カダヤシ科
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| カダヤシ科 | |||||||||||||||||||||
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エンドラーズグッピー Poecilia wingei | |||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Poeciliidae Bonaparte, 1831[1] |
カダヤシ科(学名:Poeciliidae)は、カダヤシ目の下位分類群の1つ。グッピー、モーリー、プラティ、ソードテールなど、「ライブベアラー」と呼ばれる、有名な観賞魚が知られる。原産地はアメリカ合衆国南東部からラプラタ川流域にかけての地域だが、飼育個体の放流や、ボウフラの駆除にグッピー属やカダヤシ属が使用された結果、今では世界中の熱帯や亜熱帯域で見られるようになった。グッピー属やカダヤシ属は、バンフにある温泉からも発見されている[2]。
カダヤシ科の全種が胎生である。雌の胎仔への養育の形態や程度は様々である。多くの種は卵黄依存型で、卵母細胞に胎仔の為の栄養がすべて入っている。一部の種は母体依存型で、母親の体内で母親から必要な栄養を受け取る。この二つの型は、完全に別々の形質ではなく、中間的な種も存在する。多くの研究において、母親から受け取る栄養の量は、発育した胎仔の乾燥重量を、受精卵の乾燥重量で割った値で求められる[3]。
例えば Poeciliopsis 属では、繁殖において多様な適応を示している。Poeciliopsis monacha、Poeciliopsis lucida、Poeciliopsis prolifica は同じ分岐群に含まれるが、その繁殖形態は大きく異なる。P. monacha は受精後に胎仔に栄養を渡すことは無いため、卵黄依存型である。すなわち妊娠した雌は、泳ぐ卵黄のようなものと言える。P. lucida は中程度の母体依存型で、胎仔の代謝が母親の代謝に一定の影響を与え、栄養素の交換を増加させる。P. prolifica は高度な母体依存型で、受精後に母親は胎仔が必要な栄養や物質をすべて供給する。これにより Poeciliopsis 属は、成長段階の異なる複数の胎仔を同時に育てることが出来る。これを過剰受胎という。胎生の動物は胎仔の発育する場所が限られるため、普通は産仔数が少ない。しかしカダヤシ科は過剰受胎によって、様々な段階や大きさの胎仔を育てることで、産仔数を増やしている[4]。
P. elongata、P. turneri、P. presidionis は、P. monacha、P.lucida、P. prolifica を含む分岐群の外群となる分岐群を構成し、この3種は極めて高度な母体依存型である。母体依存型が高度になるほど、胎盤形成も高度になり、これにはより厚い卵胞、より高度な血管形成、胎盤の絨毛の増加などが挙げられる[3]。
本科の胎盤の進化については意見が分かれており、「適応」と「対立」の2つの仮説がある[5]。「適応」説には、「運動」説[4]、Trexler-DeAngelis Model(生殖への配分)[6]、生活史の促進などが含まれる[5][7]。「適応」説では、生息環境において他の有利な形質の進化を促進させるため、胎盤の進化が進んだことが示されている。「対立」説では、胎盤の進化は非適応的なもので、栄養資源を巡った母親と胎仔の遺伝的な「綱引き」によって生まれたと考えられている[8]。