたあと山田の連絡先をブロックし、あっさり切り捨てた。
本人曰く「Ephemere」はこのままフェードアウトする形で辞めるという。
ニナ / 新名(にいな)
第7話でみいちゃんの後に入店した「Ephemere」のキャバクラ嬢。前髪をセンター分けにし、明るいピンクに染めた姫カットが特徴。
大卒で昼職からの転向組であり、一見しっかりとした印象の人物たが、ミスや忘れ物が多いほか後先やTPOを考えた発言が出来ず、客にセンシティブな話題を振るなどして店長からよく注意を受けていた。一方の山田は彼女の言動や振る舞いをみいちゃんのケースとは違って常人の許容範囲内と捉えており、作中説明ではそこから10年ほど後に名称とともに世間に広まり浸透した特性持ちとしている。結局、「Ephemere」は勤務1ヵ月で無断退職し、その際山田の高価なカチューシャを借りパクしている。その後かなり努力したらしく、遅くとも36歳以前に昼職に戻っている。その時点の職場では自身の特性に理解がある上司に恵まれながら何とか正社員として勤務しており、みいちゃんの死も風の噂で知った模様。
店長
「Ephemere」の店長。55歳。他に経営者がおり、いわゆる雇われ店長。体験入店時点からトラブルを頻発していたみいちゃんを面白半分に正式採用してしまうなど無茶苦茶な人物。よくグラスを落として割るみいちゃんのためにプラコップを用意したり、みいちゃんがコンビニで万引きしてしまった時も身元引受人代理として迎えに行くなど、採用した後は通常のキャバクラ嬢への扱いをおよそ超えるほどに気に掛け、面倒を見ていた。しかし、後述の違法風俗店主の金村とは旧知で繋がりがあり、裏の顔を持っている。みいちゃんに対しては利用価値があったので優しくしていただけの模様。
ミュウ
「Ephemere」を退店した山田と入れ替わりで入店した新人。最終学歴は高卒。彼氏持ちである。
容姿はみいちゃんと瓜二つで髪の両サイドを編み込みにしてリボンを結んだ凝ったヘアアレンジが特徴。
みいちゃんよりも素直で自信に満ちた態度であり能力的にも明らかにみいちゃんよりは優れるが、男に媚びず思ったことを話さずにはいられない性格で人間性に問題のある客には年頃の女子なりの範囲内で不快な表情を露わにする。このようにキャバクラの本分に忠実とは言えない面があるため、初対面でみいちゃんと同類だと予想したシゲオには嫌われ、桃花は初日早々勤務後の控室でいじめのターゲットとして照準を合わせるような様子を見せている。

風俗店の従業員

金村(かねむら)
みいちゃんが「Ephemere」退店後、移籍した新大久保の風俗店の責任者。スキンヘッドと福耳、恵比須顔が特徴。店長とは旧知の仲でみいちゃんを笑顔でおだてながら他の嬢からはNGが出ている悪質な客ばかりを付けており、違法な本番もさせている上、彼女に計算ができないことを承知した上で給料もピン跳ねて横領している。
真璃亞(まりあ)
新大久保の風俗店でのみいちゃんの同僚。ロングヘアを白黒のツートーンカラーに染めて大きなリボンを付けており、私服はロリータ・ファッションバンギャルで推し活のために休みを取ることがある。左腕に包帯を巻いて隠しているが、リストカットの跡があるメンヘラ。推しバンドマンに貢いでいる繋がりバンギャであるらしく、推し対象も素行の良くないバンドマンである模様。仕事の辛さを忘れる方法としてみいちゃんにリストカットを教えている。
金村の采配のせいで「みいちゃんはさせてくれた」という本番行為を強要する客が自分のところに来ることに迷惑を被ったことを金村に抗議するも無視を決め込まれ、結局は店を辞める決意をし、その後は山田と同じレンタルビデオ店でバイトをしているが、山田を妄想だけは一人前な無能と暗に見下している。
2020年代には一社会人として自立しバンギャとしての日々とみいちゃんのことはすっかり忘れていたが山田については不明。

