みいちゃんと山田さん
日本の漫画作品
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概要
2012年の新宿・歌舞伎町を舞台に[4]、キャバクラで新人としてデビューしたみいちゃんと、同僚の山田さんを中心人物として[5]、みいちゃんが殺害されるまでの12か月を描く[6]。
作者の亜月は本作が商業デビューとなるが、以前はXでパパ活や売春等に関するWeb漫画を投稿するユニット「ダイアナ」の作画担当として2022年1月から2024年2月まで漫画を担当していた[7]。活動していたX(旧Twitter)上でダイアナが公開していた作品が、10億インプレッションを超えるほどの注目を集め、講談社の編集者の目に留まったことで、商業連載が決まった[6]。また、ダイアナ名義で出版した「夜のことばたち」の第7章「それぞれの夜職」の中の一編『幸福のために最低限必要なもの』が本作のプロトタイプであり、XとKindleインディーズにダイアナ名義で配信されていた「みいちゃんと山田さん -みいちゃんが死ぬまでの12ヶ月間の話-」が本作のパイロット版となる。連載が始まった後にパイロット版は削除されている。
1巻終了までは概ねパイロット版を踏襲しているが、後述の通り連載版執筆のための取材の影響で2巻以降は徐々に内容にパイロット版からの変化が起こっている。特に風俗編開始以降の展開はパイロット版と大きく異なり、帰郷編開始以降に至ってはほぼ連載版オリジナル展開である。
単行本版では作画の手直しなどが加わっており、ボイスコミック版ではコンプライアンス上問題のあるセリフなどが改変されている。また、パイロット版と比べると性的描写・医療関連描写など連載版でカットされている描写も存在する。
単行本あとがきでは作者が「実体験をもとにしたフィクション」と断言しつつ、若い女性のリアリティや2010年代のノスタルジックな新宿の雰囲気を追求した旨を語っている。
2026年4月23日に発売された単行本第6巻の巻末予告にて第7巻での完結が明確に宣告された。さらに34話終了時点の同年7月5日には、作者が自身のXで37話で連載終了と明言[8]。
2026年7月12日より原案・亜月ねね、作画・船津紳平の公式スピンオフ『新宿解消禄テンチョウ みいちゃんと山田さん外伝』が連載開始。マガポケの公式上のカテゴリは「ギャグ・コメディ・日常」。同日、船津は単行本1巻を発売する前提のコメントを残している[9]。
2026年7月26日、2027年に劇場アニメ化される事が発表される[10]。アニメ化に対し「差別や迫害・いじめを助長しないか」との反響を受け、アニメ製作委員会[11]は「原作の持つテーマやメッセージを尊重するとともに、偏見や誤解を助長することのないよう、専門家の助言等も得ながら、適切なレーティングや注意喚起を記載するなど、慎重に制作を進めてまいります」と説明した[12]。
作風と時代背景
可愛らしい絵柄に反した、DVや近親相姦などの内容のリアルさや深刻さが特徴となっている[6]。
みいちゃんについて読者からは軽度の知的障害ではないかという意見が挙げられているが、亜月によると、みいちゃんがどんな子なのかは読者の想像に委ねており、障害福祉を描くことを目的にしているわけではないという[6]。一方で、執筆するにあたって、家の本棚にあった少年犯罪や心理学系の書籍を読んでいたほか、支援学校の職員や、風俗業で働く女性たちの生活・法律相談などの団体への取材を行っている[6]。
SNSの黎明期で、現在よりも夜職がアンダーグラウンドな扱いだったり、変な子がいても「不思議ちゃん」扱いされたりするような2010年代の独特な雰囲気を再現することを意識して描写されている[6]。
性的な描写については、それを作品の売りにはしておらず、若い女性読者も多いため、生々しく見えすぎないように心がけているという[13]。
あらすじ
2012年、東京・新宿。キャバクラ嬢として働く山田マミ(源氏名)は、新人として入店した『みいちゃん』こと中村実衣子(本名)と出会う。義務教育レベルの知識すらあやしい上に物覚えも要領も悪く、何をやっても失敗ばかりのみいちゃんだったが、山田さんはそんな彼女に過去の自分を重ね、みいちゃんと関わっていく。この物語は、そんなみいちゃんが殺されるまでの12ヶ月を綴ったものである。
登場人物
声の項はボイスコミックの声優。
主要人物
- 山田マミ(やまだ マミ)
- 声 - 潘めぐみ[3]
- 本作の実質的な狂言回しで準主人公。大学に通いながら、歌舞伎町のキャバクラ「Ephemere」で働く女性。金髪に碧眼のカラコン、ロングヘアのスレンダーな美人。初登場時は大学3年の21歳。派手な外見と違い、温厚で正義感が強い他、心優しく面倒見が良く、特に初期にはみいちゃんへの包容力を始めとして超然とした型破りな人物像を思わせる描写も散見されたが、大学生らしく年相応に未熟で、夜職の店長をいい人だと思い込んでいた。作中の人物で1番みいちゃんと仲が良く、深く関わった人物。学籍はあるものの物語開始時点ではほとんど通学しておらず、「留年・中退しても良い」とまで言い切っている。キャバクラ嬢としての仕事も生活費のためにしているだけで、あまりやる気がない。第1話ではノルマ未達による罰金が見える程度の売上のようである。
- 文学好きらしく控室では客に営業メールも送らず、よく小説を読んでいる。「マミ」は源氏名で、「山田」もみいちゃんに実名を聞かれてとっさに付けた偽名であり、本名は「美咲」で、母親からは「みいちゃん」と呼ばれていると最終回で明かされた。作中では店のお客からも「山田さん」と呼ばれている。過干渉で教育に厳しい実母に傷つけられながら育ち、どこか自分自身と重ねるような形でみいちゃんを気にかけ、関わっていく。母親関連のストレスからの摂食障害や異食症の症状が現れており、漫画家デビューが叶ったのちも、担当編集者から心配されるほど過食による肥満と、拒食からの痩身を繰り返している。
- 幼少時から教育虐待されて育ったためか非常に博識で、みいちゃんやマオの前で専門知識を捲し立てるように披露している。一方でコミュニケーション能力は低く、一切の取り繕いを行わないみいちゃん以外とは表面的なコミュニケーションしか取れず、相手のオブラートに包んだ話の真意について確信が持てないでいるシーンもある。また、絵のスキルなどを始めとした自己評価の一貫性も非常に低い。
- イラストを描くのが得意[4]で、グラスを割ってばかりのみいちゃんに用意されたプラコップに彼女の似顔絵を描いており、彼女との関わりや自身の指名客であるタカシのアドバイスもあり、子供の頃からの夢であった漫画家を本格的に目指すようになる。2012年10月の時点では頭の中で考えているだけで行動に移していなかったが、34話時点にて手書きの原稿でみいちゃんをモデルに執筆活動を始め、出版社に持ち込んだ際は夢一杯の子供のように初めての作品の評価を期待していたが、編集者から遠回しに「見込み無し」の扱いをされてしまう。
- 2012年9月頃、みいちゃんの彼氏だったマオくんのDVに干渉した一件以降、みいちゃんと共同生活を始め、同時期にEphemereの実態を知ったことでキャバクラから足を洗い(その際髪も短くした)、レンタルビデオ店で普通のバイトを始める。しかし、みいちゃんと直に向き合うごとに精神的余裕を失っていき、次第に彼女の意志と人格を認めなくなり、依存体質と独善、支配欲と所有欲を向けるようになった。見た目もココロ曰く「小太りになりイモ臭くなった」とだらしなくなっていく。2012年10月26日、みいちゃんに自室のベッドを行きずりの男客との性行為に使われていたのを目撃し、みいちゃんに心底失望して彼女の存在そのものを否定。口論の末激昂したみいちゃんに自室を無茶苦茶にされた上、20万円もした高価な液晶タブレットを破壊されたことで遂に堪忍袋の緒が切れて手を出してしまい、かつてマオが主張した「みいちゃん相手には暴力しかない」を自ら体現することとなり、結果としてみいちゃんのような人間と関わることの重い現実に打ちのめされて関係が破綻。みいちゃんに故郷に帰ることを奨めて同居を解消し一ヶ月後の再会を約束して宮城に送り出してからは自身も実家に戻り母と相対したことで、嫌っていたはずの実母と同じ行動をみいちゃん相手に取っていたことを自覚する一方、34話ではみいちゃんを殴った記憶を漫画の執筆の参考にしている。
- みいちゃんの失踪後は個人で捜索を行い、宮城まで赴き、みいちゃんの路上生活の拠点の跡地を偶然発見してみいちゃんの宝物が入った箱を持ち帰る。みいちゃんの遺体が見つかった後には毎年墓参りを続けていた。
- 中村実衣子(なかむら みいこ)
- 声 - 潘めぐみ[3]
- 本作の主人公。宮城県出身、1990年12月22日生まれ[14]の21歳でEphemereに初入店することとなった新人のキャバクラ嬢。身長148cm。一人称・愛称は「みいちゃん」。実年齢よりかなり幼く見え、作中では基本的には小柄で目がぱっちりと可愛らしくデフォルメされて描かれている。実際の姿は30、31話にて数ページ描写されており、彼氏のマオくんからは「チビデブ」と評されている他、シェアルーム編序盤でのシゲオとの会話では山田さんから肥満扱いされていたことが窺える。初期と比べると終盤は明らかに頭が横長に描かれている。髪は幼少期より茶髪のショートカットで瞳はピンク。口元が緩く、よだれを垂らす事が多々ある。
- 良くも悪くも愚直で言動に裏表がないものの、小中学校にほとんど通わなかったため簡単な漢字の読み書きや計算ができなかったり、店の客の前でも本名や住所を公言する。自分だけでなく同僚の個人情報の扱いにも度を越して無頓着だったりすることから、周囲からは「可哀想な娘」というレッテルを貼られている[4][6]。人懐っこい反面プライドが異常に高く、「バカ」という単語には過剰に反応し激昂する。自分が知的障害である可能性を受け入れられず、違和感を憶えた他人が差し伸べた支援の手も拒絶する。叱責されることを極端に嫌い、褒められること、プライドが満たされることに固執している。
- 両親は実の兄と妹という関係で、近親相姦の末に産まれた子供という生まれの事情から、幼少期から家族にほぼ無関心な状況下で養育されて適切な躾を受けられず、長年の不登校で必要最低限の教育や他者との関わり方を学習できなかったため、ルールやマナーというものを認識できていない。倫理観も非常に危うく、窃盗や売春は「お金が無かったらしても良い」と考える傾向にある。税金の未払いが原因で保険証を持っていないため病院に行くことすらできず、どうしてもの時はムウちゃんの保険証を借りるという違法行為をしていた。その倫理観の欠如は生涯に渡って遂に改善されなかった。
