ウサギ (小説)

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ウサギ』は、南木佳士の小説。第一学習社の『高等学校 改訂版 現代文』(2007年3月検定済、2009年2月刊)に南木の短編小説『ウサギ』が選定された[1]。しかし、ドラマ『ひとつ屋根の下』にて、後に覚せい剤取締法違反で逮捕される酒井法子が演じる柏木小雪の台詞「ウサギはさびしいと死んじゃうんだよ」の引用が影響したという説があるが、その後の教科書には選定されていない[2]

主人公は妻と高校生と中学生の2人の息子、高齢の父との5人暮らし。現在、父は病身で妻が介護を担っている。そんなある日の夕食の時間、長男はおかずの内容が質素な事に不満を漏らす。妻は義父の介護による疲れから質素なおかずしか作れなくなっていたのだ。
家庭内の空気が重くなっている事を察した次男は、自身の好きなテレビドラマ「ひとつ屋根の下」の登場人物である柏木小雪のセリフ「ウサギはさびしいと死んじゃうんだよ」という話を切り出す。
その話を聞いた主人公は少年時代の事を思い出す。主人公は3歳の時に母を亡くし、周囲の大人たちから甘やかされた影響からやんちゃな性格の少年であった。そんなある時、主人公のクラスに中川清子という女の子が東京の学校から転校してくる。清子は発電所の所長の娘で、文武両道で可愛らしい容姿からたちまちクラスのアイドル的存在となる。主人公はそんな彼女にイタズラを仕掛ける。彼女のランドセルの中に学校で飼育されていたウサギを入れた。
清子はイタズラの事は騒ぎ立てなかったため、大事にはならなかった。
月日は流れ、主人公は高校卒業後大学の医学部を受験する事を目指して、「地元の役場にでも勤めた方が気楽だべよ」と地元に残る事を懇願する祖母の反対を押切り上京した。上京後は御茶ノ水の予備校に通った。その予備校で主人公は清子と再会した。
清子は精神科の医師を目指していると主人公に語ったが、小学生時代の明るい様子はなく主人公に対してもそっけない態度を取る。主人公が清子と会ったのはこれが最後となった。
主人公が医学部の5年生になった冬休みに地元に帰省した際、幼馴染の幸夫から清子が去年の夏に神奈川の海で亡くなった事を伝えられる。幸夫によれば清子の葬儀は花輪や参列者も少ないさびしいものだったという。幸夫は「バカでも生きているのが一番だよなぁ」と呟いた。
また、時間は現在に戻る。そんな昔話を思い出しながら、健気に祖父の世話をしてくれる次男に申し訳ない気がしてくつろげない。次男は、祖父はウサギとは反対に野生の動物のようによく食べる。寂しくても死なないと言う。妻は、ウサギは祖父より清潔で可愛いと拒否反応を起こす。清子のランドセルに入れたウサギがどうなったか、清子に聞きたいと思う時があるが、彼女はもういない。今を支えている過去が虚しくなるくらいなら思い出さず、封印した方がいいと思い、封印していた追憶だったが、次男の話で思い出した。次男は、ウサギは感受性が鋭く寂しさに耐えきれず死ぬと、満足げに言う。外は冬の雨になっていた。

登場人物

脚注

関連項目

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