アングルド・デッキ
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概要
従来、飛行機は艦の中心線に沿って着艦していたが、着艦時に事故を生じた場合、飛行甲板前方にある停止機に衝突する危険があった。特にジェット機の配備が進むと、機の能力向上と比例して、この危険は著しく増大した。イギリス海軍は1948年よりこの問題への研究を開始しており、その解決策として斜め飛行甲板(アングルド・デッキ)が創案された[1]。
これは艦の後部から左舷に向けて着艦帯を斜めに設けるもので、着艦機が艦橋や停止・待機機と衝突する事故は回避でき、最悪の場合でもその1機だけの損失で済むようになった。またエレベーターや駐機スペースは着艦動線から外れた部分に設置されるため飛行甲板作業も容易となる[1]。但し着艦機側から見ると、航空母艦が前進の他に横にも動いていく形になるので、アングルド・デッキ特有の着艦困難が生ずる。
まず1952年2月、イギリス海軍のコロッサス級空母「トライアンフ」にアングルド・デッキを模した塗装を施して実験を行ったのち、アメリカ海軍のエセックス級空母「アンティータム」を改装して本格的な運用が開始された。また英米両国では既存の空母の改装も実施した。CATOBAR方式の空母に限定すればカタパルトをアングルド・デッキ内にも装備して着艦作業を行わない間ならば同時発艦機を増加させる事が可能[1][2]。
一方、垂直着艦を行うSTOVL方式の強襲揚陸艦や軽空母等では、特に必要性がないため、基本的にはアングルド・デッキは採用されない。ソ連海軍のキエフ級航空母艦では、VTOL・STOVL方式ながら飛行甲板を斜めに配置したが、これは艦橋の前部にミサイルや艦砲などの兵装を搭載したためで、発着を重視したアングルド・デッキとは意図が異なる[3]。同様に特殊な例として、イランイスラム革命防衛隊海軍のヘリ・固定翼ドローン空母「シャヒド・バゲリ」は、コンテナ船を改造したため後部中央の艦橋楼は移動できず、後部飛行甲板を左にずらして張り出させて、艦首飛行甲板は艦軸にほぼ重なるよう飛行甲板を傾けスキージャンプを設けているアングルド・デッキとなっている[4]。