- 中学時代の出来事からトラブルを性的接触で乗り切ろうとする習慣が身についてしまっており、かつてはムウちゃんを巻き込んで共に立ちんぼをやっていたこともある[15]。
- 同い年のムウちゃんとは地元の幼少期より親友だが、彼女を自分より下の存在だと見下している描写が多々あり、東京時代にもまるで舎弟のように非行に付き合わせていた。故にムウちゃんが地元に馴染んでいる様子やポスターに起用されているのを見て不服そうな態度を見せている。昼職転向後も地味で単純な仕事を極端に嫌い、パン屋での洗い場の仕事にも屈辱の表情を浮かべたり、農場で洗い物をするよう任された際も露骨に不貞腐れていたりした。
- 8月にEphemereを辞めてすぐに新大久保のデリヘルでNGなしの風俗嬢として一時期働いていた。ネットで近況を知って愕然としていた山田さんを除けば、こうなることはEphemereの一同は当然のこととして予期していたようで特に驚いていなかった。身体を張って得た金銭から取り分をピンハネされていることにすら気づかない難点を除けば、新大久保のデリヘルは本人の性格と特性にこの上なく適合した労働環境であったが、長時間労働に過激な性癖を持つ厄介客との相手で徹底的に酷使され、身体的には不健康状態に陥っている。また風俗店勤務を境に、元々不安定であった精神や問題のあった知能は崩壊が進んでおり、識字能力や生活力はもはや日常生活もままならないレベルまで低下。連載初期の比較的温厚で委縮しがちな性格は、キチィランドのエピソード以降キレやすくすぐ悪態をつくものへと変貌している。
- 品性や知性が著しく欠如している一方で感受性は人並みに高く、中でも他者が自分に向ける感情は敏感に感じ取っており、幼少期から地域社会で疎外されていたことや実家での自分の立ち位置や祖母が自分に抱く義務感と情の無さ、父がもう実家に帰って来ないこと、母が自分に無関心であることも理解し、感じ取っている。小学3年時の担任だった須崎先生や初恋の同級生・佐藤くん、お店での山田さんなど優しくしてくれたり親切にしてくれたりする人間にはすぐに懐き好意を抱くが、敬意や礼節、常識を知らないが故に恩を仇で返す行為を無自覚で行い、結果的に関係が破綻してしまうことが頻発している。謝罪が必要な場面でも真意を理解できず、「怒られた」ことへの印象のみが残りその場で怒られないための謝罪をしている場面が多々見受けられるが、山田さんの部屋に男を連れ込み売春をした際には家主への言い訳が必要な状況であるとは判断できており、売春によって得た金銭を山田さんに見せて溜飲を下げようと試みているなど、善悪の区別が全くつかないわけではない。
- 同居の解消を決意した山田さんから「ムウちゃんのいる地元に帰るのがいい」と促されて帰郷を承諾し、2012年の10月31日(32話での切符の日付より)宮城に帰る。手がつけられなくなった母・芽衣子の世話と家事を祖母から押し付けられ、地元で働こうにも親子共々出禁扱いを受けている。それでもムウちゃんが手伝いをしている隣町の農業で自分なりに頑張ってはいたが、帰郷から1ヶ月に渡って自身をヘルパー扱いしては感謝の欠片もない人格欠落者と化した母と祖母に却って冷静になってしまい、2人を見限る形で家出して2012年12月頃にホームレスとなった。ホームレス生活をしていた際、太った不良青年から「魔法のお菓子」なる麻薬(描写的にMDMAとされる)を提供されて酩酊し、直後に駆け付けた高橋の子の亞夢露・美璃玖を薬物の影響による山田さんやハムカツの幻影に包まれながら叩きのめした。その2人と共に地元の大人達に発見された際にはその蛮行から激しい怒りを買い、ペンチで歯を抜かれる程の凄惨なリンチを受けた末、岩に後頭部をぶつけて瀕死状態となり、太った不良青年から覚醒剤を投与されてすでに死を待つばかりだったが、母の芽衣子に発見されておぶさられながら自分が生まれた時の母の思い出を聞き、最期の刻に一筋の幸福を掴みながら2012年12月21日の10:12頃、翌日の誕生日を迎えぬまま息絶えた。みいちゃんの死亡を確認するなり芽衣子が自己保身のため山中に彼女を死体遺棄したことで、表向き「失踪」扱いとなるが、山田さんの個人での捜索の際の聞き込みに対しても地元の住民の誰もが「知らない」と答えるなどまるでみいちゃんは存在しなかったかのような態度を取り、最終的に2013年3月に遺体が発見された。第1話冒頭の描写から一応納骨はされたことは分かるが、山田さん以外誰も墓参りに訪れていない様子が窺える。
- 作者の昔の知り合いがモデルになっているとされている[6]が、「ストーリー自体は実話ではない」と断りを入れている。
- 様々な意味で影響力の強いキャラであることもあって、マガポケヒロイン総選挙2026では3位にランクインした[16]。
Ephemereの従業員
- 桃花(ももか) / 市桃(いちもも)
- 声 - 瀬戸桃子[3]
- Ephemereのキャバクラ嬢の一人。愛称は「モモさん」。2012年時点の年齢は25歳、前職は祇園の舞妓で市桃は当時の芸名。水色髪のショートヘアでツリ目が特徴の妖艶な美女。店の嬢の中では長身かつスレンダーな体型をしている。単行本4巻宣伝話で公開された4巻の表紙を境に作画上胸が大きめに描かれており、それまで比較的控えめな傾向であったドレスの露出度も、明確に胸などのスタイルを強調するものと化している。
- 普段は舞妓時代に叩き込まれた笑顔で糸目になっており、たまに目を開く。店のキャストのリーダー格で地頭も良いらしく新人教育も担っており、みいちゃんのようなあからさまな夜職不適格者でもない限り後輩はある程度常識的に扱い、店長の裏の顔も知りつつ清濁併せ呑む度量はある。口が悪く思ったことをはっきり言う性格。喫煙者。多少のサドっ気があり薄笑いを浮かべながら自覚的にいじめを楽しむ悪癖があるが、その一方でみいちゃんがシゲオから貰ったぬいぐるみの中に盗聴器や小型カメラが仕込まれているのを即座に見抜くなど店の治安維持に一役買っている場面もある。
- 最初は使えないみいちゃんを潰す気でいたが、後にみいちゃんを良くも悪くも認めたとも、みいちゃんの去就を察していたため今更いびっても仕方がないと距離を置いたとも取れる様子を見せた。また、山田さんのことも世間知らずで根っこの方では夜職の世界と相いれない部類と認識しているようで、彼女の行動の伴わない夢見がちな様子を陰でおちょくっている他、彼女がEphemereの真相を知った際には想定内のような反応を見せていた。
- 中卒後京都に舞妓修行に入っており、Ephemere在籍時に通信制高校を卒業している。
- 常に笑顔を浮かべているが、これは舞妓時代にペルソナを被る技術を身に着けた上での振る舞いであり、舞妓時代は無愛想な顔をすることが目立ったほか、2012年時点でも自宅では思わず真顔になってしまうようである。また、第1話では非常識なみいちゃんに思わずペルソナが剥がれて怒りの表情を向けていた。
- みいちゃんのようなタイプは関わっていて救い難い部類だと内心切り捨てている節があると同時に、観測対象として面白がったり舞妓時代の後輩の生き写しとして彼女の面影を見出したりしている。
- ココロ / 泉美(いずみ)
- 声 - 瀬戸桃子[3]
- Ephemereのキャバクラ嬢の一人。いつもまとめ髪にしており、黒髪と程良く大きなバストも特徴。単行本4巻宣伝話で公開された4巻表紙では、初期より重量感の増した豊満なスタイルをしている。
- 大手企業への就職を狙える有名大学の3年生で[4]、清楚で理知的な女性。最初の方こそみいちゃんを人懐っこい存在として憎からず思い、みいちゃんに勉強を教えようとしたが、上手くいかず断念[4]。さらに自分の顔が映った写真をみいちゃんがSNSに載せたことで、親や大学にキャバクラ嬢をしていることが発覚することの重大さをまったく理解してないみいちゃんに「優しくして損した」と愛想を尽かす。みいちゃんとは本音では関わりたくないのだが、その後も何とかビジネス上の体裁を保って困りごとには助言だけは行い、日常的な関係についても壊滅的な段階にまでは至っていなかった。
- 店のキャストから店外で声を掛けられると不機嫌になり、源氏名で呼ばれると異常に周囲の目を気にして怒る(YouTubeのショート動画「ある日のみいちゃん【山田さん視点】」でも、歌舞伎町で山田さんと鉢合わせした際に露骨に舌打ちして無視した)。その割に自身は平気で外で山田さんの名を呼んで声を掛けており、ダブルスタンダードな一面がある。
- 夏頃になるとEphemereを休職して就職活動に専念していたが、10月に街中で偶然山田さんと再会し、彼女にキャバクラ嬢はこのままフェードアウトする形で辞めると明かす。話の流れで山田さんがみいちゃんと共同生活していることを知り、その影響で山田さんの姿をイモ臭く小太りになったと思い内心蔑むと同時に、結局は山田さんもみいちゃんと似た者同士で関わってはいけない人間だと判断し、その場で別れた後に連絡先をブロックしてあっさり切り捨てた。
- ニナ / 新名(にいな)
- 第7話でみいちゃんの後に入店したEphemereのキャバクラ嬢。前髪をセンター分けにし、明るいピンクに染めた姫カットが特徴。
- 大卒で昼職からの転向組であり、少なくとも年齢はみいちゃんと同学年の人物よりは上。一見しっかりとした印象の人物だが、ミスや忘れ物が多いほか後先やTPOを考えた発言が出来ず、センシティブな話題を無造作に客に振って店長から注意を受けていた。一方の山田さんは彼女の言動や振る舞いをみいちゃんのケースとは違って常人の許容範囲内と捉えており、作中説明ではそれから数年後に名称と共に世間に広まり浸透した特性持ちとしている。結局Ephemereでも入店1ヵ月程度で過去の仕事同様無断退職し、その際も山田さんから借りた高価なカチューシャを返し忘れているが、後に明かされた店の実態やみいちゃんの末路を考えると、その判断は正しかったと言える。
- その後はまっとうな社会人のフリができなければ夜職でも生き残れないことが身に滲みたのか、かなり努力をし続けて10年経った時点でも昼職に就いている。そこの職場では発展途上で自身の特性に理解がある上司に恵まれながら何とか正社員として勤務しており、みいちゃんの死も風の噂で知った模様。
- 店長
