アーケゾア
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仮説
当時注目を集め、今では広く受け入れられている細胞内共生説によれば、細胞核を持たない原核生物に別の原核生物が共生することによって真核生物が誕生したと考えられる。こうした共生由来のオルガネラのうち、ミトコンドリアは非常に多くの真核生物に共通しているが、嫌気的環境にはミトコンドリアを持たない各種の真核生物が存在している。そこで真核生物が成立した際に、まず細胞核を獲得した原始的真核生物(protoeukaryote)が後に好気性バクテリアを共生させてミトコンドリアを獲得したという仮説を考えることができる。ミトコンドリアを持たない真核生物「アーケゾア」は、その中途段階の子孫であり、この仮説を支持する証拠だと考えるのである。しかもこうしたアーケゾアは、当時の分子系統解析では真核生物の系統樹の基部に位置づけられていたことも、この仮説を支持していた。
この「アーケゾア仮説」は、以下の2つの主張から構成される[2]。
- すでに細胞核を持つ原始的真核生物(=アーケゾア)が細胞内共生によってミトコンドリアを獲得した。
- ミトコンドリアを獲得する前の原始的真核生物の子孫が現生のアーケゾアである。
この後者(2)の主張については21世紀を待たずに、アーケゾアとされた全ての生物が、ミトコンドリアを持つ生物を祖先に持ち2次的にミトコンドリアを失ったことが明確になっている。またアーケゾアが真核生物の系統樹の基部を占めるという解析結果も、手法が未発達であったことによる人工産物だと考えられている。
もっとも、これにより前者(1)の主張が自動的に否定されるわけではない。原核生物が他の原核生物を取り込む現象が知られていないうちは、ある程度発達した原始的真核生物がミトコンドリアを獲得したと考えるのが自然だからである[2]。2010年代後半になってようやく、一部の古細菌(アスガルド古細菌)が真核生物と良く似た細胞骨格や内膜系に関連した遺伝子を持つことが明らかになり[3][4]、またある種の真正細菌が実際に食作用(のような取り込み)を行うことが示された[5][注釈 1]。