パン屋の従業員

店長
みいちゃんが山田の手によって金村の風俗店を強制的に無断退店させた後、山田から「普通のアルバイトを探そう」と後押しを受けて面接に行ったパン屋の店長で温厚な性格の初老男性。パンの腕はいい様で、山田に絶賛されていた。みいちゃんが特性持ちだとは気付かないまま彼女を採用し、洗い場の裏方スタッフとして雇う。しかしみいちゃんが可愛い制服が着たいとしつこくダダをこねたこともあり、レジ担当にしてしまう。その結果、偶然来店したツバサ親子の一件でみいちゃんが元デリヘル嬢である事を知る。ツバサ親子含むデリヘル時代の客が今後もみいちゃん目当てで来店するのではと危惧した矢先、みいちゃんの釣銭横領が発覚し、店に他の被害が出る前にみいちゃんをクビにする。みいちゃんに善悪とハッキリ教える、作中の数少ないまともな登場人物であった。
女性店員
名前不明。レジ担当の若い女性店員。タレ目で目元の泣きボクロが特徴。自身が着用する可愛らしいデザインの制服に目をつけたみいちゃんが「あれが着たい」と店長にダダをこねる羽目になった。みいちゃんがパン屋に入ってからは何かと気の毒な目に合い、彼女絡みの一件でツバサに惚れられた描写があったが、その後どうなったかは不明。

みいちゃんと山田さんの家族

中村芽衣子(なかむら めいこ)
みいちゃんの母親。上京後のみいちゃんとは、物語より何年か前に電話をしたのを最後に連絡を取っていない。
文字があまり読めず、計算能力も1桁の計算はできる程度で、みいちゃんに「漢字なんて読めなくて良い」と教えた人物。
火の扱いに母親のサポートが必要だが、はっと汁などの郷土料理の調理は可能。そのほか、2歳になっても発語がない娘の発達に違和感を抱く程度の知能は持ち合わせているが、知的・発達に障害を抱えている事が仄めかされている。
みいちゃんと同様にプライドが高く癇癪持ちで、娘の発達が遅いことに苛立ち手をあげて母親から止められたり、須崎との面談でみいちゃんを特別支援学級に入れることを勧められて逆上し、みいちゃんが小学校を卒業するまで須崎を「バカ教師」と罵り続けていた。みいちゃん曰く、優しい時とそうでないときの差が激しい。
みいちゃんの父親である実兄を熱愛しており、彼が行方不明になった時は悲嘆にくれていた。その時期以降、みいちゃんに関心を寄せる様子が描かれなくなり、ほぼ育児放棄するようになる。
みいちゃんの父親
名前不明。芽衣子の実兄。癖のない髪や雰囲気がみいちゃんとよく似ている。妹同様文字があまり読めず、運転免許を持っていない。整った顔立ちではあるが、目の焦点が定まっておらず、成人男性にしては表情や仕草が幼く、妹と娘同様にチグハグな印象の独特な服を着ている。実妹である芽衣子を妊娠させ、みいちゃんを産ませた事の重大さを理解していない。あまり喋らず、芽衣子以上に意思疎通が困難であることが伺える等、妹や娘同様知的障害者である事が伺える。
普段は別々に暮らしており、3か月に1度中村家に帰る生活を送っていた。みいちゃんが5歳くらいのころ、「北海道に仕事に行く」と称して強面の男性と宮城を出て行って以降は行方不明。
みいちゃんの祖母
芽衣子とその兄の母。髪は白髪で娘と似た癖毛のショートヘア。孫であるみいちゃんには出生からおぞましい子と非常に嫌悪感を抱いており、関わりたくないと感じている。孫に宮城を出て上京するように勧め、まとまった資金を渡して住まいを手配した。孫が上京して以降、おそらく何年も連絡を取っていない。
夫とは離婚して以来、女手一つで「大変な子」であった2子を成人まで育て上げた苦労人。一方で、孫や娘同様にプライドが高く、旧態依然の価値観に固執している一面がある。
山田さんの母親
顔立ちは山田に似ていて美人。過激な教育ママで、娘の人生に何でも過干渉するいわゆる毒親。幼少期から娘に教育虐待を施し、欲しがるおもちゃや漫画は一切買い与えず、付き合う友達も読む本も指定。
娘の1日を5分刻みのスケジュールで管理し、EXCELでテストの点数を記録しフィードバックさせたりと徹底した勉強漬けを強要しており、小学校受験と中学受験もさせている。勉強漬けの他にも幼い頃の娘から絵をプレゼントされた際に叱りつけて捨てるといった数々の心無い言動と非常識な行動で長年娘を傷つけ続けている。娘の得意不得意・向き不向きは全て理解していると豪語し、山田が漫画家になりたいと勇気を出して打ち明けた際も当然の如く真っ向から反対した。
山田が実家から離れた後も毎日の連絡を強要したり、一人暮らし先や大学に押しかける等、過干渉し続けている。
娘と離れて暮らしたからか、かなり情緒不安定になっており、山田が拒否しただけで死にたいと呟くようになる。
上述の厳しすぎる教育方針は、自身が父親に反対されて大学に進学させてもらえなかった過去によるもので、山田を身籠った際に「子供には最高の学歴と人生を与えてあげたい」と独善的な決意をしたためである。