- Ephemereの店長。55歳。経営者は他におり、いわゆる雇われ店長。体験入店時点からトラブルを頻発していた見込みなしの不適格者であるみいちゃんを面白半分に正式採用してしまうなど無茶苦茶な人物。よくグラスを落として割るみいちゃんのためにプラコップを用意したり、みいちゃんがコンビニで万引きしてしまった時も身元引受人代理として迎えに行くなど、採用した後は通常のキャバクラ嬢への扱いをおよそ超えるほどに気に掛け、面倒を見ていた。しかし、後述の違法デリヘル店主の金村とは旧知で繋がりがあるなど裏の顔を持っており、みいちゃんに対しての態度はその点で利用価値があったので優しくしていただけだった。ニナに厳しくしていたのも付け込むだけの利用価値がなかったためで、真相を知って絶望した山田にも元々売上が悪いので眼中になかった様子であった。
- スピンオフ作品『新宿解消禄テンチョウ みいちゃんと山田さん外伝』では主人公を務め、仕事のストレス解消のために夜の歌舞伎町で食事を楽しむ姿が描かれる。
- ミュウ
- Ephemereを退店した山田さんと入れ替わりで入店した新人。最終学歴は高卒。彼氏持ちである。
- 容姿はみいちゃんと瓜二つで髪の両サイドを編み込みにしてリボンを結んだ凝ったヘアアレンジが特徴。
- みいちゃんよりも素直で自信に満ちた態度であり能力的にも明らかにみいちゃんよりは優れるが、男に媚びず思ったことを話さずにはいられない性格で、人間性に問題のある客には年頃の女子なりの範囲内で不快な表情を露わにする。このようにキャバクラの本分に忠実とは言えない面があるため、初対面でみいちゃんと同類だと予想したシゲオには嫌われ、桃花は初日早々勤務後の控室でいじめのターゲットとして照準を合わせるような様子を見せている。
風俗店の従業員
- 金村(かねむら)
- みいちゃんがEphemere退店後、移籍した新大久保の風俗店の責任者。スキンヘッドと福耳、恵比須顔が特徴。実はEphemereの店長とは旧知の仲で、みいちゃんを笑顔でおだてながら他の嬢からはNGが出ている悪質な客ばかりを付けており、違法な本番もさせているだけでなく彼女に計算ができないことを承知した上で給料もピン跳ねして搾取していた。
- 真璃亞(まりあ)
- 新大久保の風俗店でのみいちゃんの同僚。ロングヘアを白黒のツートーンカラーに染めて大きなリボンを付けており、私服はロリータ・ファッション。バンギャルで推し活のために休みを取ることがある。左腕に包帯を巻いて隠しているが、リストカットの跡があるメンヘラ。推しバンドマンに貢いでいる繋がりバンギャであるらしく、推し対象も素行の良くないバンドマンである模様。仕事の辛さを忘れる方法としてみいちゃんにリストカットを教えた。
- 金村の采配のせいで「みいちゃんはさせてくれた」という本番行為を強要する客が自分のところに来て、迷惑を被ったことを金村に抗議するも無視を決め込まれ結局は店を辞める。のちに山田さんと同じレンタルビデオ店で偶然バイトをすることになるが、漫画家願望を語る山田さんに困惑していた。
- 2020年代には黒髪ショートヘア姿の落ち着いた雰囲気の大人の女性になっており、バンギャとしての日々はすっかり忘れて一社会人として自立している様子が伺える。
パン屋の従業員
- 店長
- みいちゃんが山田さんの手によって金村の風俗店を強制的に無断退店させられた後、山田さんから「普通のアルバイトを探そう」と後押しを受けて面接に行ったパン屋の店長で温厚な性格の初老男性。みいちゃんが特性持ちだとは気付かないまま山田さんの面接対策によって擬態できていた彼女を採用し、洗い場の裏方スタッフとして雇う。しかしみいちゃんが可愛い制服が着たいとしつこくダダをこねたこともあり、試験的にレジ担当にしてしまう。その結果、偶然来店したツバサ親子との会話でみいちゃんが元デリヘル嬢だったことが発覚。ツバサ親子を含むデリヘル時代の客が今後もみいちゃん目当てで来店するのではと危惧した矢先、みいちゃんの釣銭横領が発覚し、店に他の被害が出る前にみいちゃんをクビにする。識字すらままならないみいちゃんを採用した懐の深さを持つ他、みいちゃんに善悪というものについてハッキリと教える、作中の数少ないまともな登場人物であった。
- 女性店員
- 名前不明。レジ担当の若い女性店員。大きめのバストにタレ目で目元の泣きボクロが特徴の美人。優しい性格で、みいちゃんに丁寧に優しく接した。自身が着用する可愛らしいデザインの制服に目をつけたみいちゃんが「あれが着たい」と店長にダダをこねる羽目になった。みいちゃんがパン屋に入ってからは何かと気の毒な目に合い、彼女絡みの一件でツバサに惚れられた描写があったが、その後どうなったかは不明。
みいちゃんと山田さんの家族
- 中村芽衣子(なかむら めいこ)
- みいちゃんの母親。
- ちょんまげのように結んだ前髪が特徴で常にオーバーオールを着用しており、成人女性にしては幼い印象を受ける容姿をしている。文字があまり読めず、計算能力も1桁の計算はできる程度で、みいちゃんに「漢字なんて読めなくて良い」と教えている。そのほか、2歳になっても発語がない娘の発達に違和感を抱く程度の知能は持ち合わせているが、避妊具の存在を知らなかったことなど、知的・発達に障害を抱えている事が仄めかされている。
- 火の扱いに母親のサポートが必要だが、はっと汁などの郷土料理の調理は可能。上京後のみいちゃんとは、物語より何年か前に電話をしたのを最後に連絡を取っていなかった。
- みいちゃんと同様にプライドが高く、さらに穏やかな時とそうでない時の差が激しい程の癇癪持ちで、みいちゃんと異なり粗暴で口汚い。娘の発達が遅いことに苛立ち手をあげて祖母から止められたり、須崎先生との面談でみいちゃんを特別支援学級に入れることを勧められて逆上し、みいちゃんが小学校を卒業するまで須崎先生を「バカ教師」と逆恨みし、罵り続けていた。
- みいちゃんの父親である実の兄を熱愛していたが、彼が行方不明になった時は悲観に暮れ、それ以降みいちゃんに関心を寄せる様子を見せなくなり、ほぼ育児放棄するようになる。みいちゃんが乳幼児の頃は「みいちゃんはママの宝物、大好き」と愛があるような言葉を口にしていたが、1児の母としてはそもそも育児という概念そのものを満足に理解しておらずままごと程度にしか捉えていない節があり、乳幼児期のみいちゃんを出来損ない扱いするかのように「もう一回赤ちゃんほしい」と言い放つなど出産もガチャ程度に認識している。そんな芽衣子をみいちゃんは山田さんとの会話の中で「優しくて大好き」と語っていた一方で、ハッキリと悪く言ってはいないながらも節々に愛してくれなかったことを滲ませている。
- 2012年には自宅を滅茶苦茶にするほど手がつけられなくなり、みいちゃん共々地元の商店全てから出禁を受けていることから精神状態がさらに異常になっていることが窺え、みいちゃんから芋煮会に誘われても同行を拒否しており、祖母に買い出しに連れ出される以外は人目を避けた引きこもり生活を送っていることが示唆される。過去編と比べると髪は伸ばしっぱなしでろくに手入れしておらず、加齢によりほうれい線やシワが目立つ顔立ちとなっている。また、みいちゃんが宝物として東京から持ち帰った衣類や山田さん手製のアクセサリーを身勝手に独占して年甲斐もなく着飾り、みいちゃんの私物は親である自分のものだと所有欲を剥き出しにした。みいちゃんの事は祖母同様にヘルパー程度としか考えておらず、自分が思うように家事をしないみいちゃんに激しく暴力を振るい乱闘に発展するなど、もはや母親としての人格や娘への愛情は皆無に等しいものとなっており、今までろくに母親らしい事をせずみいちゃんに無関心だったにも関わらず、「親である自分に従え」とみいちゃんに都合良く親子の主従関係を強要している。帰郷後に家事を行うみいちゃんに感謝することはまるでない一方、ペットでも扱うかのような軽薄な喜びをみいちゃんに向けていた。最終的に娘が自身と祖母を見限って家出した際は、みいちゃん一人では生きていける訳がないと嘲った。
- なお過去編でみいちゃんの祖母を「おばあちゃん」と呼んでいたのに対して帰郷編では彼女を「ママ」と呼んでおり、さらに年甲斐もなく着飾る様子から幼児退行している可能性があり、実際の描写から人格が崩壊しているのは確かである。祖母も言われるがままにそんな芽衣子を甘やかしている様子。
- 36話後編で死を待つばかりのみいちゃんを発見し、再会できた喜びから一瞬正気に戻ってみいちゃんをおぶさってみいちゃんが生まれた日のことを語り、さらにみいちゃんが作品初期の頃に「実とか食べる動物って可愛いから」と語っていたみいちゃんの名前の由来の設定を上書きするように、助産師が持ってきてくれた柚子にちなんで祖母と一緒に相談して名付けたと明かし(過去編で祖母がみいちゃんの出生に愕然としていたことと明確に食い違う)、この瞬間だけは「みいちゃんはママの宝物」と愛情を見せた。この時みいちゃんは最期の刻にようやく得た幸福で満足の表情を浮かべ、程無くしてして息絶えた。ところがみいちゃんが死亡したと判断するや否や、普段の行状から自分が殺人の罪を被るのではないかと怯え、山中に死体遺棄を行ってから帰宅後にみいちゃんの祖母に「東京に戻っちゃったみたい」と虚偽の報告をした。そもそもみいちゃんを発見した際に見るからに瀕死であったにもかかわらずみいちゃんを助けるための救急通報をしておらず、自己流で家に連れ帰ろうとしていた。
- しかし死体遺棄を実行したことが致命的になったのか、2013年3月末に死体遺棄容疑に加え、集団リンチ事件の罪をも被るような形で殺人容疑で逮捕された。裁判では過去の虐待に対して反省の欠片もない態度を取った一方で、罪状に関しては弁明する知能がないため全面的に受け入れた。
- みいちゃんの父親
- 名前不明。芽衣子の実兄。癖のない髪や雰囲気がみいちゃんとよく似ている。妹同様文字があまり読めず、運転免許を持っていない。整った顔立ちではあるが、目の焦点が定まっていない。成人男性にしては表情や仕草が幼く、妹と娘同様にチグハグな印象の独特な服を着ている。
- 倫理的な観点への理解が乏しいため、実妹である芽衣子を妊娠させ、みいちゃんを産ませた事の重大さを理解していない。
- 普段は別々に暮らしており、3か月に1度中村家に帰る生活を送っていた。みいちゃんが5歳くらいのころ、「北海道に仕事に行く」と称して強面の男性と宮城を出て行って以降帰宅しておらず、行方も生死も不明。
- みいちゃんの祖母
- 名前不明。芽衣子とその兄の母。髪は白髪で娘と似た癖毛のショートヘア。孫であるみいちゃんにはその出生の事情からおぞましい子と非常に嫌悪感を抱いており、関わりたくないと感じている。芽衣子同様にみいちゃんには基本的に無関心で適切な育児を全く施していない。みいちゃんが成人年齢まで成長すると彼女に宮城を出て上京するように勧め、まとまった資金を渡して住まいを手配し、いわゆる厄介払いで地元から追い出した。孫が上京して以降は何年も連絡を取っていなかった模様。
