オスマンの剣
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オスマン帝国において、新たなスルタンが即位から2週間以内にこの剣を体に縛り付けるという儀式は非常に重要なものであった。この伝統の起源は、オスマン・ベイが師であり義父でもあるシェイク・エデバリ(英語版)からイスラムの剣を授けられたことだといわれる[4]。儀式は首都コンスタンティノープルの金角湾沿い、エイユブ(英語版)で行われた。スルタンが居住していたトプカプ宮殿から金角湾までは比較的短い距離だが、盛大な祝福のもとで船に乗り現地へ向かった。エイユブの墓群は、預言者ムハンマドの仲間であったアブー・アイユーブ・アル・アンサリ(英語版)を讃える形でメフメト2世によって建設され、彼は7世紀初頭のコンスタンティノープル包囲戦で死去していた。このように、儀式は聖地ともいえる場所で行われ、新たなスルタンを先祖やムハンマドと結びつける意味合いがあった[5]。
スルタンの即位式典に用いられるのが剣というのは非常に特徴的で、これはオスマン帝国においてスルタンというのがまず何よりも戦士である、ということを意味していた。剣はメヴレヴィー教団のダルヴィーシュであったコンヤのシャリーフによってスルタンに装着された。シャリーフたちは儀式のために毎度コンスタンティノープルに召集された[6]。
19世紀後半になるまで、非イスラム教徒はエユブ・スルタン・モスク(英語版)への入場や儀式の観覧を禁止されていたが、メフメト5世の即位式典からは異教徒の人々にも公開された。メフメト5世の式典は1909年5月10日に行われ、シェイヒュルイスラームやエキュメニカル総主教、ハカム・バシ(英語版)、アルメニア使徒教会の代表など、帝国内におけるすべての宗教共同体の代表者たちが出席した。非イスラム教徒が式典を見学できるようになったことで、詳細な内容がニューヨークタイムズによって報道された[7]。メフメト5世の弟で後継者であるメフメト6世の儀式は1918年7月4日に行われ、今回からは式中の撮影も許可されたが、メフメト6世は結果的に最後のスルタンとなり、最初で最後の映像化となった[8]。剣はトプカプ宮殿の帝国宝物庫に保管されている。
脚注
- ↑ M'Gregor, J. (July 1854). “The Race, Religions, and Government of the Ottoman Empire”. The Eclectic Magazine of Foreign Literature, Science, and Art (New York: Leavitt, Trow, & Co.) 32: 376. OCLC 6298914. https://books.google.com/books?id=1MYRAAAAYAAJ 2009年4月25日閲覧。.
- ↑ Hasluck 2007, pp. 604–622
- ↑ Caruso, Lauren (2013). Bay'ah: Succession, Allegiance, and Rituals of Legitimization in the Islamic World (PDF) (MA). The University of Georgia. p. 37. 2021年9月6日閲覧.
- ↑ Bagley 1969, p. 2
- ↑ Quataert 2005, p. 93
- ↑ “Girding on the Sword of Osman”. The New York Times: 2. (1876-09-18). ISSN 0362-4331. https://timesmachine.nytimes.com/timesmachine/1876/09/18/94655470.pdf 2009年4月19日閲覧。.
- ↑ “New Sultan Breaks Moslem Traditions”. The New York Times: 4. (1909-05-11). ISSN 0362-4331. https://timesmachine.nytimes.com/timesmachine/1909/05/11/101880440.pdf 2009年4月19日閲覧。.
- ↑ Abdullah Kirbaçoglu (cinematographer) (1918年7月4日). Crowning of Mehmed VI as last Sultan of the Ottoman Empire in 1918 (Documentary). Amsterdam: MokumTV. 2021年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2009年4月19日閲覧.
参考文献
- Bagley, Frank R. C. (1969). The Last Great Muslim Empires. Leiden: BRILL. ISBN 978-90-04-02104-4. OCLC 310742207. https://books.google.com/books?id=-AznJs58wtkC 2009年4月19日閲覧。
- Hasluck, Frederick William (2007). “XLVI. The Girding of the Sultan”. In Hasluck, Margaret. Christianity and Islam Under the Sultans. II. READ BOOKS. pp. 604–622. ISBN 978-1-4067-5887-0. https://books.google.com/books?id=DJFy16OTW9YC 2009年5月2日閲覧。
- Quataert, Donald (2005). The Ottoman Empire, 1700–1922 (2nd ed.). Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-83910-5. OCLC 59280221. https://books.google.com/books?id=OX3lsOrXJGcC 2009年4月18日閲覧。