榎本家

榎本睦(えもと むつみ)
みいちゃんとは保育園からの幼馴染で一緒に上京した同郷出身の友人。21歳。一人称・愛称は「ムウちゃん」。幼少期から通して結っているお団子ヘアとツリ目、八重歯が特徴。
素直で明るいが山田が初対面で違和感を覚える程服装や言動がチグハグであり、実際会話のキャッチボールができない、姿勢が保てない、視線の動き方や表情が不自然、字が真っ直ぐ書けないなどの特性を持つ。実年齢より幼い雰囲気だが、みいちゃんより頭一つ分程長身。
風俗嬢をやっていた時期もあり、窃盗を繰り返して2年前に逮捕され、刑務所入所時の面談がきっかけで知的障害の診断がついた[9]。出所後は療育手帳を取得し福祉の手に繋がることができ、現在は作業所に通っている。作業所での仕事が合っていたようで、職員に褒められる現在の暮らしに喜びを感じている。風俗の仕事に関してはもうしないと施設の人と約束しており、出所後に再会したみいちゃんから立ちんぼに誘われた際も明確に拒否した。
中学卒業後はパン工場で働いたこともあって細かい単純作業が上手いらしく、作業所でホチキス針の箱詰作業をしていた。
「みいちゃんもなんか障害がありそう」と一緒に福祉事務所に通うことを勧めるが、特性ゆえのストレートな言葉がみいちゃんのプライドに障り拒絶されてしまう。2012年9月までには東京から引き上げて宮城の実家に帰っており、以降は近郊で農業を手伝っている。
家庭と環境に恵まれて育ったせいか、自分に害をなす者に鈍感かつ無防備であり、帰郷後も自分を非行に染めたみいちゃんの有害性に気付かず、母親のように彼女を恨むことなく親しみを寄せ続けている。
ムウちゃんの母親
ムウちゃんの母。下の名は不明だが姓はおそらく榎本。ロングヘアで娘と同様に八重歯がある。
中村母子とはムウちゃんが保育園児のころからの付き合いだった。育児にはきちんと手をかけており、娘の髪をいつもきれいに結い上げて、帰りが遅くなれば迎えに来るなど、中村家よりは真っ当な育児ができていることが伺える。
しかし、時代や地域的なこともあってか、軽度知的障害児の療育に関しては知識が欠けており、娘の発達が遅いことを悟っていても「周囲からの刺激があった方がプラスになる」と考えて、小学校から特別支援学級入ることを勧められた際、診断や療育を受けないまま中学も普通学級のままで進学させてしまったほか、娘に愛情を注ぐ一方で成人年齢になっても過保護になり、包丁を使うことに難を示す等ムウちゃんの自立を妨げてしまっている。
2012年以降、帰郷した娘と同居している。ムウちゃんが東京で風俗嬢をしていたことや前科を持つに至った経緯を知っているらしく、娘に窃盗と売春を教えたみいちゃんに憎悪を燃やしている。