- 夫と離婚して以来女手一つで「大変な子」であった2人の子供を成人まで育て上げた苦労人。一方で、孫や娘同様にプライドが高く、世間体や旧態依然の価値観に固執して娘や孫を知的障害者の範疇だと認めることができず、須崎先生からの提案も拒否しため、結果的にみいちゃんや芽衣子の素行が地域中に広まり、疎外されるきっかけを作った張本人と言っても過言ではない。
- 2012年10月、山田さんに促されて帰郷したみいちゃんを仙台駅まで迎えに行き、数年ぶりに再会。彼女を実家に迎え入れるが、その際自宅はみいちゃんが上京している間に芽衣子によってゴミ屋敷と化し酷い有様となったことを明かす。それによって、かつては忌み子と嫌悪していたみいちゃんに頼らざるを得ないほど精神的に追い詰められ、自身は体の弱さと老いを理由に家事や掃除、芽衣子の世話を全てみいちゃんに押し付け、現実から逃げるように昼夜問わず飲酒している様子が見られる。
- みいちゃんの帰郷時は「帰ってきてくれて嬉しい」と話していたが、それはただ単純にヘルパーとして歓迎しただけに過ぎず、押し付けた家事が達成できていないとみいちゃんを咎め、「自分が掘った芋が使われるから来てほしい」とみいちゃんから芋煮会に誘われても褒めて労うどころか頭から参加を拒否する等、孫に対する無慈悲かつ無関心な態度は依然として変わっていない。
- 一方で過去編から関係が変わったのか、我儘で横暴で幼児退行したような様子の芽衣子に対しては言われるがままに衣類のコーディネートを行うなど半ば下僕扱いされているような描写があるが、みいちゃんと芽衣子の乱闘を見て警察に通報するどころか放置して飲酒に逃げるなど、甘やかしている芽衣子に情があるとは到底言えず、本質的な事なかれ主義であると言える。
- さらにみいちゃんの私財である通帳と財布を「無駄遣いするから」と無断で預かったため家出したみいちゃんは無一文な状態となり、橋の下のホームレスに身を落とす事態となった。
- みいちゃんが集団リンチで死亡した際には、朝出掛けたはずの娘が夜中に泥だらけの手で帰って来てみいちゃんのカバンを持ち帰ったことからただならぬことが起こったと察し、娘を問い詰めることもみいちゃんの死を悲しむこともせず、連絡途絶の隠蔽などの自己保身や世間体の関係からか一応山田さんに連絡を取った。山田さんが自宅に訪れると居間には通したが、山田さんが手作りの捜索チラシを配布することは「大事にしたくない」と断固拒否した。
- 山田さんの母親
- 名前不明。顔立ちは山田さんに似た美人。過激な教育ママで、娘の人生に何でも過干渉するいわゆる毒親。幼少期から娘に教育虐待を施し、欲しがるおもちゃや漫画は一切買い与えず、付き合う友達も読む本も指定していた。娘の1日を5分刻みのスケジュールで管理し、Excelでテストの点数を記録しフィードバックさせたりと徹底した勉強漬けを強要しており、小学校受験と中学受験もさせている。勉強漬けの他にも幼い頃の娘から絵をプレゼントされた際に叱りつけて捨てるといった数々の心無い言動と非常識な行動で長年娘を傷つけ続けている。娘の得意不得意・向き不向きは全て理解していると豪語しており、山田さんが漫画家になりたいと勇気を出して打ち明けた際も真っ向から反対したものの、娘が実家に戻った時は漫画家としての才能の無さを自覚させるためか、出版社へ持ち込むまでは敢えて執筆活動を止めなかった。
- 小学校から高校、予備校に至るまで関係者に対して娘の様子についての情報収集に一方的に巻き込む、娘が1人暮らしをするマンションの玄関の前で8時間に渡る待ち伏せを行った挙句深酒で体調を崩していた娘に対して強引に手料理を振る舞う、学生課や娘のマンションの隣人に所轄外のことにもかかわらず脈絡もなく娘の近況について捲し立てるように質問して聞き込もうとするなど、大学生活やキャバクラのアルバイト程度はそつなくこなせる娘からは明確に社会性に問題がある母親と看做されている。山田さんが実家から離れた後も毎日の連絡を強要し、一人暮らし先や大学に押しかける等の過干渉をし続けていたが、過干渉相手の娘が傍にいないストレスからか情緒不安定になり、娘が反抗的な態度を取っただけで死にたいと呟いていた。
- しかしみいちゃんとの同居を解消した山田さんが実家に戻ると上機嫌に出迎え、嬉々として娘の就職活動の監視・管理に着手した(34話で山田さんが漫画の執筆活動を始めていることから結局背信されることが示唆される)。この時には既に白髪だらけで体も痩せ細り、元々鋭かった目付きもさらに悪くなるなど、魔女のような凶相となっている。山田さんの自室に監視カメラを設置し、行動を逐一監視している模様。しかし娘がみいちゃんから預かり連れ帰ったハムカツの存在や飼育に対しては何故か言及していない。
- 上述の厳しすぎる教育方針は、自身が父親に反対されて大学に進学させてもらえなかった過去によるもので、娘を身籠った際に「子供には最高の学歴と人生を与えてあげたい」と独善的な決意をした模様で、山田さんが乳幼児の頃のアルバムの日記にも「自分が親からもらえなかったものを全てあげたい」と書き記している。そのため、山田さんからは無償の愛を与えてくれた母親とは認識されていない。しかし、子供時代の娘がやりたいと言った習い事は素直に通わせたり、娘に美味しいと絶賛された手料理のオムライスを今でも事あるごとに作って食べさせたりと、毒親なりに少なからず娘への愛情はある様子。もっとも、山田さんは習い事は強制されたものだったと主張しており、娘と母親の間で過去の事実がどうだったかについて見解が異なってしまっている。
- こうした独善的な振る舞いが多い一方で人を見る目は確かに持っており、山田さんのマンションに押しかけた際に初対面したみいちゃんの異常性を一瞬で見抜き、モラルも品性もない振る舞いをするみいちゃんに怒りを露わにして激しく嫌悪し、娘の友達として認めなかった。その際山田さんに「いずれあなたに害をなす存在になる」と忠告し、その忠告通り山田さんとみいちゃんの共同生活は破綻を迎えた。
榎本家
- 榎本睦(えもと むつみ)
- 一人称・愛称は「ムウちゃん」。みいちゃんとは保育園からの幼馴染で一緒に上京した同郷出身の友人。21歳。幼少期から通して結っているお団子ヘアとツリ目、八重歯や少しエラの張った骨格が特徴で実年齢に対して小中学生を彷彿させる外見の持ち主。宮城に帰郷してからは外見がやや肥満傾向に描かれている。
- 一見素直で明るい性格の持ち主だが、山田さんが初対面で違和感を覚えるまでに服装や言動に一貫性がなく、実際に会話のキャッチボールや自己紹介ができない、椅子に座った姿勢が保てない、視線の動き方や表情が不自然、自分のフルネームを漢字どころか平仮名ですらまともに書けないなどの特性を持つ。前述の通り実年齢より幼い雰囲気だが、みいちゃんより頭一つ分程長身。
- 上京時代にパン工場での勤務からみいちゃんの薦めを受けてNG無しの風俗店勤務の風俗嬢へ転職した。またプライベートでもみいちゃんからの誘いを真に受けて窃盗を繰り返して警察によって逮捕される。更に執行猶予中も同様の犯罪を繰り返し二年間の実刑判決を受けてしまった。刑務所入所時の面談がきっかけで知的障害の診断が付き[15]、出所後は東京都の療育手帳を取得し福祉の手に繋がって通い始めたB型作業所でホチキス針の箱詰作業をしていた。その業務内容が自分に合っていたようで、職員から褒められる暮らしに喜びを感じていた。
- 風俗の仕事に関しては刑期満了後に施設の人と「もう二度と従事しない」旨を約束しており、出所後に再会したみいちゃんから立ちんぼに誘われた際ももうしたくないと明確に拒否した上で「みいちゃんもなんか障害がありそう」と一緒に福祉センターに通うことを勧めるが、特性ゆえのストレートな言葉と他者目線の欠落がみいちゃんのプライドに障り拒絶されてしまいその場では喧嘩別れとなってしまったが、程なく和解した。
- 2012年秋口に宮城の実家に帰郷して以降は農福連携で障害者雇用を行っている農家でアルバイトをしており、2012年の11月に同じく帰郷してきたみいちゃんを職場に連れていった際に同じような友達を連れてきて仕事先として紹介していることが仄めかされている。
- 周囲と明るくコミュニケーションを取り、言われたことは素直に飲み込んでこなし、地道な仕事もやりがいをもって嬉々と取り組むためか職場にとって「ちょうどいい障がい者」として地元では馴染んで生活しており、農家がスーパーのPOPに利用しているPRポスターに本人の顔写真が起用されている。
- その一方で自分に害をなす者や自己が他人や第三者に対して迷惑をかけてしまう振る舞いに対しては鈍感かつ無思慮であり、出所してからも自分に犯罪教唆を仕掛けてきたみいちゃんと宮城に帰郷して以後も連絡を取りあったり、立ちんぼと比較して前科の直接の原因となった窃盗についての反省が薄くみいちゃんと山田さんの三人で食事をした際にも無銭飲食を犯して店から一人で帰宅するなど再犯リスクへの危うさが見え隠れしている。更にはみいちゃんに窃盗を教えられた際に「東京ではやって良い事」と解釈していたため、買い物や窃盗の概念そのものといった社会のルール全般が十分に理解できていない程の障害の重さから一人暮らしの破綻は必然的だったと考えられる。
- それらに加えて成人でありながら自分のフルネームを問われても即答出来なかったり、これを漢字で書けない上に衆人環視のある場面で恥じらいもなく下着姿になったり服を脱ぎ散らかす、自力で包丁を扱えない点や母親から外出時に手繋ぎ介助を要求されている点や、作中の登場人物で唯一のガラケーユーザーであるといった障害の特性を踏まえると、これらのスキルを満たしているみいちゃんと比較して学力、生活力、母親との関係、犯罪への関わりなどの観点を総合的に踏まえると要支援の度合いや障害の程度や認知能力の描写はみいちゃんよりも相対的に重く、作中の知的障害及びそれ以外の特性持ちであると思しき登場人物の中でも、特に一貫性が高い。みいちゃんとの関係は本人の中では幼少期から続く「一緒にいて、連絡を取り合って楽しい友達」以上でも以下でもない。その上で作中に登場する度に毎回「みいちゃんと一緒に○○したい」という旨のセリフを述べており、みいちゃんに対してはやや依存傾向がある。また、みいちゃんへの親切はあくまでもみいちゃんより重い障害を持つ自分にできる範囲内に過ぎず、みいちゃんの人間性や深刻な境遇・状態や危険性を理解した上で寄り添えている訳ではない。
