エアギャップ
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エアギャップで守られているコンピュータやネットワークには、有線にしろ無線にしろ、外部のネットワークに接続されたネットワークインタフェースは存在しない。
コンピュータの中には、有線ネットワークに接続していなくても実際には無線ネットワークインタフェース(Wi-Fi)を通じてインターネットに常時接続しソフトウェアをアップデートしているものも多いが、このような状態はセキュリティ上の脆弱性をかかえており、もしそのコンピュータにセキュリティ確保のためにエアギャップを設ける場合は、ワイヤレスインタフェースコントローラの機能を恒久的に停止させるか、あるいはそのコントローラを物理的に除去する必要がある。
2つのネットワークやデバイスが、異なるセキュリティクラスの情報を扱っている場合、セキュリティクラスのより低い情報を扱っている方は"low side"、セキュリティクラスのより高い情報(機密性の高い情報)を扱っている方は"high side"と呼ばれる(セキュリティクラスの付与された情報を"red"、付与されていない情報を"black"と呼ぶこともある)。エアギャップで守られているシステムと、外の世界との間でデータを移動するには、データを物理的なメディアに書き込んで、物理的に移動する必要がある。アクセスポリシーは、しばしばベル・ラパドゥラモデルに基いたものが採用され、この場合はセキュリティクラスの低いほうから高いほうへは最小限の手続きだけでデータを移動できる一方で、高いほうから低いほうへデータを移動する際はセキュリティクラスの高い情報を守るためにより厳格な手続きが必要となる。だが、いくつかのケース(たとえば産業用の重要なシステム)では、ポリシーが異なることがあり、データはhigh sideからlow sideへ最小限のセキュリティ対策で移動できるが、low sideからhigh sideへの移動には高いレベルの手続きが必要、とすることがあり、これは産業安全システムの整合性を確保する目的の場合に採用される。
エアギャップという考えかたは、ひとつのネットワークを他のネットワークから守る方法としては、ほぼ最大の防御法といえる(あとは装置の電源を切るという方法もある)。エアギャップで守られているシステムにおいて、外の世界とデータを転送する唯一の方法は、データをリムーバブルディスクやUSBフラッシュドライブなどのリムーバブルメディアに書き込んで、物理的に移動させる方法である。この種のアクセスはより容易にコントロールできる。この方法のメリットは、一般的にそのようなネットワークを、外の世界からアクセスできない(情報セキュリティ、信号セキュリティ、放射セキュリティの分野における)クローズドシステムとみなすことができる点にある。一方で、この方法のデメリットは、セキュアなネットワークで処理される情報を外の世界から転送する作業が非常に労働集約的である点にある。外部の情報をセキュアなネットワーク上のコンピュータで解析しようとする場合、その情報を転送する作業に非常に手間がかかることであり、しばしば空間的に隔離されたネットワークに入力する予定のプログラムやデータについて、人間によるセキュリティ分析を行うことになり、場合によってはセキュリティ分析を経たうえでデータを手作業で再入力する必要がある[3]。
- 注意点
なお、最高レベルの防御方法と言えるエアギャップだが、それを使ったからと言って手放しに完璧(無敵)のセキュリティというわけではなく、Stuxnet[4]やAgent.BTZのようなマルウェアは、リムーバブルメディアの処理に関連したセキュリティホールを突いてエアギャップを越えることが知られている。
エアギャップを突破して情報を盗もうとする各種手法に関しては、#考慮すべき点で解説。
事例
エアギャップで守られているシステムとしては以下のような実例が挙げられる。 なお、下で挙げるシステムすべてでエアギャップが採用され護られているという意味ではなく、下で挙げるシステムの"一部でエアギャップが採用されているものがある"、という意味である。
- 以下に示すような、非常に単純で、そもそもセキュリティに関して考慮する必要がないシステム
- エンジンコントロールユニットなど、自動車のCANバスに接続されているデバイス
- 家庭用空調機や冷蔵庫で温度やコンプレッサーを制御するデジタルサーモスタット
- 芝生の水やり用の電子制御式スプリンクラー
だが、インターネットに接続できるサーモスタットや、Bluetooth・Wi-Fi・携帯電話網への接続が可能な自動車など、近年ではこのようなシステムの多くにはパブリックなインターネットに接続する機能(IoT機能など)が付け加えられることが増えてきており、ユーザが気づかないうちにエアギャップは失われてしまっていることが増えてきている。