キビシロタンポポ

キク科の種 From Wikipedia, the free encyclopedia

キビシロタンポポ(吉備白蒲公英、学名:Taraxacum hideoi)は、キク科タンポポ属多年草[2][7]

概要 キビシロタンポポ, 分類(APG IV) ...
キビシロタンポポ
広島県庄原市 2025年4月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キクニガナ亜科 Cichorioideae
: タンポポ属 Taraxacum
: キビシロタンポポ T. hideoi
学名
Taraxacum hideoi Nakai ex H.Koidz. (1933)[1]
シノニム
  • Taraxacum denudatum H.Koidz. (1933) オクウスギタンポポ[2][3]
  • Taraxacum shinanense H.Koidz. (1933) ウスギタンポポ[2][4]
  • Taraxacum nambuense H.Koidz. (1933) ナンブウスギタンポポ[2][5]
  • Taraxacum albidum Dahlst. var. igaense H.Koidz. (1936) イガウスギタンポポ[2][6]
和名
キビシロタンポポ(吉備白蒲公英)[7]
閉じる

人里の路傍や草地にややまれなタンポポ。花の色は通常白色から淡いクリーム色であるが、淡黄色の個体もある[2][7]。別名、ウスギタンポポ、オクウスギタンポポ、ナンブシロタンポポ、イガウスギタンポポ[2]

なお、本稿のタンポポ属の和名、学名の記述は、森田竜義 (2017)「タンポポ属」『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.285-289を基本とする[2]

特徴

根生するはロゼット状になり、根出葉は淡緑色で、羽状に中裂-深裂し、やや深く切れ込むが、切れ込みが浅いものもある。葉の基部で狭くならず、葉柄はない[2][7]

花期は3-5月。花茎は高さ15cmほどになり、中空になる。頭状花序は径3.5-4cm、花冠は舌状花冠のみで構成され、白色から淡いクリーム色であるが、薄黄色の個体もある。小花は100-150個ある。総苞は淡緑色、花時の長さ15-20mm。総苞外片は多列あり、総苞内片の半分の長さがあり、圧着し、最外片は幅が広く、卵形から広卵形で、縁に密に毛があり、しばしば縁が膜質になり赤色を帯びる。総苞外片先端の角条突起はないか、あっても長さ0.5mmと小さい。雄蕊は5個のが合着した集約雄蕊で、花粉の粒は大きさが不均一である。雌蕊は黒色を帯びる。果実痩果で、黒色または褐色になる。冠毛は長さ8-9mm、冠毛柄は冠毛より長い[2][7]

生殖方法、無融合生殖種

本種は、染色体数2n=32、40の4倍体、5倍体である。これらの倍数体は、雌蕊だけで無性的に種子をつくる無融合生殖種である[2]

本種のほか、日本産のタンポポ属の中で、無融合生殖種であるものに、クモマタンポポ Taraxacum yesoalpinumミヤマタンポポ T. alpicolaシコタンタンポポ T. shikotanenseシロバナタンポポ T. albidumモウコタンポポ T. mongolicumツクシタンポポ T. kiushianumクシバタンポポ T. pectinatumエゾタンポポ T. venustum がある[2]

分布と生育環境

日本固有種[8]シノニムとなっているものを含め、東北地方長野県知多半島紀伊半島近畿地方中国地方四国に分布し、山里の路傍や草地に生育する[2]

名前の由来

和名キビシロタンポポは「吉備白蒲公英」の意[7]吉備国岡山県阿哲郡新見町、現在の新見市)のものをタイプ標本として、植物学者の小泉秀雄 (1933)が新種記載した[9]

Taraxacum Hideoi NAKAI(きびしろたんぽぽ)は、植物学者の中井猛之進裸名で発表し[10][注 1]、小泉秀雄 (1933)が正式に新種記載したものである[9]

種小名 hideoi について

イネ科植物のミサヤマチャヒキ Helictotrichon hideoi (Honda) Ohwi (1937)[11]、命名当時 Avena hideoi Honda (1926)[12]の学名の種小名(種形容語)hideoi は、このイネ科植物の新種記載者の本田正次は、「小泉秀雄氏ノ採ル所デアル」とし、タイプ標本の採集者が小泉秀雄であるとしている[12]

このように、種小名(種形容語)hideoi は、小泉秀雄を表すとされるが、小泉秀雄自身がキビシロタンポポに hideoi を付けた訳ではなく、中井猛之進が裸名でつけた Taraxacum hideoi Nakai に対して、小泉秀雄が正式に Taraxacum hideoi Nakai ex H.Koidz. を記載した[1]。裸名も正式記載もタイプ標本の採集者は小泉秀雄である[9]

種の保全状況評価

国(環境省)でのレッドデータブックレッドリストの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、次のようになっている。 福井県-県域絶滅危惧II類、京都府-絶滅危惧種、兵庫県-Cランク、鳥取県-その他の保護上重要な種(OT)、島根県-絶滅危惧I類(CR+EN)、山口県-準絶滅危惧(NT)、香川県-絶滅危惧II類(VU)、愛媛県-準絶滅危惧(NT)、高知県-絶滅危惧II類(VU)、福岡県-絶滅危惧IA類(CR)[13]

シノニムの扱いになっている種の都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、次のようになっている。

  • ウスギタンポポ:茨城県-準絶滅危惧、長野県-絶滅危惧II類(VU)[14]
  • オクウスギタンポポ:秋田県-絶滅危惧IB類(EN)、山形県-絶滅危惧II類(VU)、群馬県-絶滅危惧IB類(EN)[15]

ギャラリー

シロバナタンポポとの違い

花が白いタンポポということでは、シロバナタンポポ Taraxacum albidum Dahlst. (1907)[16]に似る。同種は花時の花茎の高さが25-30cmになり、小花数は70-80、あっても100、総苞外片は総苞内片の2分の1から3分の2を覆う。総苞外片は圧着せずやや開き気味になり、総苞外片の先端に付くとがった角条突起が2-2.5mmほどになる[2][7]

一方、本種は花時の花茎の高さが15cmと低く、小花数は100-150と多く、総苞外片は総苞内片の2分の1を覆う。総苞外片は圧着し、シロバナタンポポのようにやや開き気味になることはなく、総苞外片にとがった角条突起がないか、あっても長さ0.5mmと小さい[2][7]

脚注

参考文献

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI