アルコール性肝疾患
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病因
主要要因は、エタノールと代謝物のアセトアルデヒドによる肝臓への直接的な作用であるが、肥満や2型糖尿病などの基礎疾患と栄養状態[3]は進展促進因子とされるほか[2]、腸内細菌叢の多様性喪失が重症化に関与していると報告されている[3][4]。
飲酒によって血中に入ったアルコール(エタノール)は消化管で吸収され門脈を通って肝臓で代謝される。(胃でも代謝される[5]が本記事の対象外であるため記述しない)
肝臓では主に、以下によって代謝される。代謝に関与する物質は、主にカラターゼ・アルコール脱水素酵素・チトクロームP-450 2E1,1A2,3A4[2][5]
- 1次代謝
- アルコール脱水素酵素(alcohol dehydrogenase:ADH)
- ミクロゾームエタノール酸化系(Microsomal Ethanol-Oxidizing System:MEOS)
- 2次代謝
- アセトアルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase:ALDH)
酢酸はクエン酸回路(TCA回路)によりエネルギー源となり、最終的に二酸化炭素と水になる。

クリックで拡大・解説
脂肪酸生合成はアセチルCoA(炭素数2)を出発物質として、ここにマロニルCoA(炭素数3)が脱炭酸的に結合していく経路である。すなわち、炭素数2個ずつ反応サイクルごとに増加し、任意の炭素鎖を持った脂肪酸が作成されることとなる(脂肪酸#生合成参照)[6]。
アルコールを大量・持続飲用することで、上記の代謝経路によって分解が追いつかず、かつ、代謝・合成された脂肪酸の酸化障害と[2]、エタノールの代謝中間生成物のアセトアルデヒドの有する肝毒性[2]とエタノール自体の影響によって肝細胞に炎症や壊死を生じる。
診断
長期(通常 5年以上)にわたる過剰の飲酒が肝障害の主な原因と考えられる病態で、以下の条件を満たすもの
- 過剰の飲酒とは、1 日平均純エタノール 60 g 以上の飲酒(常習飲酒家)をいう[7]。ただし女性や ALDH2 活性欠損者では、1 日 40 g 程度の飲酒でも AL 性肝障害を起こしうる。禁酒により血清 AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)、ALT(アラニンアミノ基転移酵素) およびγ-GTP(γ-グルタミルトランスフェラーゼ) 値が明らかに改善する。
- 肝炎ウイルスマーカー,抗ミトコンドリア抗体,抗核抗体がいずれも陰性である。
<附記>
- 肥満者
- 肝炎ウイルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体の取り扱い[2]。
病理
臨床像
肝硬変に至るまでの期間は性差があり女性が有意に短く、且つ少量の飲酒で重症化しやすい[9]。
針原(1998)らの報告によれば、発症までの飲酒歴や飲酒量と性差は[10]、
- 飲酒量:男性 29±13年、女性 14±11年
- 肝硬変合併率:性差無し
- (入院時)腎不全合併率:男性 44%、女性 0%
他の肝疾患と比較し、ビタミン、微量金属栄養の欠乏状態が顕著で[8]、ビタミンBと亜鉛の欠乏が合併症の発症と重症化に大きく関与している[11]。
症状
基本的に肝硬変に至るまで目立った症状はない。またアルコール依存症である場合も多く、治療コンプライアンスが維持できないことも多い。なお、女性では月経異常や無月経[9]、男性では睾丸萎縮と女性化乳房症[9]が現れることがある。
肝障害特有の黄疸、全身倦怠感、食欲低下、発熱。
血液検査
- アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)・アラニンアミノ基転移酵素(ALT):AST優位の上昇を示すことが多い。
- γ-GTP:上昇傾向を示す