- ムウちゃんの母親
- 名前不明。ロングヘアで娘と同様に八重歯がある。
- 中村母娘とはムウちゃんが保育園児の頃からの付き合いで彼女らと唯一交友関係を持つ存在であり、娘と仲良くしてくれているみいちゃんにも好意的だった。育児にはきちんと手をかけており、娘の髪をいつもきれいに結い上げて、帰りが遅くなれば迎えに来るなど、愛情をもって娘に接する。
- しかし住んでる地域や時代背景などの観点もあってか、知的障害児の療育全般に関しては知識が欠けており、ムウちゃん自体小学1年生の頃から0点常連であったにもかかわらず、小学校の担任から特別支援学級へ入ることを勧められた際にも本来は幼少期にしか効果のない「言葉のシャワー」理論を誤信して「周囲からの刺激があった方がプラスになる」と考えて、娘に診断や療育を受けさせないまま中学も普通学級のままで進学させてしまう。また娘に愛情を注ぐ一方で成人を過ぎても包丁を使わせない、廊下や他人の家で下着姿になったり人前で下着姿になったり服を脱ぎ散らかしたりする粗相を黙認する、母娘で外出する時は一緒に手を繋いで歩くといった年齢不相応の行き過ぎた過保護で愛娘の自立を妨げてしまっている。
- 特に人を見る目と育児全般のリスクコントロールは非常に甘く、地元では他害性の強い不登校児として有名だったみいちゃんを信用して長年に渡って交流を続けさせたり、買い物のルールに対する理解があやふやなレベルで生活能力に難のある一人娘の上京を許してしまったり、自分の娘が前科持ちになった経緯を知りながらその原因となる犯罪教唆を仕掛けてきたみいちゃんとの連絡を取り続けるムウちゃんの行動を黙認したままの様子から過剰に自分の娘を甘やかし過ぎている部分も見受けられる。これらは娘に独善的な毒親である一方で人を見る目が確かである山田さんの母親とは対照的となっている。
- 2012年の9月以降、親元に帰郷した娘と同居しているが、ムウちゃんが東京で風俗嬢をしていた理由と前科を持つに至った経緯をみいちゃんからの犯罪教唆によるものであると熟知しており、娘に窃盗と売春を教えた彼女を激しく憎悪している。
- かつて中村母子に友好的だった頃とは逆にその態度も外見も激しく兇変を遂げ、帰郷したみいちゃんが芋煮会で娘に声を掛けてきた際には鬼の形相で睨みつけて牽制した。また予てよりのみいちゃんに対する憎悪から、彼女が河川敷で高橋達から違法薬物投与も含めた集団リンチを受けていた光景を目撃した際にも警察に通報することなく冷徹にそれを見殺しにしていた。
- みいちゃん死亡後の山田さんの個人での捜索では、みいちゃんの目撃情報を山田さんに聞かれて知らない・見ていないと虚偽の回答をして集団リンチ死事件の全容隠蔽に加担する形を取り、その際みいちゃんが消えた事を喜んでいるかのようににこやかな表情を浮かべていた。だが事件に関与していない目撃者である彼女の個人的怨恨による黙殺が周辺地域における薬物汚染拡大の片棒を担ぎ、更には本来であれば死体遺棄のみの罪状を被る筈の芽衣子が殺人罪の罪までも被せられる冤罪の状況を招いた。リンチ死事件の目撃者でありながら目撃していないことを装って黙殺を貫いた対応は現実の日本の法律上保護責任者遺棄致死罪に問われる案件であり、既に娘以外に関心の無い人格に変貌しつつあったのが示唆される。
その他
- 鈴木茂雄(すずき しげお)
- スチールウールのような縮れた髪に小太りで眼鏡と、ステレオタイプ的な「キモオタ」といった容姿の男性。素人童貞で思い込みが激しく女性を見下しており、キャバクラやガールズバー、デリヘルといった夜職従事者としての女性と1人の人間としての女性の区別が付いていない傾向にある。
- 「世界中の女がみいちゃんのようになればいい」という彼の発言は女性の思考力やパーソナリティを邪魔だと考えている節のある彼の独善の表れであり、みいちゃんを1人の人間として認めているわけではない。またモノローグや実際の発言などから、みいちゃんのことは流石に「バカ」と認識した上で関わりを持っている。故に、学歴コンプレックスを刺激するココロちゃんや、己の薄っぺらさを見透かす山田さん、あるいは自分と同レベルの性格のねじれを持つモモさんを「気に入らない」と切り捨て、記号として自分の思い通りにならない女性には露骨に不機嫌になる。
- Ephemereではみいちゃんから枕営業の提供を受けた他、盗聴器付きぬいぐるみをプレゼントしたり、みいちゃんがデリヘル堕ちしたのを知って包丁での自殺未遂騒動を起こしたり、問題ばかり起こしていた。
- 風俗店に移籍したみいちゃんが忘れられず、金村のデリヘルで客としてみいちゃんを指名して再会した際にプロポーズした(この時、みいちゃんが本命彼氏であったマオと別れたことを知っている描写はない)が、失言からみいちゃんを怒り狂わせてしまう。その異様さから、それまでの彼女の可愛らしく従順なイメージが崩壊し、みいちゃんから離れる。この一件により、気付きを得てこれまでの女性への態度や考え方を改めるに至った。
- 実家暮らしのいわゆる子供部屋おじさんではあるが、定職に就き500万円程の貯蓄があり足の悪い母親を首尾一貫大切にする、堅実に生きている社会人男性でもある。
- マガポケメンズ総選挙2026では2位にランクインしている[17]。
- タカシ
- 山田さんの指名客。既婚者。職業は公認会計士で独立事務所を構えている。少年期は親から勉強を強要されて育ってきたため山田さんの生い立ちに共感し、彼女の漫画家への夢を後押しする。
- マオ
- みいちゃんの現在の彼氏。みいちゃんからは「マオくん」と呼ばれている。作者のXのネタ漫画で自称IQ130のギフテッドとされているが、作中マオくんのセリフでIQは出てこない。作中のIQについてはみいちゃんのセリフからIQ130(単行本とボイスコミックではIQ140)と出ており、物語の進行に連れIQ180と言うようになる。しかし山田さんに知識を捲し立てられた際は「俺の前で難しい話をするな」と逆ギレしたり、デリヘルの給与支払明細書の合計が合っていない事に気付かない等、IQが高いと思わせる描写はない。元々小太りな体型だが、物語の進行に連れて更に太り、小汚い容姿になっている。みいちゃんを暴力で支配し、脱税までさせて金銭を搾取する代償に履歴書を代筆したり、ペットであるハムスター(ハムカツ)の世話や家事を代行していた。裏社会との繋がりが示唆され、みいちゃんをラオスに売ろうとしたが、当日の朝にみいちゃんが寝坊して空港に来なかったために自身が代わりに連れて行かれ、以降は登場しなくなる。
- みいちゃんからは本質はどうあれ本命彼氏として特別視されていたようで、実際キャバクラ編でもみいちゃんは山田さんに「(マオ君以外の相手は)お金を貰ってエッチする相手」と割り切っている旨を語っている。また悪逆非道な行いはともかくとして、一度下に見た相手や優しそうな相手には横柄になるみいちゃんに対して実力行使で上下関係を叩き込むなど、共同生活のパートナーとしての制御の腕前は確かであった。
- 最終的には目先の利益に目が眩んで破滅したが、みいちゃんと関わっていく内に苛立ちの余り自分が暴力的になっていった旨をモノローグしており、このままではいけないと頭では理解していた。
- ツバサ
- 新大久保のデリヘルに移った後のみいちゃんの客。金村からは初回で長時間コース、場所は自宅という点から厄介な客と判断されている。
- 明らかに知能に問題があるようで、終始非人間的な描写が目立つ。一応言語能力自体は存在しており、識字能力はカタカナ+α程度あると示唆されるが、知的レベルは総合的に見ればムウちゃんにも劣る。清潔保持や意思疎通もままならず、電話もできない自分の代わりに母親がデリヘルの注文を行った。鉄道模型に強い拘りのある自閉傾向があり、鉄道模型に勝手に触ったみいちゃんを殴った。しかも性行為のマナーの欠片もなく、みいちゃんを殴り付けた時に覗いた下着を目にするなり欲情し、押し倒すように一方的に本番を行った。さらに行為の後に母から振舞われた食事でも、フォークも碌に使えないなど満足な食事のマナーすら身に付いていない様子を見せており、みいちゃんはそれまでの客とは異質な存在である彼に虚無の表情を浮かべていた。
- みいちゃんのバイト先であるパン屋に偶然母親と入店した際、店内で陳列されたパンを買い物の概念を理解していないかの如く未会計のまま食べ始めて騒動を起こす。その際パン屋の店員の子を気に入る様子を見せたがその後は不明。
- ツバサの母
- スピリチュアルに傾倒する老齢の女性。ツバサの童貞卒業という悲願のために年金から貯めたお金を使ってみいちゃんを呼び、受け入れられたので彼女をツバサの性処理係にしようとしたが、マオくんの存在を盾に断られた。
- その後ツバサを連れて散歩している途中でみいちゃんのバイト先であるパン屋に偶然入店し再会。先輩店員と客達にみいちゃんの前職を暴露した他、未会計のパンを食べだす息子を止めず、ツバサがパンで喉を詰まらせると店に逆切れする等非常識な行動を取り、みいちゃんが釣銭横領以外でパン屋をクビになったもう一つの原因となる。
- ツバサを自己流で養育している上にツバサ以外の事をどうでも良いと思っている排他的な態度で、さらに「息子は障害者だから」と開き直っているのかツバサにまともに買い物の躾もしていないことが窺い知れる。
- 市桃の後輩
- 市桃(桃花)の舞妓時代の後輩。そばかす顔で関西弁を話す。計算がまともにできない上に味覚異常で食事のマナーも悪く、しかも態度が横柄で感謝の気持ちにも欠けており厚かましく、何らかの特性持ちが疑われる。さらに、上下関係に厳しい世界に生きる舞妓であるにもかかわらず先輩の市桃に平気でタメ口を使っていた。
- 市桃は要領が悪く座敷唄もロクに覚えられない後輩の面倒を見ており、二人でファミレスに行った際は割り勘の計算が出来ない後輩に配慮してフライドポテトとドリンクバーを奢ったが、「そんならもっと頼めばよかった」と無神経で厚かましい物言いに「こちらも感謝する必要が無い」と愛想を尽かせたが、なぜそうなるのかを確かめたくなり後輩を抓ってみてそれなりの仮説に至った模様。
- このような出来事から市桃は上京後も後輩を「友達」と語っている一方で、品性と感謝の無い後輩を救い難いように感じている。結局後輩は舞妓見習いのまま1年足らずで辞め、その後は東京でDV癖のある恋人との共依存的な生活を送っているという。
- 桃花のパトロン
- 舞妓だった市桃の頃から桃花を知る人物で、桃花と同伴デートに出掛けて高級和食を奢ったり、資金と物件の援助をするからガールズバーの店長をやらないかと打診したりした。