その他

鈴木茂雄(すずき しげお)
スチールウールのような縮毛、小太りの体に眼鏡と、いかにも「キモオタ」といった容姿の男性。素人童貞でありながら、キャバクラやガールズバーという資本主義の聖域でしか異性と関われない己を棚に上げ、批評家気取りで女性を上から目線で品定めする。
「世界中の女がみいちゃんのようになればいい」という彼の妄言は支配欲の露呈に過ぎず、学歴コンプレックスを刺激するココロや、己の薄っぺらさを見透かす山田、あるいは自分と同レベルの性格のねじれを持つ桃花を「気に入らない」と切り捨てる。
風俗店に移籍したみいちゃんが忘れられず、金村の風俗店で客としてみいちゃんを指名して再会した際にプロポーズしたが、失言してみいちゃんを怒り狂わせてしまう。その異様さから、それまでの彼女の可愛らしく従順なイメージが崩壊し、みいちゃんから離れる。この一件により、気付きを得てこれまでの女性への態度や考え方を改めるに至り、目の描かれ方まで変化した。
実家暮らしのいわゆる子供部屋おじさんではあるが、定職に就き500万円程の貯蓄があるらしい。足が悪い母親を大切にしており、堅実に生きている社会人男性でもある。
タカシ
山田の指名客。既婚者。職業は公認会計士で独立事務所を構えている。少年期は親から勉強を強要されて育ってきたため山田の生い立ちに共感をおぼえ、彼女の漫画家への夢を後押しする。
マオ
みいちゃんの現在の彼氏。作者のXのネタ漫画で自称IQ130のギフテッドとされているが、作中マオのセリフでIQは出てこない。作中のIQについてはみいちゃんのセリフからIQ130(単行本とボイスコミックではIQ140)と出ており、物語の進行に連れIQ180と言うようになる。しかし山田に知識を捲し立てられた際は「俺の前で難しい話をするな」と逆ギレしたり、デリヘルの給与支払明細書の合計が合っていない事に気付かない等、IQが高いと思わせる言動はない。元々小太りな体型だが、物語の進行に連れて更に太り、小汚い容姿になっている。みいちゃんからは「マオくん」と呼ばれている。みいちゃんを暴力で支配し、脱税までさせて金銭を搾取する代償に履歴書を代筆したり、ペットであるハムスター(ハムカツ)の世話や家事を代行していた。裏社会との繋がりが示唆され、みいちゃんをラオスに売ろうとしたが、当日の朝にみいちゃんが寝坊して空港に来なかったために自身が代わりに連れて行かれ、以降は登場しなくなる。
ツバサ
新大久保のデリヘルに移った後のみいちゃんの客。金村からは初回で長時間コース、場所は自宅という点から厄介な客と判断している。
明らかに知能に問題があるようで清潔保持や意思疎通もままならず、母親が電話もできない自身の代わりに出張の注文を行った。鉄道模型に強い拘りのある自閉傾向があり、鉄道模型に勝手に触ったみいちゃんを殴り、押し倒すように一方的に本番を行った。プレイの後に母から振舞われた食事でも、満足な食事のマナーすら身に付いていない様子を見せていた。
それまでの客とは異質な存在であるツバサに、みいちゃんはプレイの後に虚無の表情を浮かべていた。
みいちゃんのバイト先であるパン屋に母親と入店した際、店内で陳列されたパンを未会計で暴食し騒動を起こす。その際パン屋の店員の子を気に入る描写があるがその後は不明。
ツバサの母
スピリチュアルに傾倒する老齢の女性。ツバサの童貞卒業という悲願のために貯めた年金を使ってみいちゃんを呼び、成功したので彼女をツバサの性処理係にしようとしたが、マオの存在を盾に断られた。
その後ツバサを連れて散歩している途中でみいちゃんのバイト先であるパン屋に入店し再会。先輩店員と客達にみいちゃんの前職を暴露した他、未会計のパンを暴食する息子を止めず、ツバサがパンで喉を詰まらせると店に逆切れする等非常識な行動を取る。
みいちゃんが釣銭の横領以外でパン屋をクビになったもう一つの原因となる。
市桃の後輩
市桃(桃花)の舞妓時代の後輩。そばかす顔で関西弁を話す。計算がまともにできない上に味覚異常で食事のマナーも悪く、しかも態度が横柄で感謝の気持ちにも欠けており厚かましく、何らかの特性持ちが疑われる。さらに、上下関係に厳しい世界に生きる舞妓であるにもかかわらず先輩の市桃に平気でタメ口を使っていた。
市桃は割り勘の計算が出来ない彼女に配慮してフライドポテトとドリンクバーを奢った恩を「そんならもっと頼めばよかった」と仇で返されたことに「こちらも感謝する必要が無い」と愛想を尽かせ、彼女を抓っていじめた。
市桃は要領が悪く座敷唄もロクに覚えられない彼女の面倒を見ており、上京後も「友達」と語っている一方で、品性と感謝の無い彼女を救い難いように感じている。
1年足らずで舞妓デビューを待たず見習いのまま辞め、現在は東京でDV癖のある恋人との共依存的な生活を送っている。

