ポンツーンと、建設中のカズングラ橋
ザンビアと、ザンベジ川の対岸にあるナミビア 、ボツワナ、ジンバブエ の各国は南部アフリカ開発共同体 (SADC)に加盟しており、ザンベジ川を渡る南北の輸送ルートはSADCの経済発展のために重要である。従来、物流トラックがザンベジ川を渡る手段はザンビア-ジンバブエ国境のチルンド橋 、ヴィクトリアフォールズ橋 およびザンビア-ボツワナの国境のカズングラ・フェリー に限られていた。橋を渡るルートでは山岳地帯を経由することから所要時間が伸び、国境での税関 手続きでも長い時間を要していた。そのため多くの車両がフェリーを利用したが[ 1] 、この船はポンツーン と呼ばれる小型の艀 のようなもので、一度に運ぶことのできる車両は3~4台ほど[ 2] 。1日の渡河可能車両台数は80~100台程度に限られ慢性的な渋滞が生じていた[ 3] 。ダイヤモンド の鉱物資源 に恵まれたボツワナはザンビアに比べ経済水準が高く、ザンビアからボツワナへの出稼ぎ や行商 の人の流れも多かった[ 2] 。日本政府はザンベジ川架橋のマンゴチ橋 とチルンド橋の建設協力を実施しており、ドイツもカティマムリロ橋 (英語版 ) の建設への資金協力を決定している。SADCの承認プロジェクトであるカズングラ橋はカナダ国際開発庁 (英語版 ) により1987年と1992年に調査が行われたが、事業化には至らなかった。しかしカズングラ橋の建設は両国の最重要プロジェクトに位置付けられており、1998年12月にボツワナ政府、翌1999年1月にはザンビア政府から日本政府 に対し、フィジビリティスタディ の要請があった。これを受け、国際協力機構 (JICA)は1999年11月に事前調査団を派遣した。ただし、その時には実施細則に関してボツワナ政府の了承が得られておらず、署名交換は2000年2月に、ザンビアのリヴィングストン で行われた[ 4] 。
2014年12月に着工。6年半の歳月をかけ、2021年 5月10日 に開通した[ 5] 。ザンビアから南アフリカ共和国 のダーバン 港を経由した銅 の輸出、南アからザンビアへの食料品や生活用品の輸送の時間短縮だけでなく、国境の通過待機中のトラック運転手を相手にした売春 が減少することによる、HIV の蔓延防止効果も期待される[ 3] 。
総工費は2億5900万ドルで、主に日本の政府開発援助 (円借款 )とアフリカ開発銀行 の協調融資でまかなわれた[ 3] 。