- 桃花がタワマンに住むなど裕福な生活をできているのは恐らく彼のおかげだが、からかいながらもガールズバー店長の誘いを断った桃花を、真意の掴めない女だと思っている。
- ハムカツ
- Ephemere編で客の手に余ったのをみいちゃんが引き取ったハムスター。
- みいちゃんに育てられるはずがないと明確に反対していた山田さんを押し切って、みいちゃんは大家族のママを夢見て絶対に飼うと押し切って引き取った。
- みいちゃんは最初はハムカツを自身なりに可愛がっていたが、シェアルーム編では徐々に雑な自己流の飼育が浮き彫りになり、その結果ハムカツの足に怪我をさせている。
- その後、みいちゃんは動物病院での診察費を払うように山田さんに言われて以降、ハムカツへの興味や愛着を急激に失っていった事が窺える。事実、帰郷の際にハムカツの話題はみいちゃんが自ら触れることは無かった。その後はみいちゃんが迎えにくるまでの繋ぎとして山田さんに預けられ、山田さんの実家で世話をされている。
- マオによく世話されていたせいか、マオに人質に取られ掴まれた際も嫌がらずどこか安心した表情を見せており、逆にみいちゃんに掴まれた時は険しい表情を浮かべていた。
- ニナの職場の上司
- ニナがEphemereを無断退店した後、紆余曲折を経て何とか就職した昼職の上司にあたる年配女性。ニナの特性にある程度の理解があり、デスクの上が散らかり放題のニナを注意しつつも暖かく見守る。ニナと昼食を取っている際、自身が夜職にいた頃の同僚の死(みいちゃん)の話題を口にしたニナに「キャバクラ嬢だったなんて人前で言わないほうが良い」「水商売で働く人間の命なんて軽く扱われてしまうもの」と語っている。
帰郷編
- 高橋(たかはし)
- みいちゃんが中学1年生の時にコンドームを万引きして校内で悪評が立てられた際、悪意ある生徒からメールでけしかけられて当時何も知らなかったみいちゃんを強姦した不良で、みいちゃんに歪んだ貞操観念を植え付けた張本人。
- 2012年時点では中卒ながら既に妻子持ちでマイカーや家も所有している様子がある。中学時代の不良仲間やみいちゃんの小学校時代の同級生女子と成人してもつるんでいる。後輩からみいちゃんの帰郷を知らされて沸き立ち、太った不良青年より「みいちゃんを拉致して麻薬を投与させてみよう」と取れる話を持ち掛けられる。
- 成人しているにもかかわらずヤンキー気分が抜けず、握り箸で食事を行うなどマナーが全く身についていない。また、幼児と呼べる年齢と推定される自分の子供2人にエアガンを与えるなど、まともな倫理観を持たない。さらに、地元こそが至高だと考えている節があり地元以外への興味が非常に薄い。一方で、自分の現状に葛藤していたり家族や地元への愛着は持っているようで、太った不良青年の提案には思うところがあるようにどこか否定的な相槌を打つなど、人間味も多少は持ち合わせており、少なくとも自らの家庭を崩壊させるようなあからさまな犯罪に手を染めることに対する自制心は付いている模様。また、みいちゃんへの扱いは至って身勝手であったが、みいちゃんを地元で不満や疑問を時折感じながら生きている自分を満たしてくれる存在と認識していたようで、みいちゃんが上京したことには自分なりに惜しむ気持ちがあった模様。地元以外への興味が薄すぎるが故に、障害者雇用を行う農家の芋煮会に子供を連れて参加する程度には地元との関係はまともと示唆される。みいちゃんが自分の子供たちを叩きのめした現場を目撃した際には、予てよりの太った不良青年の計画を知っていることや薬物で酩酊して正気を失ったみいちゃんの様子を見たことによって何が起こったのか頭の中で線で繋がったようで、唖然としていた。2人の子供が歯を何本も折られたのを一同が知った際にも「乳歯だから」とどこかみいちゃんを擁護するような論調で積年の恨みのある一同に呆れられていたが、それでも同調圧力に屈したのか36話前編でのみいちゃんへのリンチには渋々加わった模様。リンチの末にみいちゃんが岩に頭を打って打ち所が悪そうな様子であった際にも命の心配はしていたが、太った不良青年がみいちゃんに覚醒剤を投与してみいちゃんの意識が戻ると、どうやら自分には責任がなさそうだと勘違いしたのか安堵して彼と共にその場を去っていた。
- みいちゃんの死亡後に山田さんが個人での捜索を行っていた際には、平然と目撃していないと嘘の証言をした太った不良青年の傍らでどこか現実逃避するように山田さんや太った不良青年から目を背け、沈黙を貫いた。
- なお、帰郷編以前のWEB連載版にて山田さんと真璃亜がアルバイトをしているレンタルビデオ店に「高橋」という名前の先輩店員がいたが同一人物ではなく、後にこの人物は第6巻の単行本にて「田中」と修正された。
- 綺羅々(きらら)
- 高橋の妻で、亞夢露と美瑠玖の母親。ウェーブがかったプリン毛のロングヘアにバチバチにアイメイクした鋭い目つきが特徴。高橋からは「美人な嫁」とモノローグされているが、夫と同じくヤンキー(ヤンママ)と推測され、口調は荒い。
- 帰宅しない子供たちを心配して夫や不良仲間と共に河川敷まで捜しに来たところ、子供たちがみいちゃんに叩きのめされて倒れている現場を目撃して憤怒し、集団リンチに参加する。その際、みいちゃんの幻影の中で彼女らしき人物がみいちゃんの私物のペンチで歯を抜いている。
- それなりの経済力を持つ夫がおり育児に時間をかける余裕があるはずの割には、子供はそれに全く見合わないほど躾が欠如している。また、曲りなりに家庭や家族の人生のことを考えている夫と比べれば、ひとたび激昂すると集団リンチや凶器の使用に全く躊躇いの無い、まるで後先考えない直情的かつ凶悪な性格をしている。
- みいちゃんの死亡後、36話後編で山田さんの個人での捜索の際に恐らくみいちゃんを目撃していないと嘘の証言をした様子だが、どこかヘラヘラとした態度とみいちゃんを嘲笑するような目つきで芽衣子の幼少のみいちゃんへのDV癖を証言しており、当時のみいちゃんの怪我の様子を知っていたようであったことから、昔からみいちゃんを知っていた様子。
- 亞夢露(あむろ)・美璃玖(みるく)
- 高橋の息子と娘で、目つきの悪いそばかす顔が父親によく似ている。2人とも身長や体格、顔立ちがほぼ同一であり、双子または年子の未就学児と推測され、作中の描写から永久歯の生える前の年齢であることは確かだが、具体的な年齢は不明。両親の事をそれぞれ「パパ」、「かーちゃん」と呼んでいる。
- 父親が話題に出したみいちゃんに興味を示し、芋煮会会場でみいちゃんを見つけた父親にけしかけられて彼女に突撃し、彼女を「珍獣」と呼ばわりながらエアガンで滅多撃ちにした。農家のおじさんが良心から止めに入るまでの間、芋煮会参加者一同はみいちゃんの撃たれる姿を嘲笑するばかりで誰も助けず、高橋一家を咎める者すらいなかった。人に至近距離でエアガンを発砲するという危険行為を遊び感覚で行う様子から、まともに躾を受けていないと見られる。
- その後もみいちゃんをバカにして彼女に執着しており、ホームレスに身を落としたみいちゃんを見つけ出して太った不良青年に居場所を報告し、薬物で酩酊したみいちゃんをエアガンで更に追い詰めようとするが、薬物の影響で山田さんとハムカツの幻影に鼓舞されたみいちゃんから返り討ちに遭って、歯を何本も叩き折られた。
- 駆けつけた両親含む大人たちがみいちゃんを集団リンチした後は、特に手当てを受ける事もなくそのまま綺羅々と家路についている。
- みいちゃんを獲物扱いしてしつこくエアガンでつけ狙ったのが事の発端であり、後にみいちゃんが暴行死させられる主因となったのは明らかである。
- 太った不良青年
- 名前不明。高橋らと組んでみいちゃんを輪姦した一人で不良仲間。常にテンションが高く思考が反社会的であり、高橋のようなリーダーシップを持たず、佐々木のような自己改革の意識も窺えない。それ故か、成人後には中学時代より流石にある程度社会性を身に着けた描写のある他の不良仲間2人と比べると、不良中学生がそのまま大人になったような人間性をしている。
- 将来の不安から逃れるために先輩から麻薬の提供を受けているような描写がある。仲間の高橋も麻薬を使用していると示唆されるが、みいちゃんを麻薬のモルモットにして面白がるつもりで、高橋に上記の提案をしている。
- 亞夢露と美瑠玖から情報を聞きつけてホームレスとなったみいちゃんを発見して声を掛け、彼女が自分を覚えていない事に立腹して暴行を加えると同時に空腹を訴えるみいちゃんに「空腹を感じなくなるお菓子」と称して東京の先輩から支援を受けて手配された麻薬を提供した。数時間後に様子を見に現場に戻った際には麻薬で酩酊して高橋の子供2人を叩きのめしたみいちゃんを他人事のように冷たい目で見ていた。
- 36話前編では亞夢露と美瑠玖が重傷を負って怒りを覚えた住民一同と共に集団リンチに加わるが、リンチの最中に転んで石に頭を打ったみいちゃんを見て「勝手に転んで勝手に頭打っただけ」平然と言い放ち、「名前の通り覚醒するかも」と気付けのつもりか遊び半分で覚醒剤を投与しては息を吹き返したと判断して高橋と共に安堵し、「ラーメン食って帰ろう」と悠々とその場を去るなど、リンチ開始前を含めて猟奇犯罪的な傾向を数々見せている。彼のその凶悪な側面は既に家庭と地元との縁を持った高橋にとって大手を振って賛同し難いようだが、そんな高橋も結局は彼に渋々同調している。
- 作中の描写から、集団リンチの主犯格としてみいちゃんの脳と心臓に致命傷を与えたことは確かである。また、みいちゃんが作中で問題行動や軽犯罪を再三に渡って繰り返したのは事実だが、みいちゃんの顛末は悪因悪果というより彼1人の影響によるところが余りにも大きい。
- 東京から駆け付けた山田さんの聞き取りでも平然且つ高らかなトーンでシラを切っていた。
- 農家のおじさん
- ムウちゃんなどの障害者を雇って農業の仕事をしている中年男性。隣町在住でもみいちゃんの悪評を知っていて、注意するとヒステリーを起こすみいちゃんに呆れる。それでもみいちゃんは相手にしたことのある部類の障害者であるようで、そうしたことから見捨てずに面倒を見ている。
- 職場で求められるのは大人しい障害者だと障害者雇用の現実を語り、みいちゃんのようなケースよりも、仕事はしないが大人しくて問題を起こさない障害者の方がまだマシだと考えている節がある。
- みいちゃんの死亡後の山田さんによる個人での捜索の際には、本当に関知していなかったのか厄介事に関わりたくなかったのかは不明ながら「ずっと無断欠勤だよ(そもそも正式にみいちゃんを採用したかどうかすら明示されていない)」と回答している。