過去編

剛田(ごうだ)
みいちゃんが小学1年生の時の担任。大柄で常にジャージを着ている男性教師。児童をいじって笑いを取ることが得意で、みいちゃんを貶めることでクラスの和を保とうとする。みいちゃん以外の児童には概ね好かれていた。プライドが高いみいちゃんとは相性が悪く、みいちゃんを他の児童と比較していじっていた割にみいちゃんの特性には目を向けず、生育・家庭環境を気に掛けることもなかった。みいちゃんが3年生まで授業を受けずに登校して給食だけ食べて下校する生活を送る元凶となる。
須崎奈々(すざき なな)
みいちゃんが小学3年生の時の担任。若い女性教師でみいちゃんを肯定的な目で見て優しく接する。みいちゃんの要支援である特性に気付く。当時としては珍しく発達障害や知的障害の特性と最先端の教育に理解のある人物で作中で唯一みいちゃんの味方である大人である。
しかし、彼女自身が新卒で若い女性という事と、地方の県と時代背景の事もあり、未熟な部分もある。保護者の芽衣子と面談した際、みいちゃんを特殊学級(現:特別支援学級)に入れることを勧めて逆上され、反感を買い、この時に芽衣子の怒り狂う姿を見て、芽衣子も何らかの障害持ちだと瞬時に察している。その後、中村家を訪問し、みいちゃんの祖母にも提案を話すが、若い女性が軽んじられている年代でもあり、世間体を気にするあまりに拒否されてしまう。登校しなくなった後もみいちゃんのことを気に掛けていた。
佐藤(さとう)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった男子でみいちゃんの初恋の相手。みいちゃんが授業中に歌ったのを注意されて癇癪を起こし、担任教師に連れてこられた保健室で初めて言葉を交わす。眉目秀麗で所作が上品な文学少年。ピアノが趣味で当時みいちゃんの愛唱歌だった『どんぐりころころ』を学校のピアノで弾いてくれたり、声を掛けられれば受け答えて優しく接する。物静かな女の子が好みらしく、それを知ったみいちゃんの奇行が一時的に薄まる。
皐月(さつき)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。前髪をセンター分けにしてサイドをピンで留めたセミロングヘアで眼鏡を掛けている。特性が薄まったみいちゃんに自分から声を掛け、友達になる。優しい女の子で佐藤に恋するみいちゃんを微笑ましく見守り、応援してくれていた。しかし、みいちゃんがドラッグストアでコンドームを万引きしたことによりクラスで悪評が立ったため、周囲の目を恐れてみいちゃんと距離を置くようになる。
雪奈(ゆきな)
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。長めの前髪を下したロングヘアで右口元にホクロがある。みいちゃんと同様、佐藤に想いを寄せており、彼に近付く恋敵のみいちゃんに苛立ち、悪意を抱く。スレンダーな体型で顔立ちは可愛らしいが、嫉妬深く非常に自己中心的。
みいちゃんが小学校時代に不登校だった事や近親相姦の子である事を知っており、「うるさいから中学校も来なくていいのに」と後述のポニーテールの女子に愚痴をこぼしたことがきっかけで事態は大きく動き、皐月や佐藤と穏やかな日々を過ごし始めていたみいちゃんの中学校生活が崩壊する。
ポニーテールの女子
中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子で雪奈の友達。名前不明。いつも髪をポニーテールに結っている。みいちゃんの目線で見えていた彼女は程々可愛らしい顔で描かれていたが、実際は目が小さく、ややぽっちゃりした体型。
雪奈の恋を応援しており、雪奈から前述の愚痴を聞いたことで、一人になった時のみいちゃんに近付き「(佐藤と)両想いになれる方法」と称して偏った性知識を吹き込み、結果的にみいちゃんが学校へ来れなくなるように仕向けた。

作風

可愛らしい絵柄に反した、DV近親相姦などの内容のリアルさや深刻さが特徴となっている[6]

みいちゃんについて読者からは軽度の知的障害ではないかという意見が挙げられているが、亜月によると、みいちゃんがどんな子なのかは読者の想像に委ねており、障害福祉を描くことを目的にしているわけではないという[6]。一方で、執筆するにあたって、家の本棚にあった少年犯罪心理学系の書籍を読んでいたほか、支援学校の職員や、風俗業で働く女性たちの生活・法律相談などの団体への取材を行っている[6]

SNSの黎明期で、現在よりも夜職がアンダーグラウンドな扱いだったり、変な子がいても「不思議ちゃん」扱いされたりするような2010年代の独特な雰囲気を再現することを意識して描写されている[6]

性的な描写については、それを作品の売りにはしておらず、若い女性読者も多いため、生々しく見えすぎないように心がけているという[10]

書誌情報

3巻には『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である児童精神科医宮口幸治との対談を収録[6]

  • 亜月ねね『みいちゃんと山田さん』講談社〈KCデラックス〉、既刊6巻(2026年4月23日現在)
    1. 2024年12月23日初版発行(同日発売[5][11])、ISBN 978-4-06-537943-1
    2. 2025年3月21日発売[12]ISBN 978-4-06-538749-8
    3. 2025年6月23日発売[13]ISBN 978-4-06-539730-5
    4. 2025年9月22日発売[14]ISBN 978-4-06-540642-7
    5. 2025年12月23日発売[15]ISBN 978-4-06-541792-8
    6. 2026年4月23日発売[16]ISBN 978-4-06-543133-7

出典

参考文献

関連項目

外部リンク

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