ゆくところ
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ひぐちアサのデビュー作である本作は、「同性愛」「身体障害」「アルコール依存症」「崩壊した親子関係」といった、広範囲の読者に受け入れられることは難しいであろうテーマを多数含み、また表現的な面においても「読者に解りやすいように」という配慮をもって描かれているとは言いがたい。これらは作者がある程度意図して行ったことであるらしく、単行本化に際して収録されたあとがきでは「投稿作でしかカッテはできないものと考え、スキホーダイやろうと思っていました。」と語っている。
しかしながら、ひぐちアサの持ち味である繊細な心理描写と物語の根底に流れる優しい視点は、本作においても十二分に見出され、本作を「作者の独りよがり」で終わらせることなく、読後感の良いすがすがしい作品に仕上げている。
デビュー作とあって絵柄はまだまだ発展途上といった様子で、現在の少年漫画的・肉感的なタッチに比べると寧ろ少女漫画のそれに近い。作中、主人公・小泉の精神状態の混迷ぶりは抽象絵画のような表現がなされ、作品に一種独特な雰囲気を加えている。