過去編
- 剛田(ごうだ)
- みいちゃんが小学1年生の時の担任。大柄で常にジャージを着ている男性教師。児童をいじって笑いを取ることが得意で、みいちゃんを貶めることでクラスの和を保とうとする。みいちゃん以外の児童には概ね好かれていた。プライドが高いみいちゃんとは相性が悪く、みいちゃんを他の児童と比較していじっていた割にみいちゃんの特性には目を向けず、生育・家庭環境を気に掛けることもなかった。みいちゃんが3年生まで授業を受けずに登校して給食だけ食べて下校する生活を送る元凶となる。
- 須崎奈々(すざき なな)
- みいちゃんが小学3年生の時の担任。若い女性教師でみいちゃんを肯定的な目で見て優しく接する。みいちゃんの要支援である特性に気付く。当時としては珍しく発達障害や知的障害の特性と最先端の教育に理解のある人物で作中で唯一みいちゃんの味方である大人であった。そしてみいちゃんの人生で唯一、彼女を記号・道具扱いせず彼女の人間的側面を認めて本気で気に掛けていた人物であった。
- しかし、彼女自身が新卒で若い女性という事と、地方の県と時代背景の事もあり、未熟な部分もある。保護者の芽衣子と面談した際、みいちゃんを特殊学級(現:特別支援学級)に入れることを勧めて逆上され、反感を買い、この時に芽衣子の怒り狂う姿を見て、芽衣子も何らかの障害持ちだと瞬時に察している。その後、中村家を訪問し、みいちゃんの祖母にも提案を話すが、若い女性が軽んじられている年代でもあり、世間体を気にする祖母からも拒否されてしまう。登校しなくなった後もみいちゃんのことを気に掛けていた。
- 単行本3巻での宮口幸治との対談において作者の亜月は「彼女は、保護者への説明にもっと時間をかけなきゃいけなかったですね。急に『お子さんに障害がある』って言われても、信じたくありませんから」と宮口から作中での須崎の判断ミスを指摘されている。
- 1年A組の先生
- みいちゃんの中学1年生の頃の担任の初老の男性教師。名前は不明。
- 地元の悪童であったみいちゃんの担任就任を、親が普通学級を希望したら反対はできないという現実から渋々受け入れる。
- みいちゃんの奇行によって心労で体重が5kg減り、白髪が増えて盲腸を患いやつれていった。また、みいちゃんと芽衣子との三者面談で最大限オブラートに包んだ当たり障りのない言葉を真に受けた2人に内心呆れ果ててモノローグで批判していた。
- みいちゃんの恋心によるある種の自制心に感心していたが、壊滅的な学業成績については問題さえ起こさなければよいと最初から匙を投げていた。
- 佐藤(さとう)
- 中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった男子でみいちゃんの初恋の相手。作中の携帯プロフィールサイトによると血液型はAB型、身長は165cm。
- みいちゃんが授業中に歌ったのを注意されて癇癪を起こし、担任教師に連れてこられた保健室で初めて言葉を交わす。眉目秀麗で所作が上品な文学少年。ピアノが趣味で当時みいちゃんの愛唱歌だった『どんぐりころころ』を学校のピアノで弾いてくれたり、声を掛けられれば受け答えて優しく接する。物静かな女の子が好みらしく、それを知ったみいちゃんの奇行が一時的に薄まる。しかし、高橋らの性的暴行によって歪んだ貞操観念を植え付けられたみいちゃんから性行為の誘いを受けたことで、他の女子とは違って下心がなく無邪気な印象を持っていた彼女に幻滅し、絶縁を言い渡した。
- その後は雪奈とカップルになったようで、彼女と手を繋いで下校する姿を遠目から目撃したみいちゃんは平気を装いながらも涙を流していた。
- 皐月(さつき)
- 中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。前髪をセンター分けにしてサイドをピンで留めたセミロングヘアで眼鏡を掛けている。特性が薄まったみいちゃんに自分から声を掛け、友達になる。優しい女の子で佐藤に恋するみいちゃんを微笑ましく見守り、応援してくれていた。しかし、みいちゃんがドラッグストアでコンドームを万引きしたことによりクラスで悪評が立ったため、周囲の目を恐れてみいちゃんと距離を置くようになる。
- 雪奈(ゆきな)
- 中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子。長めの前髪を下したロングヘアで右口元にホクロがある。みいちゃんと同様、佐藤に想いを寄せており、彼に近付く恋敵のみいちゃんに苛立ち、悪意を抱く。
- スレンダーな体型で顔立ちは可愛らしいが、嫉妬深く非常に自己中心的。また、平成初期生まれの東北の地方部の中学1年生にしては、不自然なまでに評論じみた言い回しの陰口をみいちゃんに叩いている。
- みいちゃんが小学校時代に不登校だった事や近親相姦の子である事を知っており、「うざいしうるさいから中学校も来なくていいのに」と後述のポニーテールの女子に愚痴をこぼしたことがきっかけで、彼女から偏った性知識を吹き込まれたみいちゃんがコンドーム万引き事件を起こし、虐めの対象になり孤立する事態になってしまった。
- その後は念願叶って佐藤と両想いになれたようで、彼と手を繋いで下校する姿がみいちゃんに遠目から目撃されている。
- 描き下ろしにて、みいちゃんに対する攻撃的な言動は本心からではなかったことと、みいちゃんが過剰に攻撃されて孤立したのは想定外で同情したという心境が吐露されている。
- ポニーテールの女子
- 中学1年の頃、みいちゃんと同じクラスだった女子で雪奈の友達。名前不明。いつも髪をポニーテールに結っている。みいちゃんの目線で見えていた彼女は程々可愛らしい顔で描かれていたが、実際は目が小さく、ややぽっちゃりした体型。
- 雪奈の恋を応援しており、雪奈から前述の愚痴を聞いたことで、一人になった時のみいちゃんに近付き「(佐藤と)両想いになれる方法」と称して偏った性知識を吹き込み、結果的にみいちゃんが学校へ来れなくなるように仕向けた。
- しかし描き下ろしにて、雪奈のためを思ってしたことが裏目に出て多少の後悔をした事と、みいちゃんが本当にコンドームを万引きするとは思わなかったという心境が吐露されている。
- 佐々木(ささき)
- 高橋らと組んでみいちゃんを輪姦した一人。高橋によると卒業後は疎遠になったようで、上京して起業家と会食した際の料理の写真や副業関連の詐欺行為をSNSに投稿する所謂「意識高い系の人間」となっており、東日本大震災の時にも帰郷しなかったことがほのめかされている。
- 多数の同級生からは地元を捨てた裏切者と扱われている一方、太った不良青年は彼のSNSで近況について監視しているなど彼に未練があるようで、高橋も彼の虚飾を見抜いていながら本音では地元に帰って来てまた友達に戻ってほしいと願っている。しかし地元を離れたことでみいちゃんのリンチ事件に関与しなかったことは不幸中の幸いだったと言える。
作中の舞台
- Ephemere
- 序盤の舞台となるキャバクラ店。作中では「エフェ」と略称されることが多い。
- ほぼ顔は出さないものの店長とは別のオーナーが存在する模様で、『新宿解消禄テンチョウ みいちゃんと山田さん外伝』にオーナーが登場している。
- キャストの意識はお世辞にも高いとは言えず、客層もみいちゃんの枕営業目当ての厄介客や荒くれ者が集まるなど明確に悪い。さらに関係者のモラルも総じて退廃的で、尚且つ店長は反社会的。このように、格の高い店とは言い難い面が多々見られる。その一方で、みいちゃんを除いてキャスト達がことごとく痩身を維持することをなぜか真面目に行う世界観を形成している。
- 詳しい背景は不明だが、シゲオの自殺未遂の際に咄嗟に機転を利かせて近くにあったハンガーでシゲオの持っていた包丁を叩き落とすなど、比較的暴漢のような厄介客への対処に手慣れているボーイの描写があった。
- 連載当初はそれなりにネームド格が存在していたが、それぞれ諸事情による大量離職が発生し、作中で桃花はシゲオが店内で自殺未遂騒動を起こした後に「人が結構減っちゃったしね」と語っている。単行本5巻終了時点では在籍者はモブを除けば桃花、ミュウのみである。
- 『新宿解消禄テンチョウ みいちゃんと山田さん外伝』ではシフト作りに非協力的なキャスト達のシフトの要求を何とか店長が飲んで台所事情をやりくりしている模様。また、キャスト同士が客のいない間にフロアで公然と罵り合うだけでなく仲裁に入った店長がキャストに罵られるなど、職場の雰囲気は至って険悪。全体的に本編と比べると異常性というより、単純に関係者の社会人としての本分に反する有様に焦点が当たっている。
- みいちゃんの地元
- 宮城県の辺境にある地域で、みいちゃんは単に「宮城」と呼んでいる。
- みいちゃんが地域の全ての店を出入り禁止になる前までは、歩いて買い物に行ける環境であった模様。また、みいちゃんは中学を不登校になってから地域の男と性行為をして回っていたが、それを取り巻く交通事情については不明。隣町や仙台駅への移動には車が必要であることが明示されている。
- みいちゃんに対する地域の扱いは酷薄そのもので、中学を不登校になったみいちゃんが性行為を勧めると多くの者が当たり前のように応じたようで、しかもさらに以前にみいちゃんが小学生の時にゴミを漁っていた際にも、時代背景が違うとはいえ誰一人として児童相談所に相談することはなかった。さらに、帰郷した際にも隣町の芋煮会の際は高橋の子供2人にエアガンで滅多撃ちにされたみいちゃんを一同が嘲笑したように、みいちゃんを同じ一般市民だとは凡そ認めていない。
- みいちゃんへの集団リンチの現場でもあり、みいちゃんの最期も結局はそれまでの東京での話とは殆ど関係なく地元のモラルに殺されたようなものである。挙句集団リンチの加害者や(みいちゃんへの憎悪は個人的なものもあるとはいえ)目撃者であるムウちゃんの母親は目撃していないと、山田さんの個人での捜索の際に嘘の証言をしていた。
- 現実の宮城県の特定の地域をモデルとしているのかは作中・作者サイドから明言されていないが、はっと汁を郷土料理として食す地域として設定されていることは確かである。一方、作者は地域について「フィクション要素が存在する」と断りを入れている。
- 宮城県○○町立第三中学校
- みいちゃんの出身中学にして最終学歴となる学校。
- 教員達はみいちゃんのサポートなど眼中になく、既にみいちゃんは地域の教育現場から匙を投げられていたことが窺える。
- また、1年生のクラスには孤立したみいちゃんの巻き添えにするかの如く、皐月を性欲の捌け口のように認識するかのような卑猥な言葉を掛けるクラスメイトがおり、2年生以上にはみいちゃんを強姦した高橋ら不良3人組がいるなど、性的行状を鑑みればもはや色魔と呼べる退廃的な男子生徒が目立つ。
- 2026年2月3日頃まではみいちゃんの出身学校は「宮城県○○町立第五中学校」という名称とされていた。
- 新大久保のデリヘル
- 作中では単に「デリヘル」。
- NG無しの違法風俗店であり、みいちゃんを酷使し、給料も横領していた。
- お世辞にも格の高い店とは言い難く、過激な性癖を持つ凶悪な客が集まっている。また、みいちゃん以外にも四則計算の出来ない教育レベルの嬢や、薬物漬けの嬢まで在籍しているため、嬢の質も高いとは言い難い。
- Ephemereの店長からEphemereで使えない嬢を人材として提供されており、Ephemereの店長は金村から紹介料や売上のキックバックを得ている。
- 一応みいちゃんの「お金をもっと稼ぐ」という自由意志やNG項目などの希望は汲んでおり、その上で金村は「正真正銘『完全NGナシ』の女の子は初めて!」と僥倖のようにEphemereの真相を知った山田さんに意気揚々と語っている。
- ロリ系のコンセプトであるようで、セーラー服を店の制服としている。そして制服に憧れのあるみいちゃんは、山田さんと別れる際にこの店で働いていた頃の制服を宝物としてイメージの中で挙げている。本作は全体的にセーラー服の価値の高い世界観に基づくストーリーであることは随所で窺い知れる。
- パン屋
- シェアルーム編でみいちゃんが短期間働いていた職場。
- みいちゃんが歩いて通える距離である上に、ツバサ母子の生活圏内でもある模様。
- パン作りの腕はいいようで、山田さんに絶賛されていた。
- 従業員達はきちんと昼職の価値観を持っており、女性店員はみいちゃんのデリヘル勤務歴を平然と語るツバサの母や、それを当然の事だと思っているみいちゃんを異常だと認識している。客一同もそんなみいちゃんやツバサの母の異常性にどよめいているシーンがあった。物語上は「夜職の価値観に染まった者達の異常性」を際立たせる役割を持つ。
- また、異常な発言・行動に及んだツバサ親子を警察に通報せずにあくまでも客扱いして穏便に済ませるなど、良くも悪くも「客絶対主義」が浸透していた2010年代前半の接客業らしい対応を取る。
- 農家
- 障害者を積極的に受け入れている農福連携の農家で、帰郷後のムウちゃんと帰郷編のみいちゃんの職場。
- 本来であれば採用には障害者手帳や保護者への連絡が必要だが、人手不足を鑑みてそれらの要件を満たさないみいちゃんを採用している。
- 懇切丁寧な指導員が存在しており、自閉傾向のある大人しい子を指導員の見守り付きで敢えて自由にさせるなど、本格的な福祉畑の職場である。農家のおじさんもみいちゃんのような癇癪持ちには比較的手慣れている模様。これまでみいちゃんが関わってきた大人とは比べ物にならないほど、障害者の扱いに長けている。
評価・反響
みいちゃんの作中のセリフである「みんなみいちゃんのことバカとか可哀想って見下してるけど、エッチの時だけは対等に接してくれるんだ」というセリフの描かれたシーンは毎日新聞WEB版での太田敦子記者の記事でも引用され、夜職女性の孤独と生き辛さを表現するものとなっている[18]。
佐賀新聞記者の池田知恵は「あまりのショックに、頭を思いきり殴られたような衝撃が残る。フィクションだと分かっていても、ただただ悲しくて涙があふれた」と思いの丈を語っている[19]。
アーティストのロマン優光は、作中での障害者への描写について「障害者福祉に関わっている当事者や関係者が読んで肯定的にとらえられるような作品ではない」と指摘した[7]。インタビューで著者は、みいちゃんが障害者であるとは明言していないが「作中各所であからさまにそれが示唆されている以上、それは通らないのではないか。明言することから逃げているだけ」とロマン優光は反論している[7]。著者が実在する複数の人物の特徴をみいちゃんという一人のキャラに盛り込んでいることに関し「極端なケースを集めて一人の人間に盛ってしまえば、それは現実の当事者とは離れてしまうわけで、当事者に対する偏見を育てている」と批判し、「これを読んだからといって知的障碍者について理解したように何かを語ったりするのは違う」と警告した[7]。
論争
差別用語化する「みいちゃん」
作中でみいちゃんは「知的障害の疑いがあるも、福祉につながることができず売春で生計を立てる女性」として描かれており、現実世界においても知的障害・発達障害がある女性を「みいちゃん」と呼び侮蔑する風潮が生まれた[12]。また、「障害の特性がありそう」と認定した女性に対し「みいちゃんだ」「みいちゃん予備軍だ」と言葉を投げかけるのが多発した[20]。本作の影響で「発達障害=みいちゃん=簡単に体を許す、搾取される存在」とのステレオタイプが生まれ、障害を持つ当事者の女性は「現実の私たちを無視し、フィクションの型に当てはめて嘲笑う行為は、私たちの尊厳を深く傷つける」とコメントした[20]。
「実在の住所を想起させる表現」騒動
マガポケ電子版に「実在の住所を想起させる表現」があったとして内容の修正が入り、2026年2月4日に連載しているシリウス編集部が発表した。第28話内に記載された住所をgoogleマップで検索すると、類似した住所の実在の建物が出てくるとしてXで指摘が相次いでいた。講談社広報室の担当者は同日、SNS上で指摘が寄せられていることについて「当該作品第3話でも住所の枝番を伏せ字にしている」として、作品中で具体的な枝番について「記載した認識はございません」と説明[21]。
アニメ化に対する反発
アニメ化が発表された2026年7月26日は、障害者を標的とした大量殺人事件「相模原障害者施設殺傷事件」の発生日から10年の節目を迎えた日であり「あまりに無神経で、悪意すら感じる」との批判が上がるなど、アニメ化に対しネガティブな意見が多く出た[22]。ファンからは「物語のクライマックスに合わせた発表に過ぎず、他意はない」との反論があった[22]。同日、ジャーナリストの郡司真子はアニメ化中止を求める署名運動を開始し、本作がメディアミックスによって広く知れ渡った場合の問題点として「性風俗・性売買のノーマライズ(常態化・日常化)」「知的・発達特性への蔑視・スティグマの再生産」の2点を提示した[22]。近年の類似の署名としては、ゲーム『アサシン クリード シャドウズ』への発売中止運動があったが、そちらは制作側が署名に反応しないまま2025年に発売された[23]。アニメ化を巡る批判に対し、「フィクションである以上、嫌なら見なければいい」など表現の自由の観点からの反論も多く出た[22]。
西村博之はアニメ化反対の声について「『みぃちゃんと山田さん』を子供に見せたく無い人は、『18禁にすべき』という主張でも良いはずです。ただ、実際は自分が嫌いなので、子供をダシにしてアニメ化を反対したいだけな予感」と私見を述べている[24]。
ヤングマガジン編集部への批判
2026年1月6日に講談社・ヤングマガジン編集部公式YouTubeチャンネルの動画「ヤンマガ編集部員が選ぶ注目漫画!【出版社横断】」で本作について「みいちゃんが可哀そうな目に遭うのを見たい」とコメント。だが後にアニメ化決定が発表された際にコメント欄に「流石に倫理観に欠ける問題発言ではないか」という論調の批判が殺到した[25]。なお、本作はマガジンポケットでのみ連載しており、ヤングマガジン編集部は本作に関与していない。
「ダイアナ」名義の作品との関係について
作者の亜月ねねは、商業デビュー前の2022年1月から2024年2月まで、X(旧Twitter)上で売春やパパ活等に関する漫画を投稿するユニット「ダイアナ」の作画を担当していた。ダイアナ名義で出版された短編集『夜のことばたち』第7章の一編『幸福のために最低限必要なもの』が本作のプロトタイプとされ、独立後にXに投稿されたパイロット版が商業連載の基となった。パイロット版はKindleインディーズにてダイアナ名義「みいちゃんと山田さん -みいちゃんが死ぬまでの12ヶ月間の話-」として配信されていた。パイロット版は連載開始後に削除されている。
2026年7月31日、亜月は自身のXで次のように声明を発表した[26]。
「ダイアナというアカウントと私(亜月ねね)は別人です。2024年2月まで、私は『ダイアナ』というアカウントから依頼を受け、マンガを寄稿しておりました。アカウントの運営・投稿文、および漫画の原作(台本)は私の担当ではなく、いただいた台本をもとに作画し提供しておりました。なお『みいちゃんと山田さん』は、私自身が原作・作画ともに手掛けている作品です。」
この声明に対し、ネット上では以下のような指摘がなされた [27][28]。
- プロトタイプ作品がダイアナ名義で発表されているにもかかわらず、商業版を「自身のオリジナル作品」と位置づけている点。
- 「原作(台本)には関与していない」とする説明と、独立後に同じキャラクター・設定を用いた長編を展開している事実との整合性。
- 原案の著作権や翻案の許可に関する詳細が明らかにされていない点。
- ユニット「ダイアナ」の管理者から指示を受け漫画制作を行っていたことに関する指摘。
- ユニット「ダイアナ」の運営体制や活動実態、金銭の流れについて説明を求める意見。
これらは主にSNS上の反応として報じられており、公式な第三者による事実確認は現時点で確認されていない。
書誌情報
3巻には『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である児童精神科医・宮口幸治との対談を収録[6]。
- 亜月ねね『みいちゃんと山田さん』講談社〈シリウスKCデラックス〉、既刊6巻(2026年4月23日現在)
- 2024年12月23日初版発行(同日発売[5][29])、ISBN 978-4-06-537943-1
- 2025年3月21日発売[30]、ISBN 978-4-06-538749-8
- 2025年6月23日発売[31]、ISBN 978-4-06-539730-5
- 2025年9月22日発売[32]、ISBN 978-4-06-540642-7
- 2025年12月23日発売[33]、ISBN 978-4-06-541792-8
- 2026年4月23日発売[34]、ISBN 978-4-06-543133-7
- (絵本付き特装版)同日発売[35]、ISBN 978-4-06-543732-2